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宮内庁楽部の舞楽@国立劇場

今回の3演目はすべて面を使用して踊るもので、演者の顔や年齢を知るすべはありません。独特のおおらかな呪術性に包まれ、素朴な振付にもかかわらずなぜか自然や宇宙との一体性をも感じさせるところが不思議です。

🎭9月30日(土) 14:00

宮内庁式部職楽部「舞楽」

『安摩・二ノ舞』『新鳥蘇』

国立劇場
https://www.ntj.jac.go.jp/sp/schedule/kokuritsu_l/2023/597.html

6人が同じ踊りをする『新鳥蘇』では、いちばん大きい方といちばん小さい方の身長差が30cmくらいあり、そういうところもわたしはすごく良かったです。好き。

(そのいちばん小さい方はおそらく日舞の達人ではないかとお見受けしました)

わたしは皇室や宮内庁にたいしてとくに何か政治的な思想は持っておりません。公平な目で、パフォーミングアートのひとつとして、素晴らしいと思います。

現代において舞踊をきわめるということを、身体の極限や超絶技巧を追い求めたり、まだ誰もやっていない表現をつくったりする、厳しく難解なことのようにわたしは捉えがちでした。が、千年以上伝承されている(ということになっている)このような古代の素朴な踊りが、今もまったく見劣りせず、色褪せず、美しいものだなという、率直な驚きと感動がありました。

かつて朝廷の儀式に必要とされた踊りは、地球人が戦争や対立で傷つけあうのをやめない今、その存在意義がとても増しているとわたしは感じます。兵器を使って命を奪う国取り合戦も嫌、血が出ないように言葉や経済で人を殴るのも嫌です。穏やかな世界に向かってほしい。

国立劇場主催公演なので公式プログラムはたいへんお手頃価格の600円でした。欲を言えば、公式サイトにある英語の説明をコピペでもいいから、英語のページをつけてほしかったです…。

アンケートに答えた方にはもれなくお子さま向け読本「かぶきの本」が進呈されました。これは国立劇場の閉館による在庫一掃の一環かもしれません🥲

国立劇場はこの夏、建て替え工事の請負先を決めるための2度目の入札がまたしても不成立となってしまいました。建設費高騰により先のコスト見通しが立たないことが最大の理由のようです。日本が新興国化していく中、このような困難はこれからも日本各地で表面化してくるように思います。

ことし35本目の観劇(チケット枚数でカウント)でした。先週は小劇場で激アツおでんパフォーマンスやポロリ事故を目撃してきたばかり。世界は、人間は、不思議ですね…。

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