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恐竜の力学


恐竜の力学

 「恐竜が、実際に、どのように動いたのか」を探究した本です。
 あまたの恐竜本の中でも、異色の名著だと思います(^^)

 この本の日本語版が出たのは、一九九一年です。原著の英語版が出たのは、一九八九年です。
 普通の理系の本なら、二〇年も前の本は、とうに時代遅れでしょう。
 しかし、この本に限っては、そんなことはありません!

 「恐竜の骨格や、足跡化石などを調べ、そこから生きている姿を復元し、動きを推測する」という研究の手法自体は、二〇一一年現在でも、まったく古びていません。
 原著が出た一九八九年の時点で、科学的に見て使える(まっとうな)データを使って、恐竜たちの動きが再現されています。

 例えば、巨大なサイに似た角竜トリケラトプスは、サイのように走れたのでしょうか?
 異常に長いと見える尾を持つディプロドクスは、その尾をどのように使ったのでしょうか?
 発達した頭骨を持つ堅頭竜ステゴケラスは、その頭をぶつけ合ったのでしょうか?

 これらを調べた結果が、本書に載っています。

 本書で探究されているのは、恐竜の動きだけではありません。他の絶滅動物についても、調べられています。

 例えば、巨大な翼竜プテラノドンは、どうやって空を飛んだのでしょうか?
 イルカにそっくりな魚竜イクチオサウルスは、イルカと同じように泳いだのでしょうか?
 首長竜プレシオサウルスは、あの鰭【ひれ】をどう使って泳いだのでしょうか?
 鳥類としては、史上最大の卵を産んだといわれるエピオルニスは、その卵が孵化するまでに、どのくらい時間がかかったのでしょうか?

 絶滅動物が好きな方なら、どれも、興奮させられる研究成果ですね(^^)

 文系の方には、やや、難しいと思われる部分もありますが、読んで損はない内容だと思います。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

第1章 恐竜とは何か
第2章 恐竜の重さを計る
第3章 恐竜の足跡
第4章 恐竜の強度
第5章 恐竜の首と尾
第6章 闘い歌う恐竜たち
第7章 恐竜の血は熱かった?
第8章 空を飛ぶ爬虫類
第9章 海の爬虫類
第10章 巨大爬虫類の死
第11章 巨大鳥類
第12章 巨大哺乳類
第13章 エピローグ

刊行にあたって
参考文献
索引



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