[読書まとめ]「町の未来をこの手でつくる 紫波町オガールプロジェクト」

今回は、猪谷千香著「町の未来をこの手でつくる 紫波町おガールプロジェクト」の読書まとめです。

今、日本で公民連携の視察先として注目されている岩手県紫波町のプロジェクトを追った書籍。6年前のものですが、勉強になることばかりです。
付箋とマーカーを引いたところを全て引っ張っていたらそれこそ同じ本が一冊かけるレベルなので、その中でも特にというものをいくつかピックアップしたいと思います。

・今までの公共事業

『国から多額の補助金がでると、自治体主導のもと、ランニングコストを考えずに大型のハコモノを建築。杜撰な計画でその後は閑古鳥が鳴いて、維持管理費にさらなる税金をつぎ込まざるを得ず、孫の代まで大きな負担になる』
日本全国こればっかりですよね。そしてその宿痾は今も変わらず、補助金ありきで考えることが多すぎると思います。予算ありきで進めるのでそうなるのかなと。先回りで営業をして、その土地にあった、持続可能な規模にしないと墓標が一丁上がりになるだけです。

・紫波町の公民連携はなぜ始まった?

『「公民連携」とは、「まちづくりを民間でやる」ということだった』
『行政だけが手動するまちづくりに限界を覚えていた』

後者は私も行政が主導するものだと思っていました。ただ、木下斉さんの書著「稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則」を読んでいく中で、民間企業や住民が主導となるのが本来の姿であることを気付かされました。

行政とは、民間ができない公共性が高いインフラや福祉政策をみんながお金を出し合って(税金)行うのが基本であって、経済を回していくということは不得意な組織です。そこが主導となって「まちづくり」を行うのはやはり非合理的なのです。

・公民連携事業のあり方

『公民連携で問題になるのは行政側の怠慢。民間の会社なら事業として成り立つとなったらさっさとやる。スピードに対する価値観がずれていて、のんびりしたやつとパパっとやるやつが連携なんかできない』
『行政側に代理人という組織を作って、そこに民間側の人間を入れる。行政側が、行政的な経験がある人間をエージェントとしてそのプロジェクトに入れて、行政側の代理人として、民間と交渉しながら進めていく』

普段から行政側とのやり取りの中で企業誘致についてなどを議論するのですが、やはり気になるのが「スピード感」。機をみて敏とするのが民間企業です。その感覚が伝わっていないと感じます。また情報もあくまで受け身であり、現状を可能な限り提示するという姿勢をこれから作っていきたいと考えています。

・一番刺さったところ

『商店街が復活すれば、街全体が再生するという商業至上主義の都市再生は誤りだった』
『ライフスタイルを中心としたまちづくりをしたほうがいい。人は自分が実現したいライフスタイルには必ず対価を払ってくれるものです』

何を軸としてこれからまちづくり、地域活性化を考えていくかが一つ見えたところです。一般的に便利で豊かと考えれば、やっぱり人口の多い都市部になります。ただ、そうではない考え方の人も一定数いて、大都市にできないこと、特定の趣向に絞ったマーケティングをすることで、人口増加は難しくても、減少速度を緩めたりはできるのではないかと思います。

・これから何をするか

いくつか抜粋してご紹介いたしましたが、本当に本全体が学びの宝庫です。ぜひ官民関係なく、ご一読いただきたいなと思います。どれ一つとっても一筋縄ではいかなかったことばかりなので簡単ではないと思いますが、行政主導、補助金ありきで地域活性化はなし得ないと思います。「誰かがやってくれる」ではなく、「みんなでやらなきゃ」と意識を改革できるよう取り組んでまいります。

また紫波町で学び、公民連携事業として新たに注目されている、大阪府大東市の取組みをまとめた著書「公民連携エージェント: 「まち」と「まちを使う人」を元気にする仕事」もお読みいただきたいなと思います。



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