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作り話の中に宿る真実:グラフィックメディスンの可能性

朝、LIVE配信をした際の原稿です。
LIVEでは付け足している部分がありますので、気になる方は動画でご視聴ください。

はじめに

グラフィックメディスンという手法は、文字通り医療の世界を描くことにより、人々が病気や健康についての深い理解を得ることを目指しています。
しかし、その描かれる物語は、必ずしも「真実」をそのまま描いているわけではありません。
では、何故私たちはそれを有用と考えているのでしょうか。

それは「作り話」の中にこそ、「真実」が詰まっているからです。
確かに、実際の出来事をそのまま描くことは可能ですが、そこには個々の人々の感情や思考、信念が反映されていません。だからこそ、虚構の物語を通じて、人々が体験する感情や思考、信念を描くことが重要となるのです。

真実のエピソード

では、具体的な例を出してみましょう。
まず、真実のエピソードから。
一人の患者さんが、病気を通じて得た「強さ」や「勇気」を描いたグラフィックメディスンがあります。
しかし、その中には患者さんが感じた「怖さ」や「絶望」、時には「希望」も描かれていました。これは「真実」のエピソードでありながら、「作り話」の要素が組み込まれています。

虚構のエピソード

次に、虚構のエピソードの例を見てみましょう。
一人の患者さんが戦う、という物語を描くグラフィックメディスンがあります。
しかし、その戦いはリアルなものではなく、内面的な闘争を象徴するものでした。それは現実ではありませんが、患者さんの心の中で起きている「真実」を表現していました。

これらの例からわかるように、真実の話でも虚構の話でも、作り話の中に「精一杯の真実」が込められています。
それは患者さん自身が感じている感情や思考、信念を描くことにより、他者にその「真実」を伝えることができるからです。

まとめ

結論ととして、グラフィックメディスンは真実と虚構の間で緻密に編み込まれた物語を通じて、深い理解と共感を引き出す強力なツールと言えます。
この手法は、私たちが他者の経験や感情を理解し、共有するための重要な道具です。

患者さんの物語は真実であると同時に、一部虚構であります。しかし、その虚構性が、真実の感情や思考、信念をより強く表現するための手段となるのです。だからこそ、「作り話の中の精一杯の真実」は、私たちが他者を理解し、共感するための重要な要素となるのです。

最後に、グラフィックメディスンは患者さんだけでなく、医療従事者や家族、一般の人々にも、病気や健康についての新たな視点を提供します。それは個々の物語を通じて、私たち全体の物語を形成することにも繋がります。

そのため、私たちは作り話と真実の間で繊細に織り交ぜられた物語を大切にすべきです。それこそが、他者の経験や感情を理解し、共感するための最初のステップなのです。

これが私からのメッセージです。物語の中には、真実が詰まっています。その物語を通じて、私たちは他者の経験や感情を理解し、共感することができます。その力を信じて、物語を読み、物語を描き、物語を共有していきましょう。それが、私たち全体の物語を形成する最初のステップです。

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