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子どもを産んでもキャリアを継続できる環境づくり(流山スタディツアーpart.①)

今回は、台湾国立中山大学の大学生千葉県流山市のまちづくりを視察するという機会に参加することができました。

数年行っていない関東に久しぶりに行こうと考えていた時、以前対談しました、流山市議会議員の近藤みほ議員にお会いしてみようと連絡をいれましたところ、今回の企画があるのでいかが?とお誘いいただきました。

会って話を伺うことも勉強になるのですが、取り組みそのものを体験させていただくことが一番学びにつながるんじゃないかなーと思い二つ返事でお手伝いさせていただくことになりました。

初日は、まず流山市議会に訪問し、その後、市長と議論をするという日程となっていました。

〇議会訪問編

訪問時、流山市議会は定例会期間中で、今回は柔軟に対応していただいたそうです。

初めに、流山市議会の事務局の方から、学生のみなさんへ、日本の地方議会について、そして流山市議会についての説明がありました。電子採決や議員数についての質問があり、質問の中で興味深いものをピックアップしてみました。

・市長と議会の意見が合わない場合はどうするのか?

台湾の選挙はかなり熱気を帯び、投票率も高いことはよく知られていることですが、いざ選挙が終わるとお任せになることが多いそうです。

二元代表制をとっている日本においても首長の権限は大きいですが、チェック機関である議会との関係性は非常に重要です。その時にの質問で、「市長と議会の意見が合わない場合は?」と聞かれたときに、「首長は解散権はあるが、大変重い決断となる。なるべく話し合いで解決できるように取り組んでいる」と返答をされていました。

<オオタメモ>
地方議会において解散権が使われたら、かなりの重大事でしてうまくいってもいかなくても遺恨の残るものとなります。なので、丁寧に時間をかけながら議論を進めていくことが重視されています。

・市民の数が増えているなら、その声を広く聞くために議員の数は増えるのか?

学生から議会への質問として、「流山市は人口が増えていますが、議員の数は増えますか?」というものがありました。現在の日本では結構センシティブな内容で、実際のところはそう簡単ではないことはみなさんご存じのとおりです。

その中で近藤議員から、2つの考え方があるとのお話がありました。
ひとつが、「少数精鋭」という考え方と、「数を増やして、一人当たりの報酬を減らす」という考え方です。
日本の地方議会において議員定数については、議会全体で考えて、自動的に増えたり減ったりするという制度はとっていないというものでした。

<オオタメモ>
過疎の進む地方自治体の議会においては、なり手不足が深刻になっています。そもそもやりたいと思う人がいない、報酬が少なすぎて生活ができないなどの声があがっていますが、地方社会において率先して報酬増を打ち出すことはかなり難しいのが現状です。
一方で、地方議会の中では、時間的な余裕があることも確かなので、いろいろな分野で仕事をして、議員活動に活かしたり、専門性をつけていくことは後のキャリアのことを考えても有効だと思います。


〇市長訪問編

議会の次に、流山市の井崎市長ともディスカッションする時間がありました。最初に市長からご自身の台湾とのつながり、これまでの市政運営についてを英語でご説明されていました。質疑のところでは、台湾語→日本語、日本語→台湾語の通訳もありましたが、大部分が英語でのやりとりでしたので、すべてを理解したうえでのまとめにならないことをご容赦願えればと思います。笑

・「母になるなら流山市」 子どもを産んでもキャリアを継続できる支援

今でこそ多くの自治体や国が取り組んでいるが、補助を出すことがメインである。流山市では、子育てをしている親の支援に取り組んできた。たとえば、2つの駅で駅前保育ステーションの整備、700m5分以内でいろいろな支援施設にアクセスできるできる整備がある。ただ金銭的な補助をするならあとに残るものは少ないが、整備された環境は主体的に守られて熟成していく可能性がある。

<オオタメモ>
これは本当にその通りで、住民ニーズに応えることは非常に大事であるが、新たに来る可能性のある人たちは、自分たちが住みやすい、子育てしやすい環境があるかどうかを調べる。補助は一過性のものになるかもしれないが、意味のある施設を整備することは長期間にわたり住民福祉につながる。

・流山市の特性を活かしたまちづくり

流山市の大部分は住宅エリアだが、伝統を引き継いで観光資源としても価値のあるエリアもある。市域全体を一つの政策で取り組むのではなく、地域の特性に合わせたまちづくりに取り組んできた。その一つが「流山本町・利根運河ツーリズム推進課」。自治体で旧市街地に特化した担当課を持っているところはほとんどない。
それぞれの地域が、その個性と高める方法を「自律分散型まちづくり」と近藤市議は話されていました。

<オオタメモ>
これは、流山市に伺う前に考えていたことと共通するところがありました。よく「点と点を線で結んで、面にしていく」という話があると思います。しかし、それでは無駄になってしまう部分が多いのではないかなと考えていました。面にするよりも、点自体が円となり大きくなることでコミュニティとしての結束も高まるし、先で結んでいるので情報のやり取りや移動も可能になるのではないかと考えていました。

・議会との切磋琢磨
現在の井崎市長は在任21年(6期目)。議会との関係はここ10年でだいぶ変わってきた。10年以上前は他の自治体で行っていることをただ要望するものが多く受け入れられないものも多かったが、最近ではそんな行政追認型から行政との共通理解を持ち、住民ニーズをまとめて提案されることが増えてきて、市政を進めるスピードが早くなってきた。

<オオタメモ>
議会のところでもありましたが、日本の地方議会は二元代表制を取っていることから、議会は行政の監視が仕事であると思っている人は多いです。確かにそのような側面はあるのですが、今の地方では財政的にも人材的にも足の引っ張り合いをしている余裕はどこにもありません。
議会からの提案もニーズの調査や財政的な負担を考慮したものでなければ、結局成果に繋がらず、折角のいいアイデアも無駄になってしまいます。
よく近藤市議は「地方議員はタウンマネージャー」と話されますが、タウンマネージャーはまちづくりの推進役として、計画、調整、実施まで関わる能力が求められます。私自身はまだそこまでは至りませんが、一つ一つ積み上げていきたいな、と思います。

他にも、高齢者福祉についてやこれからの市長のチャレンジについて、とてもおもしろい質疑があったのですが、あまりに長文となるので今回はこのくらいにしようと思います。

〇まとめ

いかがでしたでしょうか?
私自身、今の日本の大学生と接点があるわけではないのですが、世代的な印象からすると、今回の台湾の大学生が積極的に質問し、自分たちの考えも伝え、返答を受け取ってまた議論する、ということができるのかな?と思いました。なんせ私自身がそんな積極的な大学生ではなかったので。笑

また、やはり英語は必須スキルだなーと思ったところです。英語を聞いて理解するのはなんとなくできるのですが、自分の意見を英語で伝えるということはなかなかどうして難しいものだな、と感じました。

今回はpart①ということで、このあとも続いていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。


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