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公文書は誰のもの?

オシンテック代表の小田真人です。

オシンテックは会社として、民主主義と情報公開に対しては価値中立ではなく、推進の立場を取っています!

今日は、我々も非常にこだわって大切にしている「情報公開」「オープン」という事について。オープンな社会の大事な要素の一つ、「公文書」について特に書いてみます。

誰のもの?

日本では、古くから公文書というのは、「役人のもの」でしたが、2001年、情報公開法の施行により、「国民のもの」になりました。2009年にも、公文書は「国民共有の知的資源」とした公文書管理法が制定されています。

でも、役人にしてみたらその時「えっ、見せなきゃいけないの?」という事になってしまった。

ずさんな管理?

そこから、どうなったか?一部のケースですが、

1.そもそも公文書を作らない 
  (例:集団的自衛権の解釈変更の議事がない 2015)
2.公文書に該当しないと言い張る
  (例:集団的自衛権の解釈変更の想定問答集は公文書ではない 2017)
3.存在するのに存在しないと言い張る
  (例:加計学園の獣医学部で存在する内部文書を無いと答弁 2017)
4.都合に合わせて改ざんする
  (例:森友学園の国有地取引に関する決裁文書改ざん 2018)

というケースも出てきて、ずさんな管理実態等として、マスコミに突き上げられてもいます。これは由々しき事態です。

また、嘘ではないのですが

5.統計の値を上手に表現する
 ※例えば、厚労省が賃金動向の実態調査のやり方を切り替えたことが、賃金伸び率の上振れの一因となり、「アベノミクス」が成功だと言いたいがためではないか、と、首相秘書官の関与も疑われるという事態になりました。

というのも問題になっています。気持ちは分かるんです。自分たちがやった政策は、成功したと言いたいですよね。分母を変えることで、統計というのは容易に微調整出来てしまうものなのです。

・・・やっぱり、公的機関がやってはダメです。

そもそも公文書って?

ちなみに、公文書の定義ですが、消えた年金問題の反省を踏まえて2011年に施行された公文書管理法によると「国や地方公共団体の機関又は公務員がその職務上作成した文書」ということで、

「行政文書」省庁などが作る
「法人文書」独立行政法人、日本銀行、国立大が作る
「特定歴史公文書」歴史的な資料など

があります。

他の国は?

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広く世界に目を向けると、例えば米国は、日本より30年近く早く、1972年のウォーターゲート事件を機に、ホワイトハウスの公文書は全て手書きのメモや下書きに至るまで、保存されることになりました。

◆ウォーターゲート事件◆
1972年の大統領選挙戦で、何者かが当時のニクソン共和党政権にとって野党の民主党の本部のあったウォーターゲート・ビルに盗聴器を仕掛けようとして侵入、警備員に発見され警察に逮捕された。

犯人グループがニクソン大統領再選委員会の関係者であることが判明し、ワシントン・ポストなどの取材記事によりこの盗聴事件に政権内部が深く関与していることが暴露された。

さらに事件発覚時にホワイトハウスが捜査妨害ともみ消しに直接関わり、しかも大統領執務室でなされた会話全般のテープ録音が存在することを上院調査特別委員会が明らかにした。この録音テープの議会提出の拒絶や、事件調査のために設けられた特別検察官を政権が解任するなど(それに抗議して司法長官と司法副長官は辞任した)明白な司法妨害がなされた。

このようなニクソン政権の不正な動きに対して世論は猛反発し、やがて憲法の規定に基づく議会の大統領弾劾の勢いに抗しきれなくなり、アメリカ合衆国で史上初めて大統領が辞任するに至った。

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例えばEUは、公文書の重要性というのは共通認識となっており、公文書はすべての公用語(24言語!)で作成されることが規定されていて、公文書の翻訳になんと4,300名の翻訳者が雇用されています。そこまで、情報公開に投資をしているという事です。

一番大切な事

結局、国も組織も、やっていることに対する「信頼」が無ければ、機能しないのです。どう信頼を勝ち取るか。

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ここで、
1.都合の悪い情報を隠し、綺麗な情報だけで信頼を勝ち取ろうとするか。
それとも、
2.(対外交渉などのごく一部を除き)行政プロセスを全てオープンにして、信頼を勝ち取ろうとするのか。
両者の間には、実力として大きな隔たりがあるのです。それを目的としている国、していない国。それを実践できている国、出来ていない国。

私は日本国は、仕組みとして後者にチャレンジしていると思っていますが、まだまだ政府が信頼され、成熟した国だとは言えないと考えています。
公務員の方々、そして我々市民一人一人も、民主主義を推し進めるという使命と誇りをもって過ごしたいものです。

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