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ふんわりたまごの天津飯

天津飯くらい、津々浦々で広く愛され、時に裏切られる料理を知らない。それを分けるのは、カニの量や他の具材がどうこうより、あんの味付けが全てと言っても良いと思う。甘酢・醤油・塩などこれらは地域差も大きいようで、東京は甘酢タイプが多め。その中でもケチャップを使う使わないなど枝分かれしてまた更に好みが分かれていく。全く同じ名前の料理でこれほど味付けの違うものが当たり前の顔で出て来る料理も珍しいから好みがはっきり決まっている人は注文前の確認がおすすめ。

そして色々なおいしさがあるからこそ、自分の好きに作る甲斐のある料理でもある。たまご焼きとごはんで一定以上のおいしさが担保されている安心感に、今日は何味のあんをかけるか。楽しみが尽きることのない家向きのとても面白いお料理です。

■ 天津飯の作り方 ■

■1食分
[カニ入り卵焼き]
・卵…2個
・カニ缶詰…身と汁で50gくらい
・ガラスープ(中華風スープ)の素…3g
・水…50g
・水溶き片栗粉⑴…15g
・塩…少々
・サラダ油…15g〜

[あん]
・ガラスープ(中華風スープ)の素…3g
・水…100g
・醤油…10g
・みりん…20g
・酢15g
・紹興酒…15g
・塩…少々
・水溶き片栗粉⑵…15g
・おろししょうが…5g
・ごま油…お好みで

・温かいごはん

※水溶き片栗粉⑴⑵は、[片栗粉10g+水20g]で溶いたものを、卵液/あんで半分ずつ使っています。

卵料理は加熱時間も短くさっと作れてすぐおいしいのが魅力。それには作り始めたら一気に仕上げて熱々のうちに食べるための前準備がポイントです。家中華は一見調味料や材料の数が多く難しいイメージが先に立ちますがよく見ると手近な物がほとんどで、できる準備をしっかりして臨めば何も心配いりません。

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①あんの調味料を合わせておきます
あんの調味料[醤油/みりん/酢/紹興酒/塩 ]を合わせて準備します。
あんの材料の内、おろししょうがとごま油は加熱をできるだけ短くして香りを生かしたいから直前に、とろみ付けの水溶き片栗粉も加熱のタイミングで加える方が上手くいくので、その3つを除いて準備しておくと後がスムーズです。

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[スープの素+水]も調味料と一緒に合わせておいても大丈夫。ただ液体量が増えるとその分の大きさの容器も必要になるので、私はいつも小さく調味料だけを先に合わせて準備しています。紹興酒を使うと一気に中華風の香りがして好み、料理に少し使って残った分はいつも飲んでしまいます。とは言いながら実は日本生まれという天津飯には日本酒でもいいと思います。

②卵液を合わせます
ボウルに[カニ入り卵焼き]の材料(サラダ油以外)を全部入れて、よくかき混ぜます。卵2個に対して[カニ缶+スープ(素+水)]で約100gを加えるのが、程良い柔らかさと扱い易さから丁度のバランス。卵液に加える水溶き片栗粉には水分を程良くまとめて扱い易くし焼き上がりをしっとりさせる効果があります。[片栗粉10g+水20g]を合わせておいて、卵焼きとあんにそれぞれ半分ずつで使い切りです。

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加える液体を増やすほど卵焼きは柔らかくなるけれど、その分焼くときに裏返すのが難しくなる。扱い易さはスープを減らすほど優しくなります。だから固くなるというよりは、水分が少ない分卵自体が高温で焼ける香ばしさが出易くなってまた違ったおいしさが生まれるので、この辺りは好みと意気込みによって加減してください。

③卵を焼きます
卵を焼き始めたらそこから仕上げまでもう一気なので、まずは心の準備。そしてフライパンにサラダ油を入れて中火にかけ、油が水のようにさらさらと動く位にしっかり熱くなったら②の卵液を今一度しっかりかき混ぜて一息に加えます。

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周りから固まってくるので、固まった縁の部分を中に中にと集めるようなイメージでざっくりざっくり混ぜながら焼いていきます。

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流動性がなくなって表面が半熟状に固まったら、フライ返しを下から差し込み、勢いをつけて一気に裏返します。躊躇なく、ただし火傷に注意!勢いで返すのが難しい時は、平らなお皿に一度するっと取り出してから、次に半熟の面が下になるように伏せてフライパンに戻す方法もあります。裏面はフライパンに触れて余熱で火が通る程度でもう十分なので裏返したらすぐ火を止めて、器にごはんを盛りその上にするりと滑らせてのせます。

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④あんを作ります
同じフライパンにあん用の[スープの素+水]を入れて中火にかけ、準備しておいた①の合わせ調味料を加えます。そして沸いたら一度火を止めてから水溶き片栗粉を加えて全体にしっかり馴染ませ、再び火をつけとろみがつくまで混ぜ続けます。ダマが心配になるとろみ付けもこうして火を止めながら落ち着いてやれば上手くいので大丈夫です。

片栗粉にしっかり火が通って透明感が出てきたところに、香りのおろししょうがとごま油を加えたらたちまちあんの出来上がり。合わせ調味料さえ準備しておけば一気にスピードにのれて、いかにも中華風の料理を手早く作っている気分も満喫。

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私は東京暮らしで甘酢あんに馴染みがあるけれど自分で作るのは甘み少なめのあっさり系で、醤油ベースを酢としょうがでよりでスッキリさせたあんをやや多めが今のお気に入り。
これを土台に、酢を引いたり、甘みが欲しければ砂糖を足したりケチャップを足したり、醤油の代わりに塩で味を決めたりオイスターソースを加えたり。色々試してみるとちょっとのことで見た目も味も印象がどんどん変わってとても面白い。外食で冒険するのは少し勇気がいるけれど、家なら味見しながら自分の好みをどんどん探っていけば楽しいと思います。

⑤完成です
先に盛り付けたの卵焼きの上から、熱々のあんをかけて完成。

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この日はちょっとよそ行き用で、斜めに刻んだ青ネギと、缶詰のカニよりもカニらしく見えてしまうカニカマで彩りを添えました。カニカマという食材をこれまで飲食店のメニューで使ったことがなかったのですが、非常におもしろ便利で家の料理では重宝しています。

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親しみやすい中華風料理にはなぜかビンビールが似合う。サッポロラガー通称[赤星]は日本で最も歴史のあるビールブランド。
近所のスーパーに時々入荷して見ると買ってしまう若採りザーサイも、ビールのアテと箸休めにポリポリと最適です。浅漬け風で色も食感もフレッシュ!

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なぜ自分で作るのか、理由がはっきりしているとその料理との向き合い方もはっきりしてくる。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。


お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。