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生きもの、命 -1-

第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門に正式出品され、カメラドール スペシャル・メンション(特別表彰)を受賞した話題作『PLAN75』を観てきました。

授賞式の5/29にニュースを見ていたらちょうどインタビューの場面で、コンペティション部門に出品された是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』ももちろん取り上げられていたのですが、それよりもこの『PLAN75』の早川千絵監督のまなざしが、真剣というか、冷静で、何か真なるものを見定めているように感じられて、受賞を喜ばれているのに心の底から喜んではいないような、とにかく目が離せなくなってしまい、私にとって久しぶりに公開日が待ち遠しい作品になりました。

一人でも多くの方に観ていただきたいので詳細は書きませんが、公開されている範囲の内容に触れたいと思います。

75歳以上の方に死の選択ができる制度。もちろんこれは架空の制度であり、現実の世界では政治家の皆さんも70代以上の方が多いですし、今現在で言えば成り立たつはずはないものだと頭では充分分かっているのです。

にもかかわらず、
リアルなのです。

おそらく早川監督が実際に75歳以上の方に取材をされたり、「自己責任を押し付ける社会の在り方」「不寛容な社会」と仰っているようなものが、今私たちが暮らすこの現実に確かに存在しているから、映画の中にも描かれているその有様をリアルに感じてしまうのだろうと思いました。


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もしこれが現実になったとしたら・・

自然災害、コロナ、戦争、物価高騰・・と起こる中で、今では多くの方がこの社会や地球の存続のために少しずつ考え方を変えていこうとされているはずですので、様々に気づいたことをプラスに変換しようと挑み続けていければこういうことは起こらないのだろうと思いますが、
もしこれが現実に起こるとしたら、その時の私たちの総意がどんなものであるのだろうと考えてみました。


① お金を判断基準の主軸にしている価値観

こちらも今話題の著書『お金のいらない国』。もしもこの書籍に描かれている世界が実現したなら(一部のコミュニティでは実験的に実施されているそうですが)、その世界ではこういう発想すら起こらないと思います。



ただ、現時点ではお金が必要な社会ですので一旦横に置いておきますが、早川監督が「不寛容な社会」と仰るように、お金が必要な世界であっても、やはりその社会で生きている人たちが、全体としてどういう考え方を善しとしているのかが重要で、もしその方向を間違えていたのならばそれを軌道修正していくことで、たどり着く結果は変わって来るのではないかと思います。

「生きもの、命 -2-」へつづく



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