見出し画像

炒め野菜と豚肉の旨味|おとなの豚汁

思えばもう随分昔のことになるのに、年の暮れが近づくとふっと修行時代の記憶がよみがえる。西洋料理の世界ではクリスマスがある12月は一年の中でも特別な月。レストランの厨房で経験した“渦”のような忙しさは深く心に残っている。

高い緊張感の中で立ち働くそのひと月は、正直空腹感など殆ど感じないのだけれど、だからこそ意識してしっかり食べなければ体がもたない。当時、人生初のまかない係を任されていた私が献立に行き詰まるとよく作ったのが、いつも店にある買い置き野菜と仕込みで出た切り落とし肉に、覚え立てのフレンチの技法を取り入れて作った『豚汁』だった。

張り詰めた冷たい空気を頰に感じる季節が来ると作りたくなる、私にとって特別な料理、それが『豚汁』。その店に入って初めて自分のイメージ通りに仕上がった料理であり、料理人として悩める若き日の私の心を強く鼓舞してくれた。

1つでも自分がおいしいと思えるレシピがあると、人は強くなれる。今も当時のレシピのままで作り続けています。

発売中の書籍『おとな料理制作室へようこそ』(ワニブックス刊)に掲載の料理から『おとなの豚汁』の動画を公開しました。出汁を使わずお水で十分。見慣れた材料だけで、まだまだ新しいおいしさに出会えます。フレンチレストランの厨房で生まれた私の『豚汁』を一度お試しいただけたら嬉しいです。(詳しいレシピはぜひ書籍にてご覧ください)

●まさにポタージュ『豚汁』
フレンチの技法を取り入れてまかないで作った豚汁は、できあがってみるとまさにポタージュでした。(potage=フランス語でスープのこと)


ワニブックスのWEBマガジン[WANI BOOKOUT]では、豚汁と同じくレストラン修行時代の思い出の料理で、書籍掲載の『コキーユ-サンジャック』(ホタテのグラタン)が紹介されています。そちらもぜひご覧ください。


それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。


お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。