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速攻:ストレスを溜めないための呼吸法

なんの道具も準備も必要なく、いつでもどこでもすぐに行えるストレス解消法の代表格が「呼吸」です。

呼吸は心と体の間の架け橋であり、意識と無意識をつなぐ役割も担っています。この「呼吸」が、わたしたちの身体・メンタル・スピリチュアルな健康を語る上で重要な鍵となります。


呼吸は意識と無意識で働く唯一の機能

「呼吸」というのは不思議な存在で、唯一意識と無意識の両方で制御される機能です。普段、心臓の鼓動や血液の循環機能などは無意識のうちに行われて、意識的に直接コントロールすることはできません。一方で、呼吸も普段は無意識のうちに行われていますが、意識を向けた瞬間にコントロール可能な機能となります。つまり、呼吸機能だけは、随意神経系 (VNS: Voluntary Nervous Systrem)と不随意神経系 (INS: Involuntary Nervous Systrem)あるいは自律神経系(Autonomic System)の両方で制御されています。

腹式(横隔膜)呼吸

私たちが普段行っている呼吸には、大きく胸式呼吸と腹式呼吸の2種類があります。胸式呼吸で息を吸うと、胸と肩が上がり、腹式呼吸の場合は、腹部が膨らみます。つまり、両者の違いは、呼吸したときに、胸と腹の境目にある横隔膜が動くかどうかです。胸式呼吸ではこの横隔膜はあまり動かさず、浅い呼吸で肺にすばやく酸素を取り入れることができます。一方の腹式呼吸で横隔膜を動かすことから「横隔膜呼吸」とも呼ばれ、ゆっくりと深い呼吸をすることで沢山の酸素を取り入れることができます。この深い呼吸をするときに、より副交感神経が優位な状態となるためリラクゼーションを誘い、心身の健康に良い効果をもたらすことが、多くの研究で明らかにされています。

横隔膜呼吸でストレスホルモンが軽減

ストレスホルモンの一種であるコルチゾールは、ストレスのかかる状況に反応して分泌され、うつ病や不安といったネガティブな感情と関係しています。 2017年に北京で行われた研究では、安静呼吸を15分行った後に、15分間の横隔膜呼吸を行うという実験を毎日8週間続けたところ、多くの被験者の唾液中のコルチゾールが大きく減少したという結果が出ています。これは、健康な成人がストレスによって受けたネガティブな生理的・精神的影響を、横隔膜呼吸の実践によって軽減できることを示しています。

ストレス解消の腹式呼吸方法:

【基本姿勢】
肩の力を抜いて椅子に座る(立ったままでもOK)
肩を動かさないようにして、下腹部(ヘソの下)に手を当てる

【吸う】
腹式呼吸で4秒で鼻からゆっくり息を吸う
おなかが膨らみ、横隔膜が下がるのを感じる

【吐く】
4秒間(目安)息を止めたあと、8秒かけて口から息を吐ききる
おなかがへこみ、横隔膜が上がるのを感じる

呼吸の秒数はご自身の心地よい長さに調整してください。
目安としては、吸った時間の約2倍の時間をかけて、(たとえば、5秒かけて吸ったら、10秒かけて)息を全て吐ききるようにしましょう。


ハートフォーカス呼吸

ハートフォーカス呼吸法は、米国のハートマス研究所によって開発された、ストレス反応の強さを軽減するためのテクニックです。 ストレスによって乱れてしまった感情を中和して心の落ち着きを取り戻し、さらにポジティブな感情をも生み出すための技法となります。

Heart Intelligence (心臓の知性)を活用!

心臓の辺り(ハートエリア)に意識の焦点を当てて、愛や感謝といった感情をイメージして活性化させることによって、心臓のリズムが影響を受けて、より一貫性(Cohorence) のあるリズムを生みます。これにより交感神経系の活動を抑制され、副交感神経系の活動を増大されます。つまり、ハートエリアに意識を向けることで、ハートハス研究所によると「心臓の知性 (Heart Intelligence) が活性化され、自律神経系のバランスが調整され、ストレス緩和ホルモンを増幅させるようです。 すでに企業への導入事例もあり、たとえば米国のモトローラ社やカリフォルニア州司法省などの大企業で、従業員のHeart Intelligence活性化の影響を測定する研究プロジェクトが実施したところ、睡眠障害、疲労、緊張、消化不良、体の痛みなど一般的なストレスからくる症状をもっていた従業員の多くが、それらの症状を軽減することができました。

感情、メンタル機能とパフォーマンスとの関係を理解することはとても重要です。人間はストレスを感じると、心臓のリズムに一貫性 (Cohorence)が失われ、神経系と心臓のリズムが同期しない状態 (Incoherent) となります。この状態が慢性的に続くと、脳内の部位である視床が本来持っている、脳皮質活動を同調させる能力に阻害が発生し、その結果、心身ともの健康状態に悪影響が及びます。

この意識的な呼吸を行うことで、「呼吸」というものが、いかに心身の働きに一貫性を作り出すプロセスの出発点であることに気づくでしょう。 ハートエリアを意識したこのハートフォーカス呼吸は、Heart Intelligenceにアクセスし、オーケストラでいう指揮者のような役割を発揮してもらい、一貫性を失った状態から回復させるためのシンプルなテクニックです。 この呼吸法は、ストレスに対する反応を抑えるのにとても有効なものです。

ストレス解消のハートフォーカス呼吸法:

  1. 心臓の周辺(ハートエリア)に注意を集中する

  2. 呼吸があたかもハートエリアから出入りするイメージし、いつもより少しゆっくり、深く呼吸をする

呼吸する時間の目安としては、吸って吐くの両方とも5秒程度が目安ですが、ご自身の心地よいタイミングで行いましょう。 慣れると、このような簡単な方法でストレスをすばやく軽減させることができるようになります。

- Takeaways - 

  • 「呼吸」は、心身を健康な状態に保つための重要なファクター

  • 横隔膜を動かす腹式呼吸を実践することで、ストレスによる影響を軽減することができる

  • ハートフォーカス呼吸によって、心臓が秘める知性(Heart Intelligence)を活性化し、心身の乱れたリズムを回復しストレス反応を抑制できる


(参考)
・Immink, M. A. (Ed.). (2017). The effect of Diaphragmatic Breathing on Attention, Negative Affect and Stress in Healthy Adults
・McCraty, R. (2015). SCIENCE OF THE HEART
・Childre, D., & Martin, H. (1999). The HeartMath Solution
・Rozman, D., & McCraty, R. (2013). HeartMath Brain Fitness Program.


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