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ルールってなんだ? 「デジタル税」をめぐるプロレスのような本当の話

オシンテック代表 小田真人です。
皆さんは、デジタル税って聞いたことありますか?

昨今のビジネスでは、本社がどこかがあまり関係ないものも増えました。
国境のないネットの時代、法人税をどう適正に取ればいいのか、法制度が実情に追いついていない・・・とも言えます。

企業は、合法的に、税率の安い国に法人を立て・・・
日本でも、税が極端に安いタックスヘブンのパナマ文書なども話題になりましたね。


これに対応するのが「デジタル税」。実は、この国際的な動きは、まるでプロレスのようです。現在進行形ですよ!

デジタル税をめぐる動き

フランスは2019年、大規模なIT企業が収益に対する税率の高い国から低い国に逃れる動きを防ごうと、一定の売上高を超える巨大IT企業の売上高に3%課税するという法律を施行しました。

もちろん、怒るのは米国です。2019年末には米国企業への差別だとして、フランスに報復関税を課すと発表しました。その後、1月に交渉に向けた枠組みの設置で両国は合意、デジタル税導入は2020年末まで延期される事となりました。

そんな中で、英国。なんと、3月11日に独自のデジタル税を発表し、米国の反論の間もなく、4月から課税を施行してしまいました。一定規模以上の売上の企業に対し、英国ユーザーから得た検索エンジン、ソーシャルメディアサービス、オンラインマーケットプレイスの売上高に対して、2%の税率(英国で年間120億円程度)を課すというものです。

フランスは、「パンデミックにより、デジタル税が正当で必要になった」としており、今年に入り、デジタル税導入の動きを加速させています。呼応して、OECD諸国も、デジタル課税の枠組みを話し合い始めました。

米国は、「さまざまな国が税収を増やす最も安易な方法が外国企業への課税だとしており、米企業がその被害を受けている。米国はその状況を許さない」と発言。デジタル課税を巡る国際協議から6月に撤退しました。

フランス財務省は、米国のそれは「挑発」行為だとして、OECD交渉に復帰するよう呼び掛けます。「何が起きようと2020年にデジタル大手に課税する。公正さの問題だからだ」との言葉とともに。

そして、米国はフランスに対し今月7月10日、25%の報復関税を発表しました。13億ドル(約1400億円)相当の仏製品(化粧品・バッグなど)が対象です。※ 最大180日間、報復関税の実施を遅らせる猶予付き。選挙前だからか(?)、ワインとチーズは入りませんでした。


さて、これからどうなっていくのか・・・2020年中に、大きな方向性が出るのではないかと思います。そして、それはGAFA包囲網となるのでしょう。米国の国際的地位も変わるかもしれません。

若干、日本が蚊帳の外なのは寂しいですが、この展開はNAVERやCacaoを擁する韓国なども注視しているようです。

EU復興計画

一つ、注目すべきトピックとして、コロナ対応でEU各国が制定した「EU復興計画」があります。

ここでは、コロナ禍でEU市民への対策費として7500億ユーロの借入を含む、総額1.85兆ユーロの対策が定義されているのですが、さすがはEU、その財源までしっかり書いてあるのです。

そして、7500億ユーロの返済について、しっかり「OECDの話し合いに基づく新しいデジタル税も返済計画の柱として明記されています。
もう、これはEUとしては絶対に取り組むでしょう。

OECD各国は、「段階的アプローチ」で課税を進めることにしています。
私は、近い将来、英国やフランス、イタリア、スペインなどが独自で運用する法体系から、各国協調の枠組みへと変貌を遂げるのだと思います。

マクロで考えると、富の偏在を再分配するのは、法だという事。
世界レベルでも、当然、富の再分配を要求します。

結果、自国の「マーケット」を管理するのは、自国の権利であり責任になっていく、という事がより、強く意識されるようになっていくのではないでしょうか。

米国大統領選挙は要注目ですが、どちらにせよ米国は厳しい立場に置かれているように思われます。

2020年7月29日
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