ナビゲーションブック(トリセツ)

思った事があり、つぶやきで終わらせようと思ったのですが、文字数制限で収まり切らなかったのでテキストにします。

僕は半年間、就労移行支援事業所に通っていましたが辞めてしまいました。
その時に挫折してしまった理由の一つとして挙げられるのが、”支援員さんの事を一緒に仕事を探して行くパートナーとして思えなかったから”でした。

勿論挫折した理由はそれだけでは無くて、自分の精神状態がまだ就労を目指すのに値する状態では無かったという事もあります。
”就職を目指す場所”に通う前に、もう少し発達障害者としての自分と向き合える様な場所を探すべきでした。
僕は発達障害と診断された時に、「障害者と自分を認めたくない。」という気持ちよりも、「今まで自分が仕事で上手くやろうとしても出来なかったのは、自分の努力不足ではなかったんだ。発達障害という特性があるからだったんだ!」と思えて気持ちが楽になりました。
担当医の方に「今まで沢山生きづらさを抱えて来たでしょうに、よく一生懸命生き続けてくれましたね。」と、自分を解って存在を認めて貰えたのがあまりにも嬉しくて、それはもう涙ぐむほどでした。前職では死のうとした事もあるほど辛い思いをしてきました。
そして、「自分はもう大丈夫だ!」と思い込み、自分のキャパシティーを超えて動いてしまいました。
人と話すのが苦手なのは変わらないのに、発達障害者としての生き方が知りたくて、休日にも当事者会等に積極的に参加していました。
そこは居心地の悪い場ではなく、むしろ楽しく話せて新しい気づきもありました。
けれど、どんなに気が合う人達と話しても、僕は話す事自体に非常に体力を消耗します。色んな人と会話をすることで僕は疲れてしまい、平日に響いて就労移行を休むようにもなってきました。
そして今その反動が来て、その後デイケアに申し込むもすぐ行かなくなり、再び引きこもってしまったのだと思います。
だから、就労が上手くいかなかった事を支援員さんのせいにするつもりはありません。

ただ、就労移行支援に通っていた際に、「大人の発達障害者って大変だな。」と思った事がありました。
それは、障害者が障害をオープンにして就職活動をして行く際に必用な、ナビゲーションブックの作成
これは、いわゆる”私のトリセツ”の様なもので、面接などで企業に自分の特性を理解して頂き、”どの様にして頂ければ仕事が円滑に進むか。”という事が書いてある、合理的配慮を求める書類です。
各々の方で色々な状況があるとは思うのですが、子供の頃に発達障害と診断された場合も、ナビゲーションブックは医師やその他の機関と相談して作成され、学校の先生方に理解して貰える様にしたりする事もあるようですね。
子供の時に発達障害と解った場合、当事者の子は自ら作成することが中々困難でしょうから、ナビゲーションブックはご両親や色々な方の協力の元作ってもらえるでしょう。

しかし、大人となるとナビゲーションブックは殆ど自分で考えて作らなければいけません。
確かにある程度長い人生経験がありますから、自身で解ってる事もありますし、自ら自己理解に励むことは大事だと思います。それに、主体性が重んじられる事は必然だと思います。
自分がどんな仕事が向いてるかを見極め、最終的にどんな仕事に就くのか、どう生きていくかは自分で決めて頑張る事です。
ただ、発達障害者として自分を見つめた経験はそれまで無かったのだから、大人だって自分の事を一緒に考えてくれる人が欲しいと思うのは自然な事だと僕は思うのです。

自己理解の仕方や、リフレーミング、利用者の長所を言い合うグループワーク、アサーション等の人への伝え方は習いました。
しかし、ただプログラムをやるだけでなく、面談で数か月ごとにある個別計画を立てる際に、「司寺さんはこういういい所があるから、ここを伸ばして行きましょう。」だとか、「司寺さんの特性だとこういう事をする仕事が向いてるかもしれませんね。」等、もっと個としての特性を一緒に理解しようとして、未来の先の事を考えて欲しかったなと思いました。
ナビゲーションブックを簡易化したプレナビゲーションブックの様なものを書かされた時も、僕が悩んでて筆が進まなくても何も助言は貰えませんでした。
時間に限りがあるので、自分が納得出来てなくても「とりあえずまとまった文を書かなくては。」と思いました。
完成させて支援員さんにそれを見せたら、「よく書けている。」というような顔で頷いていました。
でも僕は、「ただその場凌ぎの為だけに書いただけなのに、、、。出来上がればそれでいいのかな?」と思いました。

愚痴にならないような書き方にしようと思ったのに、愚痴っぽくなってしまいました。
やっぱり利用者からの要望も口に出してちゃんと伝えなければ駄目ですね。
お世話になっていますし、謙虚に接する事は大事ですが、補助金で賄っているから間接的にとはいえ、利用料も支払っている訳です。
僕は支援員さんと利用者の立場には上も下もなく、対等だと思っています。
定型発達の人は”言葉だけではなく色々なものから相手の事を察する”と言うけれど、言葉にする事は大切ですね。だって、

「言葉」は、人間だけが持っているコミュニケーション手段なのだから。

もしまた別の事業所を利用する時は、前もって面談で自分の要望を”率直にまっすぐ”伝えようと思います。
ASDらしく。いや、人間らしく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?