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ビール、新じゃが、ジャーマンポテト。

待ち合わせの前に少しの時間ができたら、1杯の冷たいビールで待つのがいい。何かつまもうかとメニューを隅々まで繰り返し見るものの、結局頼むのは、フライドポテトかポテトサラダかに決まっている。じゃがいもとビール。これほどどこの店であっても外さない組み合わせは他にない。

そして、気温が上がってビールがどんどんおいしくなる頃を見計らうように出回る新じゃがを見れば、これは料理しないわけにはいかない。どうせ自分で手を動かして作るなら、間違いなくおいしい料理が良いに決まってる。ビールのため、新じゃがのため、ひいては自分のため。ジャーマンポテト、間違いなくおいしいじゃがいも料理です。

■ジャーマンポテトの作り方■

・じゃがいも(新じゃが) 350〜400g(Lサイズ2個分位)
・水…100g位
・ベーコン(ブロック)…100g
・たまねぎ…1/2個(150g位)
・にんにく…1かけ
・オリーブオイル…20g〜
・マスタード…15g〜
・胡椒…お好みで
・塩…適量

あっさりとした口当たりの良さが持ち味の新じゃがは、少なめの水で蒸すようにすると味も抜けずにしっとり仕上がる。下ごしらえから仕上がりまでフライパン一つで完結できる手軽な作り方です。あくまでメインはじゃがいもだから、その素朴な味わいを生かすために合わせる材料はごくシンプル。その分それぞれの持ち味をしっかり引き出して最大限利用するのがポイントです。

YouTubeに動画を投稿しています。


①じゃがいもを蒸します

皮をむき、一口大に切ります。じゃがいもは加熱してもそれほど小さくならないので、フォークで口に運んだ時を想像しながら、自分が食べやすそうな大きさに切ってください。この日は大きめの新じゃがを使用。皮が薄い新じゃがは皮ごと食べる場合も多いですが、こうして切って料理すると結局途中ではがれてきてしまうので、先にむいています。

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新じゃがの皮なら丸めたアルミホイルでこするとつるっとむけて、少しも実を削らずに使えます。上手くむけない時はピーラーを使うかそのまま残しても大丈夫。芽や緑色になった部分は毒素を含むのでしっかり取り除きます。泥付きの芋や根菜を洗ったり皮をこそげるのは、いつも丸めたアルミホイルを使っています。使い捨ては少々もったいないけれど、その分とても衛生的。

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表面のデンプンをさっと水で洗ってフライパンに入れ、少なめの水と下味として1つまみの塩を振って中火にかけ、蓋をして6〜7分ほど蒸していきます。あくまで茹でるのではなく、じゃがいもが柔らかくなるまでの間蒸気が保てれば良いので、水の量は底から1cm位(100g目安)で足りると思います。もし柔らかくなる前に水がなくなったらまた少し足せばいいので少なめで。

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②他の具材を切ります

じゃがいもを蒸している間に、他の具材を切って準備します。旨味と香りの出汁的役割に加え大事な具でもあるベーコンは、その両方を満たすブロックがおすすめ。1cm幅くらいの棒状に切りました。

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たまねぎは縦の繊維に沿って6〜7mm位にスライス。にんにくも薄切りに。どちらもあまり薄すぎない方がこの素朴なお料理に合うので、大まかで。

③炒めます

じゃがいもの蒸し時間が経ったら箸で割ってみるか刺してみて、すっと抵抗なくいけば蒸し上がり。ほんのり芯がある程度なら、この後炒めてさらに火が入るのでそのまま進みます。水気が残っていればフライパンを揺すりながら飛ばし、弱火にしてじゃがいもを奥に寄せ手前半分を空けます。

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空いたところにオリーブオイルとにんにくを入れ、香りを出すように弱火でじわじわ加熱します。じゃがいもにもオイルを回しかけておけば、フライパンに接している部分が油で揚げたようにカリッとなって香ばしさが出ます。

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同じ場所にベーコンも加え、できるだけ面でフライパンに接するように並べます。一面ずつ焼くイメージであまりいじらずに、片面に焼き色がついたら裏返して、おいしい脂と香りを引き出すようにさらにじっくり焼いていきます。途中にんにくが色付いてきたら、焦げないうちにじゃがいもの丘の上に移動してください。

なんだかせせこましくて面倒な感じもするけれど、このベーコンの丁寧な焼き作業がもたらす結果は、決して自分を裏切らない。

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脂が出ておいしそうな焼き色がついたらこちらもじゃがいもの丘に移動して、最後ににんにくとベーコンの香りが移ったおいしいオイルでたまねぎを炒めます。水分を早く引き出すための塩をひとつまみ振って一度炒め合わせたら、やはりあまりいじらず時々上下を入れ替えるように混ぜながら火を通していきます。

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④完成です

たまねぎのカサがぐっと減り甘い香りがしてきたらマスタードを加え、好みで胡椒を振って全体を炒め合わせれば出来上がりです。マスタードは粒やイエローマスタード、手持ちのものを使ってください。無しでもベーコンの旨味と胡椒の香りでもう十分おいしいけれど、あるともっとおいしい。

私は専ら粒のないフレンチマスタードタイプ(ディジョン)を愛用。まろやかな香りと酸味がこうして隠し味や調味料としてもさりげなく馴染んで使い易く、サンドイッチのパンに塗ったり、ソーセージやハムに添えるのもこれ1本。

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茹でずに蒸した新じゃがはきめ細かな舌触りに、所々にオイルでカリッと焼けた食感と香ばしさもあって、それだけで興奮するおいしさ。そこにじっくり焼いたベーコンの香りと塩気、玉ねぎのしっとりとした甘さ、マスタードの香味が加わって、見た目の素朴さからは想像できない深みのある味わいに仕上がっています。

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友はもちろんビール!600年以上の歴史を持つドイツビールの代表格「レーベンブロイ」を。アサヒビールがライセンス契約を終了し一時姿を消していたのが、韓国での生産が始まり昨年日本再上陸。副原料を使わず伝統製法で造られるなめらかな味わいは長年愛飲する日本のファンも多い。バーテンダー時代とてもお世話になった銘柄で、また日本で飲むことができてとても嬉しい。
じゃがいもとビール、プレッツェルとビール、この瞬間はこれ以上の幸せは思い浮かばない。成城石井で見つけたプレッツェルが笑いかけてくるよう。

食べたい気持ち、行きたい気持ちを蓄えることは、いつでもできる。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。


お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。