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ソフトウェアエンジニアリング会社からメーカーに転職してみて

自分はソフトウェアのエンジニアとして10数年のキャリアを積んできた。
ただソフトウェアエンジニアといっても会社としてはほぼ派遣業。社員は客先の会社に常駐してそこで派遣社員としてソフト開発の業務に携わる。
IT業界にはこのような働き方が多い。

そんないわゆるソフトウェアエンジニアリング会社から自社で製品を作って売るメーカーに転職してみて感じたことを今日は書いていこうと思う。

前職ではソフト開発のことだけを考えていればよかった

基本的に前職のソフトウェアエンジニアリング会社では、ソフト開発のことだけを考えていればよかった。
ソフト開発とは、プログラムを組んだり設計書を書いたり仕様の確認や試験方法の検討や実施をしたり。
既に決まった仕様に合わせて如何にソフト開発を行っていくかというのが業務の内容だった。
仕事としてもソフトウェアを納めればよいのでそれ以外のことを考える必要はない。(さらに言うなら派遣という業態だったので、規定時間職場にいるだけでもよいとも言える)

メーカーなので販売戦略や製品の性能など検討すべき内容が非常に多い

一方で現職はメーカーであり、実体のある製品に付随するソフトウェア開発に携わることになった。
製品もソフトウェアも自社のものであり、それを自社で販売して初めて利益がでる。
それをいかに売っていくか、売れるものを作っていくかを考えていく必要がある。いわゆる販売戦略というやつだ。
そのあたりの、ソフトウェアの中身以外のところで考えなければいけないことが非常に多いんだなと感じた。
これは実際に転職してみないと分からなかったことだ。

言われたものを納めてお金をもらう請負業務では、言われたことをやりさえすれば確実に利益になる。しかしその利益はやはり限定的であるし、受注が続くかは発注元の都合次第だ。それが低い給料や不安定な雇用につながる。

メーカーでは実際に売れなければ利益にならないというリスクがあるが、売れれば利益は大きい。それが自分たちである程度コントロールできるというところが大きいだろう。

お客様第一にかわりはないが

いずれも商売なので、お客様第一であることには変わりはないが、異なる点は、製品の性能(仕様)を決めるのが自分たちかお客さんかの違いだ。
ソフトウェアエンジニアリング会社時代は製品の性能(仕様)はお客さんが決める。お客さんが決めたものに合わせてソフトウェアを作って納める。
メーカーでは製品の性能は自分たちで決める。
製品を納めるお客さんというのは特定の人物ではなく不特定多数の場合が多い。より多くのお客さんに喜んでもらえるにはどうしたらよいか、他社の製品との競争もある。そのあたりを考えて性能を決めていくという作業がここに入ってくる。

聞く側から聞かれる側に

ソフト開発では決められた仕様を満たすようにソフトを作っていく。
この仕様が曖昧だった場合はソフトウェア開発の人間が仕様もとに色々と聞いていくということが一般的だ。
これまでは聞く側だった。しかしそれがいっぺんして聞かれる側になっている。
もちろんきちんと答えられないことは多いが、わからないことも自分の判断である程度答えてしまってもよいという
つまり、どのような仕様にしていくかは自分たちで決めていかなければならない。これがソフトウェアエンジニアリング会社とメーカーの大きな違いかも知れない。

ソフト開発だけをがっつりやっていたいという人にとっては面倒かも

ではメーカーの方がよいかといわれるとそうとも限らない。
やはり面倒な工程は多い。
ソフトと関係なく、ものによっては意味のない手続きを永遠とやり続けなければならない。出世して管理職になるほどにプログラムをいじることなど全く出来なくなる人も少なくない。

ソフトいじるのが好きで、プログラムをずっと組んでいきたい、その道で腕を極めていきたちという人にとってはストレスになるだろう。
エンジニアリング会社でもプライム案件と言われる1次請けを多く抱えるような会社では単価も高くその分待遇もよいと聞く。
高い技術力を求められるがそこで活躍し続けるというのもありだとは思う。

いずれも知るということが貴重な体験になった

それぞれでやることが大きく異なるということ、メーカーで働くということがどういうことなのかということも、前職の会社を出てみて初めて知ることが出来た。
メーカーが誰にとっても最適解ではないなということを知ることもできたし、ソフト開発にかかわる会社といっても業態や規模によって全然世界が違うんだなということを知れたということが、自分にとっては非常に貴重な体験となった。

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