ハーブが香る|手作りソーセージのエッグマフィン
日夜、世界各国の料理を作り続けるデリで働いていた頃、すっかり感化されて家でもハーブやスパイスを揃えていた。初めこそ夢中になって外国風の料理を毎日のように作っては食べていたものの、やはり、たまには醤油と味噌が恋しくなる。そうして段々平熱に戻っていくにつれて、家では本当に自分が好きなものだけを手元に置けば十分という結論に至った。
今常備しているハーブは「ドライオレガノ」だけ。それ以外は作りたい料理が頭に浮かんだ都度よく考え、使い切れそうなら買い、手に余るとなれば潔く諦め、その料理はどこかお店を探して食べに行くことに決めている。
私がオレガノを使って家でよく作るのは「ソーセージ」。と言っても、普段よく見る皮に包まれた細長いものではなく、皮に詰めずに焼くだけのアメリカ風の素朴なタイプ。特売日にはひき肉を多めに買い、塩とオレガノで風味付けして冷蔵庫で寝かせておくと、素朴なとてもおいしいソーセージが出来上がる。
■ソーセージエッグマフィンの作り方■
シソ科のオレガノは、フレッシュより乾燥している方が香りが強くなる珍しい種類。ピザやトマトを使う煮込み料理、メキシコ料理にも欠かせない香り高いハーブです。おいしいソーセージ作りのポイントは、ハーブの香りをバシッときかせること、そして、「箸」で混ぜること!
■動画でもご覧いただけます■
①調味料と豚ひき肉を混ぜて寝かせます
ボウルに[塩/水/こしょう/オレガノ]を混ぜて塩を溶かし、先に「調味液」を作ります。香辛料はこしょうとオレガノだけなので、どちらも水が黒っぽく濁るくらい是非たっぷり多めに加えてください。そこに豚ひき肉を加え、液を全体に行き渡らせるように「箸」で混ぜ合わせます。
箸でひき肉をほぐすようにさっさっと混ぜると、調味液がみるみる肉の粒に吸い込まれて見えなくなり、そうなればもう混ぜ終わり。できるだけ空気に触れないように表面にぴったりとラップを貼り付け、冷蔵庫でひと晩以上〜2日ほど寝かせます。これでソーセージの準備は終わりです。
材料も手順もシンプルだからこそ一つ一つの工程がとても重要で、このソーセージ作りは[⑴先に「調味料と水だけを混ぜた調味液」を作り/⑵そこに豚ひき肉を入れ/⑶箸で混ぜる]の3ステップ。ここで間違えると出来上がりが変わってしまうので、くれぐれも注意してください。
箸で混ぜるのは「手で練る必要がない」から。箸で混ぜると、肉の粒が潰れずそのまま残るので肉らしいおいしさが生きる。寝かせると塩の効果で自然と肉に粘りが出て、あとは焼くだけでしっかり固まります。
普段のひき肉料理は、[まずボウルにひき肉を入れ~そこに調味料を入れ~粘りが出るまで手でよくこねる]場合が多いので、つなぎを加えないのも、箸で混ぜるのも、手で練らないのも、なんとなく不安を覚えるところ。ですが、「いつもとは違う。今日はアメリカ料理を作っているのだ。」と心に念じながら、3ステップをしっかり守れば問題なし。あとは寝かせる時間がおいしくしてくれるので大丈夫です。
②〈1〜2日後〉ソーセージを焼きます
寝かせたひき肉を冷蔵庫から出し、4等分にして丸めます。少し赤みが増していますが、それ以外見た目にはそれほど変化はありません。けれど触ってみると、箸でサクッと混ぜただけのひき肉がむっちむちに変わっていて、その弾力にきっと驚く。練っていないのでひき肉の粒がしっかり残っていて、なのにむっちり。料理において、塩と時間はつくづく偉大です。
豚肉の脂が手の熱で溶けると食感に影響する場合があるので、形作りは手早く。なんとなく丸いくらいで、あまりきれい過ぎない方が雰囲気が出ます。弾力が強く、焼くとぎゅっとかなり縮むので、想像する焼き上がりの径よりも大きめに平たくしておきます。
フライパンに、油を弱めの中火で温め、片面ずつこんがりと焼いていきます。この日は手作りのハッシュドポテトも一緒に焼きました。
生のじゃがいもを粗めの「しりしり器」でしりしりして塩少々を混ぜ、やや多めの油で焼きます。ラップを使うときれいな形に成型しやすい。とにかく、じゃがいもは「切ったら水に晒さず、すぐに焼くこと」。つなぎを使わなくても焼くとじゃがいものデンプンだけでちゃんと固まる。しりしり器が無ければ、千切りにしてからざくざくと包丁で軽く叩くと同じように焼けます。
③目玉焼きとマフィンを焼きます
同じフライパンで、目玉焼きも焼いていきます。アルミホイルをグラスなどにかぶせて簡単に丸いカップを作り、そこに油を敷いて焼くと、専用の型(セルクル)がなくても、きれいな丸い目玉焼きが焼ける。試行錯誤の末たどり着いたこの方法は、身近な素材で手軽にできておすすめです。
黄身が好みの硬さに固まるまで、蓋をして蒸し焼きに。その間にマフィンを半分に割り、トースターや焼き網などで温めておきます。
④完成です
焼きたてのソーセージと、目玉焼き、好みでスライスチーズをマフィンで挟み、できあがりです。噛み応えのあるソーセージをがぶりとかじると、オレガノの芳香とみっしり詰まった肉感が口いっぱいに広がる。つるんと焼きたての目玉焼きも、どちらもこれ以上ないほどシンプル。その素朴さこそがとてもおいしい。
マフィンで挟むと一見こじんまりまとまるけれど、いざ食べればソーセージの肉肉しさに夜も食べたい大満足のボリューム。友には緑のスムージーのビール割りをサラダ代わりに。カリっと香ばしいハッシュドポテトがつまみに最適。
お気に入りのハーブを見つけること。箸でさっくり混ぜること。必要なもの、あるとより良くなるもの、やるべきこと、しなくても足りること。自分にとっての心地よさは、自分で決められます。
それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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