【三姉妹】シャウエッセンが決め手と姉は言った。
私には姉が二人いる。
以前、その内の一人が登場する「豆乳」の話を書いたとき、周りの反応が良かったので、ならばと、もう一人の姉の話しを、今日はしてみようと思う。
因みに、クリスマスは全く関係ない。
2番目の姉は私よりも2つ年上で、全くタイプは違うのにとても相性が良い。仲がいいと言うよりも、“相性が良い姉妹”の方がしっくりくるのだ。
なぜなら私たちは、皆が想像するような、仲良し姉妹ではない。
だって一緒に買い物にに行ったり、遊びに出掛けたりなんてしない。
買い物と言えば、小学生の頃、80メートル先のスーパーに2人でお使いに行った帰り道、姉は牛乳とか肉とかが入った全荷物を私に持たせ、それをあたかも自分が運んできたかのように見せる為、
家の前で「その荷物を全て寄こせ」と言ってきたのである。
まるで、山賊。追いはぎではなかろうか。
姉は昔からそうだった。
例えばダイニングテーブルで先に起きた私が新聞を読んでいると、「あ、テレビ欄見たいんだよね!」とその瞬間、私の前から新聞は瞬間移動している。
姉妹喧嘩の終結は決まっていつも、私の大事にしていたハゲタカの人形”ピーちゃん”を物質(ものじち)に取り、
「やめてよ~!やめてよ~!」とまるで盗賊に我が子を取られた母親の様に、泣き叫ぶ妹をあざ笑いながら、
「ピーちゃんの首絞めるよ!」
と言うパワーワードで5年間は苦しめられた。
私は今でも物に命(のようなもの)が宿っていると思っているタイプの人間だ。
そんな話をし始めたらキリないが、幼少期の私の権力ピラミッドは確実に二番目の姉が上部大半を占めていたのだ。
しかし私もバカではないので、しぶしぶ買い物袋は姉に渡したものの、そんな姉の横暴を母にチクった。
すると家で待ち構えていた母がものすごい剣幕で姉にこう言ったのだ。
「あんたはちびまる子の藤木みたいに卑怯な子だよ!」と。
あの光景が、今も私の脳裏に焼き付いて離れない。
これを思い出と言うのだろうか。何よりも母・京子が一番、ちびまる子の母の様だった。
遊びと言えば、当時Tシャツに短パン、ショートカットの姉に全身おさがりコーディネートの私は「おいミコ!○○行くぞ!」と連れられて、虫取りや沢蟹、ザリガニ、何でも取りに行った。
そんな20年も前の家族劇が今では本当に懐かしく、
当時は全く考えもしなかった父や母のあったであろう裏物語を考えると、
少し胸がきゅっとなって、今を二人で楽しんでほしいと心から願う。
そしてそんな相性の良い姉は数年前に結婚をした。今は子供もいる。
姉はそもそも、その類の事に消極的で、人生が大きく変わる節目を人並みに怖がっていた。それは私も全くおんなじで、人生の岐路に立たされた選択など、できればしたくない。
そういう感覚が昔から同じだったので、一番上の姉に子供が出来た時も、
「おめでとう!!」のあと10分後に襲ってきた謎の焦燥感に、もはやこの地球上でコレを分かち合える存在はこの人しかいない!と2番目の姉に電話をした。するとやっぱりお前もか!待ってました!と言わんばかりに、その時の私達は完全にシンクロしていて、そこからは二人にしか分からない、言葉にできない感情と感覚を電話で話したりしたものだった。
なのに2番目の姉は往ってしまった。
結婚と言う未知の世界へ。
私はあの日、彼女が言っていた言葉を忘れないだろう。
「たけぷーとね(旦那)スーパーに行ったんだけど、ウィンナー買おーってなって、そこにちょっと高いシャウエッセンと、それより少し安いウィンナーが置いてあったのね。んで、私はシャウエッセンが好きだから、シャウエッセンがいいなーって思ったんだけど、ちょっと他より高いから一瞬躊躇しちゃったのね。そしたら!たけぷーがシャウエッセンをかごに入れたの!私はその時思ったね!あ、この人と結婚出来るって!」
そっか。
長男だった父が昔から言っていた。
「一番最初が一番大変なんだ。下の子たちは上を見て、やる前から物事がどんなものなのか知ることができる。でも上の子は見れない。だから大変なんだ。」と。
その通りだね。
2人の姉さん。これからも私の知らない世界を、一足先に見せて欲しい。
だけどお父さん、やっぱり私の人生において、全てが初めての事で、いくらシャウエッセンの話をされても、まだよくわかんないみたい。
だから結婚をしない理由にはならないんだけど、もしかしたら不安なのかも。
だけど私は気になる人が出来たらとりあえず一緒にスーパーに行こうと思ってる。
そこで聞いてみるね。
「ウィンナー買いませんか?」って。
だってさ、今のところ姉はすごく幸せそうだ。
遅咲会会長 中川ミコ
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