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シュメル―人類最古の文明


シュメル―人類最古の文明

 古代文明が好きな方に、お勧めの本です。
 古代メソポタミア文明を担【にな】った、シュメル人について、書かれています。

 古代メソポタミア文明は、現在、確認される限りでは、人類最古の都市文明ではないかといわれますね。
 そのメソポタミア文明を生んだのが、他ならぬ、シュメル人です。

 メソポタミア文明は、何千年もの間、続きました。その間、ずっと同じ民族が、文明を担ったわけではありません。いくつもの民族が現われて、交代してゆきました。
 シュメル人は、そのトップバッターを務めた民族です(^^)

 人類の文明を生んだ人々なのに、彼らについて書かれた資料は、多くありません。
 それには、理由があります。あまりに古すぎて、わかっていることが少ないのです。

 本書は、日本語で読めるシュメル人の資料としては、最も手軽なものだと思います(^^)
 新書なので、大きさの点でも読みやすく、値段の点でも入手しやすいです。

 文章も、平易で、読みやすいです。図版も多く、理解を助けてくれます。
 ただ、馴染みのないシュメル語の単語が頻出【ひんしゅつ】するのだけは、どうしようもありませんね……。固有名詞は、がんばって覚えるしかありません(^^;

 あと、時代や地理についても、普通の日本人には、馴染みの薄いところが扱われます。本書にある年表や地図と、首っ引きになりながら読む羽目になるかも知れません。私が、まさにそうでした(笑)

 けれども、そのような苦労をしながらでも、本書は、読む価値があります(^^)

 今から五千年ほど前に始まった、人類最古の都市文明には、すでに、現代の文明が抱えるのと同種の問題が、現われていました。
 現代の文明を考えるヒントが、シュメルの中にあります。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はしがき
はじめに

序章 むかしイラクは…… メソポタミアの風土
 ティグリスとユーフラテスの間で
 メソポタミア文明のあけぼの
 その後のメソポタミア

第一章 文字はシュメルに始まる 楔形【くさびがた】文字の誕生
 文字の誕生
 楔形文字を読む
 コラム 「吉川作」葦【あし】のペン

第二章 「ウルク出土の大杯」が表す豊饒の風景 努力の賜物
 農業の風景
 神殿と儀礼
 コラムなつめやしの使い途【みち】

第三章 元祖「はんこ社会」 目で見るシュメル社会
 はんこの発明
 円筒印章の出現
 はんこは語る

第四章 シュメル版合戦絵巻 都市国家間の戦争
 戦争のはじまり
 ウルのスタンダード
 王碑文の役割
 最古の戦争記録「エアンナトゥム王の戦勝碑」
 コラム 城壁、城門が描かれた地図

第五章 「母に子を戻す」 「徳政」と法の起源
 祈る王
 世界最古の「徳政」
 ウルイニムギナ王の改革碑文
 最古の「法典」

第六章 「真の王」サルゴン 最古の国際社会
 異民族の王
 サルゴンの功業
 民族対立はあったか

第七章 最古の文学者エンヘドゥアンナ王女 読み書きと学校
 王女・女神官・詩人
 学校へ通う王
 学校の生活

第八章 紹介する神 神々の世界
 個人の神
 さまざまな合成獣
 最高神の交替

第九章 「バベルの塔」を修復する王 統一国家形成と滅亡
 ウル第三王朝とジグラト
 シュメルの滅亡

終章 ペンを携帯した王 シュメル文化の継承

あとがき
図版提供・出典一覧
主要参考文献
索引



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