湯気までおいしいシュウマイ 【私のレシピノートから】
お店で食べるシュウマイのイメージは小さなセイロに3個入り、2人連れならまず1個ずつ取り残る1つをどうぞどうぞと譲り合う。やや大ぶりのが2個という店もあるし、定期的に足が向くだんだんめんの店は1個から頼めて男性客の多くは2個頼みそれにだんだんめんとサービスライスでご満悦。崎陽軒のシウマイ弁当を開けると「5個も!」と喜んでしまうぐらい不思議とシュウマイは数が少なめ設定のお店が多い。
なので一度好きな数だけ食べてみたいと思い立ち、自分で作ってみると思いの外気楽な料理で何よりたくさん作ることが出来て、どんどん食べられる軽やかなおいしさがあり驚いた。心いくまで食べたら残った分は冷凍して次回のお楽しみに。
以来シュウマイは食べるのはもちろん、どちらかといえば作るのが好きな料理の一つに加わって、特に春の新たまねぎを使ったシュウマイはふわふわジューシーで季節感も満喫できて大のお気入り。普通のたまねぎは蒸しても食感が残るから細かくみじん切りにしたいところだけど、生でもサクサクとおいしい新たまねぎなら大振りにザクザク切る方が水気も出ず、そのお陰で包丁仕事も軽い。
水蒸気で潤いを与えながら加熱する「蒸す」と言う調理法は、加熱によって素材の過剰な水は除かれて必要な水はしっかり保つ、和洋中を問わずよく使われる重要な調理法。油も使わない、大量の水も使わない、素材の味がとてもシンプルに感じられるから淡くおいしい水気をたっぷり含んだ新たまねぎにもぴったり。湯気までおいしい、シュウマイの季節です。
◼️新たまねぎとマッシュルームのシュウマイ◼️
【使った材料】
・新たまねぎ…1個(170gくらい)
・マッシュルーム…1パック(100〜130gくらい)
・片栗粉⑴…30g(野菜用)
・シュウマイの皮…24枚
[肉だね]
・豚ひき肉…300g
・卵…1個
・塩…2g
・ガラスープの素…2g
・砂糖…8〜10g
・ごま油…10g
・サラダ油…10g
・醤油…10g
・おろししょうが…10g
・酒…30g
・片栗粉⑵…15g(肉だね用)
・黒胡椒…適量、やや多目
調味料の数が多くて一瞬ひるむけど、よく見ると見慣れたものばかり。熱々でおいしく、一度冷めて食感がムチっとしたのもまたおいしい。蒸した後冷凍もできるから、1個でも10個でも好きな数だけ温め直してまたおいしく食べられる。
■作り方はこちらの動画でもご覧いただけます■
①野菜を刻みます
新たまねぎ、マッシュルーム共にやや大ぶりに7〜8mm角くらいに刻みます。生でも柔らかくておいしい新たまねぎとマッシュルームだから、みじん切りというほど細かくする必要がなく大きめの方がかえっていい。
マッシュルームはまず厚みを半分にしてから格子状に切っていくと、たまねぎと同じような大きさの角に切れます。軸もきれいなところは刻んで入れてしまって大丈夫です。
刻んだらさっくりと片栗粉をまぶしておく。肉だねと混ぜ込んだ時のなじみが良くなり、野菜から出てくるおいしい水気も受け止めます。
シュウマイに使うきのこはマッシュルームがいちばんのお気に入り。仕上がりで食感はほぼ感じないのにジューシーさは残り、蒸した時に立ち上る旨味と香り、たっぷり使っているのに隠し味的効果に徹してくれる。洋のイメージのマッシュルームが意外なほどシュウマイに馴染む。
もちろん他のきのこでも。戻した干し椎茸だと本格中華の香り、生椎茸もそれとわかる香りが主張する。しめじ・えのきは蒸しても食感が残るからそれを楽しみたい時にと、きのこは自作シュウマイの楽しみを広げてくれます。
②肉だねをこねます
ボウルに材料、調味料を全部入れてよくこねる。卵や液体調味料がすべるので、まずはそれを揉み込むように全体を馴染ませます。
馴染んだら、そこからはぐるぐるぐると全体が白っぽくなってくるまで、よくよく練り混ぜる。
ここでしっかり練って弾力を出しておくと、次に入ってくる野菜をしっかり受け止めて、出来上がりの形もきれいに蒸し上がります。
③肉だねに野菜を混ぜ込み仕上げます
よくこねた肉だねに、片栗粉をまぶしておいた新玉ねぎ・マッシュルームを優しく混ぜ込んで、たねの完成です。野菜のおいしい水気がここで滲み出さないように、全体に行き渡る程度に優しく優しく。
ひき肉と野菜の量は同量が目安、これが軽い食感のポイントでもある。肉だねに対して野菜の量が多い感じがして混ぜ込むのについ力が入りそうになっても、ぐっと堪えて優しく優しく。
④包みます
いよいよシュウマイの形作り。皮を1枚取ってその上にタネを適量のせたら、にゅっと握るようにすると、もうシュウマイの形です。
私は右利きなので右手でスプーンを持ってタネをすくい、左手で皮を持って握るから慣れない内は左手がちょっとぎこちないけど、いくつかやるうちに段々慣れてそれらしくなる。皮の端が浮いていると蒸した後で固くなってしまうので、しっかりとタネにくっつけておきます。
シュウマイといえばグリンピースのイメージ、とはいえ最近は何ものっていない方が多いみたい。でも、やっぱり彩りに青い豆が欲しくなってこの日は冷凍の枝豆をのせました。片栗粉をまぶしてから押し付けるようにしっかりくっつければ、蒸した後ぽろっと取れにくい。
豆をくっつけた時ちょっと形がつぶれてしまうのは蒸す前にまた軽く握って整えれば大丈夫。蒸すと生の時よりちょっとずんぐりするので、それを見越してぎゅっとしておく方が蒸し上がりで丁度よくなる。シュウマイを形作りながら、蒸し器にたっぷりお湯を沸かして温めておきます。
⑤蒸します
蒸し器にお湯がしっかり沸いたら、シュウマイがくっつかないようにクッキングシートをしいて少しずつ離して並べ、蓋をして蒸します。並べる時だけ火を弱めて、蒸気の火傷にはくれぐれもご注意ください。蓋を閉めたらまた火を強め、しっかり蒸気が出ていることを確認して大体13〜15分くらい蒸していきます。
蒸し器となると少しハードルが高い印象だけど、普段の鍋を蒸し器としても使えるすのこもあります。一度蒸し料理のおいしさに目覚めると色々蒸したくなって、薄切り肉と野菜を一緒に蒸してポン酢をつけて食べたり、今の季節ならぷっくり蒸した牡蠣なんかもたまらなくおいしい。
⑥で、完成です
たっぷりの蒸気で見た目にもふっくらとして中まで火が通ったら完成です。心配なときは1個割ってみてください。
好みでカラシ醤油やそこに酢を少したらしたりとお好きなものをつけながら、まずは蒸したてのほわほわ食感を熱々でぜひ。これまた火傷に注意!
新たまねぎもマッシュルームもただただしっとり、おいしい水分がたっぷりです。
この日の友はベルギービール/ヒューガルデンのロゼ。豚肉と果物は相性が良くお料理で組み合わせて使われることも多いから、そのイメージでフランボワーズ味のフルーツビールを合わせてみました。醤油をつけたシュウマイとビールの甘さがうまくバランス、3%の低アルコールも優しくてふんわり軽やかに楽しめました。ロゼ色もきれい。
しゅんしゅんと蓋の隙間からもれるおいしい湯気の匂いをかぎながら待つ時間。それも含めた全部がシュウマイという料理だと思う。
それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。