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物理的力に汚れの落とし方を考える

物理的力とは

物理的力とは、削る>研磨する>擦る>拭くなどの力を与える方法です。
お掃除する時、汚れが落ちないとムキになってこすったりしますよね?
どんどん力を加えます。

これは、みなさんが肌で感じて行っている行動ですが洗剤が浸透しなかったり、汚れが酷かったりすると必ず物理的力は必要です。
以前の記事でも書いたとおり、洗剤はお掃除の調味料みたいなもので必ず物理的な力は必要です。浸透させるのに、じゃがいもや人参を皮むきして味を染み込みやすくするように、汚れも洗剤が浸透しやすい状態にするために汚れの皮むきが必要です。

「点滴石を穿つ」は汚れ落としの原点

みなさんは「点滴石を穿つ(うがつ)という言葉はご存知でしょうか?
これは、上から落ちる水滴が長い年月をかけて石に穴を空けるという言葉です。
やり続けていれば効果がでる。というわけです。

物理的力に頼りすぎてもダメ

汚れも一緒です。擦っていればやがて落ちます。
削ればもっと早く汚れは落ちます。ただし、歯を磨くのにヤスリで削らないですよね?歯磨き粉を使ってブラシで擦ったり、たまに歯医者さんで研磨してもらったりします。
お掃除も一緒です。削れば一瞬です。石に穴を空けるのにドリルで開ければすぐに終わるように削ってしまえば簡単です。ただし、傷がついたりもとに戻らなくなることもあるので、洗剤や道具を駆使してその境界線を狙うわけです。

「点滴石を穿つ。」これにお掃除は大きなヒントが隠されています。
最近では、擦らずに落とす洗剤がありますが私は否定的です。シャンプーをかけて擦らずにそのままお湯で流して洗浄になるでしょうか?
必ず洗浄は物理的力とセットです。

洗浄とは物理的力と洗浄剤(洗剤など)とセット

洗浄テストでぶつかる物理的力

私が洗剤のテストをしたり、他社商品と比較するときに必ず注意することがあります。それは、公平な物理的力を公平な道具でテストするということです。
例えば、洗浄効果をテストする時にメラミンスポンジや焦げ取り用のスポンジで行いません。どれだけの洗浄力があるかわからなくります。物理的に力で落とすことになるからです。
なので、大企業の洗浄テストは疑似汚れを使って落としますが、公平にするために一定の力で一定時間、柔らかいスポンジでテストします。公平に見るためです。

また、自社の洗剤がよく落ちるであろう結果に持っていきたいがためについつい手元力が入り、公平なジャッジメントを鈍らせます。
なので、ここは第三者に見てもらったり自ら公平な視線でジャッジするようにしています。

シーンによって使い分ける物理的力

斫り(はつり)

建築現場などで「ダダダダダ」と轟音とともにコンクリートを砕く作業があります。斫り(はつり)工といいます。エアや電動のピックを使って目の前のコンクリートを破壊します。この振動は強烈で、白蝋病を防ぐために通常よりも短い作業で一日の仕事を終えます。これも大きく分類すると掃除の一貫です。

ケレン

平らな場所についている異物をスクレーパーやケレン棒、カワスキなどを使って素の下地状態に戻す作業です。ベビーサンダーなどを使って一気に削ることもありますが手作業が多いのが特徴です。これはお掃除界でよく使われます。

研磨

研磨剤やコンパウンドを用いて磨く作業です。番手を上げていくと鏡面仕上げになります。ロジックで考えるとジョイントした鉄同士でも、最後にバフがけまですると完全にわからなくなります。

擦る

洗剤や水を汚れになじませて融解させ、汚れを取りやすくします。
このときに洗剤を用いて、入荷させたり分解させたりします。

拭く

これは正しくいうと汚れ落としではありません。汚水(汚れの移動)です。
汚れは拭く前の段階で落とされていなければなりません。
拭くという作業は、物理的動作ですが汚れの移動と考えてください。
その為、弊社はウエス(雑巾)を絞って使ったりしません。毎回きれいなものを使い汚れたらまとめて最後に洗濯機で洗います。
せっかくの汚水回収した汚れを再度洗いで弱々しい濯ぎで再度使うなどご法度です。

洗浄力とは物理的力と助剤

洗剤や道具はあくまで脇役

洗浄力は、道具の性能✕知識✕技術です。
道具がショボければ結果は出ませんし、どの場所の汚れか?ではなくどうやって汚れたか?を推測する知識もなければなりません。
そして一流の道具があってもそれをオペレーションできないと、まるきり意味がありません。
素人にプロの包丁握らせてもなんの役にも立ちません。

洗浄力と物理的力

最後に

現代ではインターネットを使って一流の道具を簡単に揃えられます。
今日起業したばかりの職人でも、何十年とやっている熟練工の道具を変えてしまうのです。ときには劇薬だって購入できます。
そういう時代だからこそ注意して欲しい。

落ちないと道具のせいする事が多い業種ですが、再度見直して知識を膨らますのも勉強の一つです。簡単に書いただけでも「普段の擦るという作業」がこれだけの意味合いを含んでいます。

ぜひ、普段何気なくやっている行動それぞれに意味があることを考えて見てください。




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