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ヴードゥーの神々―ジャマイカ、ハイチ紀行


ヴードゥーの神々―ジャマイカ、ハイチ紀行

 ヴードゥー教について、日本語で読める文献としては、最良のものの一つです(^^)
 一九三〇年代の、ハイチでのヴードゥー教の実態が、書かれています。

 二〇一二年現在からすれば、いささか古いのは、確かです。けれども、日本語で読める文献の中で、これほど生き生きとヴードゥー教を描いたものは、ほとんどありません。

 本書には、ハイチのヴードゥー教ばかりでなく、ジャマイカのポコマニアについても、書かれています。やはり、一九三〇年代の情報です。
 ポコマニアとは、ジャマイカの民俗宗教です。ハイチのヴードゥー教と似ていますが、同じではありません。

 ポコマニアについて、日本語で書かれた文献は、ヴードゥー教以上に少ないです。
 本書は、貴重な資料です。

 ハイチもジャマイカも、カリブ海に浮かぶ島国ですね。この地域の情報は、日本では入手しにくいです。
 この地域には、クレオール文化と呼ばれる文化が根づいています。ジャマイカの有名な音楽、レゲエなども、クレオール文化の産物です。

 クレオール文化とは、「ごちゃ混ぜ」文化といえます。カリブ海諸国を植民地化したヨーロッパ人の文化と、そこへ奴隷として連れて来られたアフリカ人の文化とが、混淆してできた文化です。

 ハイチのヴードゥー教も、ジャマイカのポコマニアも、クレオール文化そのものです。
 アフリカ人の民俗宗教に、ヨーロッパのキリスト教の影響が、混ざっています。

 クレオール文化を知りたい方には、本書は、必読と言えるでしょう。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

序文  イシュメイル・リード

第一部 ジャマイカ
 第一章 雄鶏の巣
 第二章 カレー・ゴート
 第三章 猪狩り
 第四章 通夜の歌
 第五章 カリブの女たち

第二部 ハイチの政治と人々
 第六章 国家の再生
 第七章 次の百年
 第八章 黒いジャンヌ・ダルク
 第九章 ルコントの死

第三部 ハイチのヴードゥー
 第十章 ヴードゥーの神々
 第十一章 ゴナーヴ島
 第十二章 アルカーエと、その意味するところ
 第十三章 ゾンビ
 第十四章 セクト・ルージュ
 第十五章 パルレー・シェヴァル・ウ(わが馬よ、語れ)
 第十六章 墓場の士、その他の毒
 第十七章 ドクター・リザー
 第十八章 神とホロホロ鳥【ちょう】

訳者あとがき

補遺
 ヴードゥーの神々に捧げる歌
 雑歌



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