見出し画像

河童伝承大事典


河童伝承大事典

 文字どおりの「大事典」です。日本全国の河童の伝承を集めています。
 その数、なんと、五千四百件以上。ページ数にして、七百六十ページ以上あります。

 日本の河童の資料として、これ以上の本はないでしょう。
 評価の星は、可能ならば、五つどころか、六つ星を付けたいです。

 二〇一一年二月現在、本書は、残念ながら、古本でしか入手できないようです。しかも、プレミアが付いて、高い値段です。
 それでも、「河童マニア」や「河童研究家」を名乗りたいなら、手に入れてしかるべき本です。

 今後の河童研究においては、基礎文献とすべき本ですね。
 この本を一ページも読んだことがないのに、「河童研究家」を名乗る人がいたら、私は、その人を信用しません。

 たいへん価値のある本ですが、読み通すのは、つらいと思います。
 量もさることながら、同じような話が多いからです。繰り返しにうんざりします(^^;
 私は、一か月と二十日くらいかけて、全部、読みました。

 似た話が多い中でも、地方ごとの特色は、現われています。すべて読み通せば、地方ごとの河童の違いが見えるでしょう。

 地方ごとに、河童が、違う名で呼ばれていることも、わかります。
 というより、それぞれ違う水の妖怪だったものが、「河童」に収斂【しゅうれん】されたのでしょう。
 「日本には、水にまつわる伝承が、こんなに豊かにあったんだ」と思います。

 河童に限らず、日本の妖怪に関心がある方は、この本を読んで、損はありません。
 河童と、他の妖怪とをつなぐ伝承が、本書にはいくつも出てきます。
 私自身、「えっ! これって河童の伝承だったんだ。他の妖怪の話かと思っていた」と驚いた伝承が、いくつかありました。

 河童のみならず、日本の妖怪研究に、大きな一歩を記す本です(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

北海道  北海道

東北  青森県
     岩手県
     宮城県
     秋田県
     山形県
     福島県

関東  茨城県
     栃木県
     群馬県
     埼玉県
     千葉県
     東京都
     神奈川県

北陸  新潟県
     富山県
     石川県
     福井県

中部  山梨県
     長野県
     岐阜県
     静岡県
     愛知県
     三重県

近畿  滋賀県
     京都府
     大阪府
     兵庫県
     奈良県
     和歌山県

中国  鳥取県
     島根県
     岡山県
     広島県
     山口県

四国  徳島県
     香川県
     愛媛県
     高知県

九州  福岡県
     佐賀県
     長崎県
     熊本県
     大分県
     宮崎県
     鹿児島県

     沖縄県

主要参考・引用文献
あとがき



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?