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自由俳句

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2021年9月の記事一覧

DIVIDUAL (2)

DIVIDUAL (2)

電車はゆく不知火は夜をこめて

 通学は、電車で友人と県内の学校へ通っていた。その友達の転勤を知った。夜は明けるともなく、電車はゆくのだろう。

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   DIVIDUAL (2)

天高く風音転勤は九州

電車はゆく不知火は夜をこめて

父の指す酸素計器は秋の蛍

電話越し虫の鎮まり父の呼気

秋の果実得難し自宅療養は

秋雨の窓より抗原検査の手

花鋏兄の代はりに農家継ぎ

秋日射す岩波文

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自由俳句 #10 芋づる

自由俳句 #10 芋づる

芋づるの紅葉一枚の絵として見よ

 色づいた葉の入り乱れる姿が好きだ。どこか調和が取れている。木の紅葉もいいけれど、葉の形のはっきりとした草の紅葉がよい。

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   #10  芋づる

庭石の奥メヒシバの点と線

芋づるの紅葉一枚の絵として見よ

屋根の上人影暗し秋の暮

三輪車ノウゼンカツラの塀を打つ

蓮根の大き穴より盆の菜

蓮根の穴よりお茶の湯気登る

掃除機の中の小言や流れ星

縄跳

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自由俳句 #9

自由俳句 #9

聞き馴れし酒の今年や惣社町

 栃木県道2 号線沿いに「鳳凰美田」で知られる小林酒造の第二工場がある。惣社とは、地域の祭神を集めた神社のことだそう。

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   #9

聞き馴れし酒の今年や惣社町

鼻先をかすめてゆくは畦の風

秋の田と夜風を走る友の声

冷ややかな風父の声聴こえない

同級生の顔が曖昧マスクなど

夕飯の食器の嵩が夜食後も

居待月立看板の見飽きたり

改装後のスーパー明し

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