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初めての一人旅。ベトナムに行ったときの話

2015年3月
私は初めて海外に一人旅に出た。

学生時代から8年半ほど付き合っていた彼と
別れたことがきっかけだ。

彼とお付き合いしているときは、
前半こそ華やかで楽しかったけれど、
後半はとても制限が多く、苦しかった。
着る服、髪型、見るテレビ番組などなど。

私はバックパッカーや海外一人旅に
ずっと憧れていたが、
彼は私が海外に興味を持つのを嫌ったので、
当然それができるはずもなかった。
(反対を押し切って旅に出る勇気も
当時の私にはなかった。
当時のことはいつか書くかもしれない。)

まあいろいろあったが、
彼と別れたとき思ったのは、
「やるなって言われたこと、
全部できる。全部やろう!」だった。

そんなわけで、
「やるな。」のひとつ、
「海外一人旅」が
ついに実現されることとなった。

雑貨が好きだったのと物価の安さで
行き先をベトナムのホーチミンに決めた。

自分でその日行く先や
食べるものを選べる喜び、
自分のタイミングで休める喜び、
自分の力で行動できる喜びを
心の底から味わい、知った旅だった。
やってみれば案外できるもんだと思った。

(夜のサイゴン川を眺めながら、
「ここには知り合いが誰もいない。
今バイクに轢かれて死んでも
ひとりぼっちか。」
と、少し感傷的にもなったけれど。)

帰りは深夜に現地を出発し、
早朝に関空に到着する便を選んだ。
ベトナム航空の後方の
真ん中の列の座席だった。

私の右隣に
60代くらいの日本人女性が座っていた。

離陸してすぐ、
「日本人?一人で来たの?」と
女性が私に話しかけてきた。
「一人です。」と答えると、
「なんで?」と驚いた様子だった。

そこから彼女との会話が始まり
いろんな話をした。

娘と孫と3人で来たこと。
よくご主人と海外に行っていること。
有名どころはほとんど行ったけど、
中でもウユニ塩湖がとてもよかったことなど。

私の別れに関しては
「そんなに長く付き合ったのに?
腹立つなぁ。」などと、
私以上に怒ってくれた。
(私はすでに吹っ切れていた。)

機内で寝る気満々で深夜便をとっていたが、
彼女とはとても会話が弾み、
お互い途中少し眠りながら
コソコソと会話をした。


彼女は私の大好きな母方の祖母に
顔がよく似ていた。

連絡先こそ聞けなかったけれど、
9年経った今も、
彼女の言葉をしっかりと覚えているし、
思い出すし、支えられている。
(実は、パスポートからチラッと見えた
名前も、今でも覚えている。)

「人生は
ジェットコースターみたいなもん。
ぴゅーんと上がったと思ったら、
どーんと落ちる。そしてまた上がる。
そんなもんよ。」

「人生を本やと思い。
別れなんてほんの1ページ。
あんたには
まだまだたくさんのページがある。」

もし辛いことがあってもほんの1ページ。
まだまだたくさんのページが
私に用意されているなら、
その先をめくりたい。

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