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映画が好きなのではなくて、映画館が好き

映画が好きなのではなくて、映画館が好き、なのではないか、と最近思った。

映画館に一歩足を踏み入れると、ポップコーンの甘い香りが鼻腔を満たす。
開場前にポスターやチラシを眺めながら、公開予定作品の情報を集める。
席に座り、上映前の予告編を見て、次はこれを観ようかなとぼんやり考える。
劇場内がだんだん暗くなっていくのと比例するように、高揚感が高まっていく。
エンドロールが終わると、劇場を出る。少しだけ足元は浮ついていて、余韻が漂う。

もちろん、映画も好きだ。でも、映画を観ることに付随したこの一連の出来事が揃うと、格別の体験になる。

この一連の体験の中で、特に好きなのが、予告編を観る時間だ。最近のオンデマンドの配信サービスでは、体験できない。予告編あっての映画だ。予告編を見ずに、すでに暗くなった劇場に入るなんて考えられない。

なぜ予告を見たいのだろう。それはたぶん、まだ見ぬ良作との出会いへの期待だ。「ああ、まだ面白いものに出会える余地がこんなにあるんだ」というトキメキだ。これまでと同様に、これからもまだ、いい映画と出会えるという確信だ。

もちろん、アマゾンプライムのウォッチリストや、映画評論雑誌や、SNSでも同じようにトキメキを感じる。そしてまだ見ぬお気に入りの映画のために、劇場に足を運ぶのだ。再生ボタンを押すのだ。

やっぱり、私は、映画が好きだ。

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