マンション売却時の一括査定は意味あるのか?【その9】AI査定の実力とは?
AI査定と言われるものがあるが、その真価はいかに
マンションや一戸建てを売却しようとネットを叩くと、一括査定でも中にはAI査定なるものがでてきます。
まず、大前提として、私は、AIが進化し世の中がより便利になることを心のそこより願っています。
その上で、毎月のようにマンションの売買をしている私からしてみると、まぁ、、、「不動産のAI査定は、全然使い物にならない」という印象です。
そのAI査定なるものから提示された価格と、実際に売れた価格は毎回かけ離れています。
もちろん、マンションや一戸建ての売却において、ネットで取得できる査定、AI査定を利用することは、いくらでもすればいいと思います。
ただ、参考程度にするべきであることを伝えたいです。
なぜ、不動産の売却に関して、まだまだAI査定が発展途上かと言いますと、不動産を売却するときには、変数が物凄く多いのです。※変数については次の項目で説明します。
他の業界と言いますか、他の商品を思い浮かべて貰えば分かりやすいと思うのですが、不動産とは世界に一つしかないものです。
同じ一棟の中にあるマンションでも、階数や間取りや方角が違います。
世界に一つのとして同じ不動産は存在しないのです。
不動産業界以外の商品の売買等で、AI査定を利用するなら、正確度は年々精度が上がってくるでしょう。なぜなら、同じ商品の売買の履歴から、予測をたてるからです。
先日、アベマTVにて吉本興業の社長の記者会見にて、AI翻訳みたいな同時テロップが流されていました。
多くの同時コメントでもありましたが、笑ってしまうほどの翻訳レベルの低さでした。
不動産売買の査定や翻訳において、AIの発展は望みますが、現状はまだまだであることはちゃんと認識しています。
私は、何事も正しい認識が大切だと思っています。
「AI」という新しい言葉、何かスゴイんじゃないかと感じさせられる言葉で、何も考えずに利用するのだけであるのは、危険であることを伝えたいのです。
世の中が便利になる過程で、思考停止せずに、ちゃんと各々が判断することが大切だと感じています。
マンション売却の販売価格設定の考え方(基本編)
私は、不動産の売り出し価格を決定するときには、実数と変数に分けて考えます。そして、その考えも全て売主様に説明しています。
実数と変数の正確な定義は他に譲るとして、分かりやすいので実数と変数という表現を使っています。
では説明していきます。
大まかな定義は下記です。
実数:誰が計算しても同じ答えになるもの。
変数:数値では表せないもの。
詳細を説明します。
実数:半径1キロ圏内に販売中の物件が100物件あると仮定した場合、平均の販売価格を求める場合の平均値。この数値(平均値)は、誰が計算しても同じになります。要は、誰が計算しても全く同じ答え(数値)になるもの。
変数:ある中古の一棟マンション(総戸数100戸)があったとする。そのマンションにおいて、直近一年間で販売された物件が10戸であった場合、販売価格の平均が3,000万円だったとする。今回、「2階の南向きの物件」と「5階の北向きの物件」を売り出す。このときの平均価格との差(数値、価格)は求められない。この正確に求められない数値のことを変数という。要は、「南向きが好きな人」もいるでしょうし、「北向きが嫌な人」もいて、購入者の価値観・感性は人それぞれで、それを価格(数値)に置き換えるのは無理であるということ。
この実数と変数をちゃんと考え、販売価格を設定している不動産業者や営業マンは殆どいません。といいますか、私はこの業界に15年以上いますが、会ったことがありません。
皆、結構いい加減に価格設定をしていますし、最もらしく売主様に説明しています。
売主様も不動産のことを知らないから、その説明で納得してしまいます。残念ですが、不動産業界はずっとこんな感じです。
いい加減な感じで、販売価格を設定して売りに出すものですから、当然、一か月、二か月、三か月、半年、一年経っても売り残ったままになるのです。
市場は、この繰り返しです。市場には、常に数千戸の中古物件が売れずに残っています。
私は、実数と変数から販売価格を売主様と徹底的に相談して決めます。その結果、三か月以内ですべての物件は売主様が納得された価格で売却できています。
どうか、あなたも、不動産の販売価格を求めるときは、実数と変数をそれぞれちゃんと考えてみてください。
販売価格を提示してくる営業マンには、ちゃんと実数と変数の説明をするように求めた方が良いのではないでしょうか?
販売価格の設定を見誤ると誰も得をしませんので。
ストレスが無い不動産売買の世界が来ることを切に願っております。
不動産業界や不動産取引の有り方を健全な方向に変えるため、日々、不動産の仕事に邁進しております。サポート頂けたお金は全て弊社の不動産事業に使わせて頂きます。