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OTAブックアートの新イベント、 OB-Talk を始めます!

こんにちは。
OTAブックアートの代表、太田です。

本の新たな可能性を追究する拠点として 2017 年に設立した OTA ブックアート。
東京・武蔵小山にあるアトリエは、僕の作品制作のためのアトリエであり、ブックアートを発信するイベントや本づくりを追究するワークショップなどの拠点でもあります。

アトリエをオープンしてから今月で丸 2 年を迎えます。
2020 年 4 月現在、新型コロナウイルス感染拡大による影響で、東京を含めたエリアでは緊急事態宣言が発令され、日本中、それから世界の多くの場所で、これまで当たり前にあった日常ではない暮らしや仕事の仕方を求められています。

僕や、OTAブックアートというチーム、活動を共にする仲間たちが追究している本の多くは、物質性を伴うものであり、その細部を共有することを大切にしてきました。しかし、今現在の世界の状況を鑑みると、大切な仲間と自分自身、そして社会のために、当面これまでに行ってきた共有作業の方法を見直さなければなりません。

どんな分野においてもそうだと思いますが、この状況の難しいところは、これがいつまで続くのかわからないところです。期間がはっきりとわかるのであれば、その長さに合わせて活動を休止したり、元の世界に戻ったときのための準備をしたりできますが、それがわからない。

僕が2月に出展していたポーラ ミュージアム アネックスでの展覧会は、会期途中で休館になり、そのまま会期終了となりました(※その後、秋に展覧会の続きが開催されると発表されました)。

3月に予定していた、OTAブックラボ 第 0 期の展示も延期することにして、4 月にスタートする予定だった第 1 期の活動も見送りました(※第 1 期も変則的にスタートすることが決まりました!)。

今月から始まる予定だったセゾン現代美術館での展覧会にも出展予定でしたが、展覧会開始日が延期になっています。

日々刻々と変化する状況を見ながら、これが簡単に終わるものではないことは想像できます。これをきっかけに、いろいろなことが抜本的に変わり、もう完全に元通りということはないのかもしれません。「まさか」という気持ちがある一方で、いつも自然災害と隣り合わせで生きている僕たちにとってみれば、「いつか」あることだとどこかで覚悟できていたような気もします。今後もいろいろなことが起こり得ます。

歴史はそうして今日まで連綿とつながってきたのでしょう。

人間の生命を脅かす今回の問題とは比べものにならないかもしれませんが、本の周辺の出来事でいえば、2010 年の電子書籍元年は、比較的最近起きた大きな変化だったと思います。電子書籍の登場によって、それまで〈当たり前〉だった本の形式が覆り、紙の本がなくなるとまで言われました。

紙の本の滅亡を唱える人がいる一方で、大きなチャンスだと捉える人が存在していたことも確かです。僕は当時、大学の学部生で、卒業研究をしていました。電子書籍の登場によって、紙の本が持つ特長に特化して取り組めるビッグチャンスが来たと、ワクワクしたのをよく覚えています。

あれから 10 年経った今、紙の本はまだなくなっていませんが、10 年の間に本のいろいろな考え方や行動が新しく生まれてきたのは、あの変化による影響が大きいと思います。それまでの本の〈当たり前〉を失って、初めて気づかされる本の魅力がたくさんあったのです。

そう考えると、2020 年新型コロナウイルス旋風は、またもや本に関わる僕たちに何かの機会を与えてくれているのかもしれません(もちろん、大きな被害と大きな悲しみが世界中に広がっていることを忘れてはなりません)。これまでに取り組めなかったこと、考えられなかったことに挑み、また何十年と経ったときに、2020 年以降、こんな新しいアプローチが増えたんだなと振り返れる日が訪れるのかもしれません。

だから僕は、本の追究を止めたくない。作家として制作に励み続けるし、新たな本の可能性を追究・発信する拠点を動かし続ける。幸い、そういう仲間がいるし、これからも仲間が増えていくと良いと思う。長い歴史から見ると、同じ時代を生きる同志は奇跡的な存在です。

これから取り組めることは数限りなくあると思いますが、先が見えないような状況になってしまい、これまで通りにできなくなってしまった、本の追究の共有と発信を、まずは始めていきます。継続していくために名前をつけました。OB-Talk です。

物質性を伴うゆえに、これまでは発信拠点であるアトリエに集まっていましたが、オンライン形式に挑戦します。今までもやろうと思えばできたのですが、どうしても物質性を捨てられませんでした。しかし、今なら踏ん切りがつきます。

オンラインにすることで、すでに明らかな、得られることもあります。特に遠方の人には大きな障壁となっていた、移動のコストがかからずに集まれます。発信という意味では重要なメリットです。

OB-Talk では、毎回テーマを設定してトークします。ゲストをお呼びしたり、たまに僕一人のときもあるかもしれませんが、いろいろな角度から本を追究していきます。

始めから理想的な運営ができるとは思えませんが、今はまず動き出してみて、皆さまからの声も聞かせていただきながら、成長していくプラットフォームを目指していきたいと思います。

※ OB-Talk 01 「内側から滲み出る造本デザイン」のご案内は、この次の記事として投稿します→

stay home; make books


2020 年 4月
OTAブックアート
代表 太田泰友



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