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PoC(Proof of Concept)の重要性【国連機関との実証実験を通して】

「国連機関とのプロジェクトリーダーをよろしく頼みたいんだけど、どう?」

と社長に突然言われたのが春先のこと。

これはつまり、国連機関に対して、オシンテックのRuleWatcher®(※詳細末尾。世界のルールトレンド情報のプラットフォーム)を提供できるようにする、という話。

自信は無かったものの、YESとNOを提示されると大体前者を選ぶ私はここでもやはりYESと答え、プロジェクトの開始からこれまで一緒に携わってきました。

せっかくなので、その過程で感じたことを皆さんと共有したいと思います。

PoC(≒実証実験)の前に、相手のニーズを探る

ところで、国連機関が普段どんな業務をしているか、想像がつくでしょうか(国連機関といっても内訳は様々で、今回のUNOPSであっても部署が細かく分かれています。チーム毎に、また役職毎に当然ですが欲しいものは変わってきます)。

今回のお相手、UNOPSの水エネルギー担当部門(WEC)は、全世界を対象に、多様な立場の関係者の間に入って気候変動適応や緩和、国際河川、域内水資源の管理などのプロジェクトを進める役割を担っています。そのための、資金や人材の調達、プロジェクトマネジメントのアレンジメントがWECの業務の中心です。プロジェクトの牽引役、ありがたいですよね(しみじみ)。
(https://www.unops.org/water-and-energy : 公式HP)


というわけで、PoCスタートの前にそのニーズを探ることから始まりました。

調べたり想像しながら「どこがどう職員の業務に役立つか」を資料化していくのですが、実際の業務の優先度合いや現行動いているプロジェクトが把握しにくく、フォーカスの当て方のすり合わせが必要でした。

特にWECは気候変動政策の国際情勢と、地域別の発出情報、個々の政府レベルの情報を網羅的に見ており(つまり全部ですよね)、一挙にすべてをカバーすることは難しいので、PoCに主に関わるスタッフの業務の優先順位に応じて資料やフォーカスする範囲を組み替えました。

また、オシンテック側は新技術の社会実装情報(プレスリリースなどの形で上がっている情報です)も今回の視野に入れていたのですが、実際のWECの今のニーズとしては、政策中心である、ということもわかってきました。

お客さんの求めるものに近づけていく

このようにやり取りを進めていく中で、相手の欲しい情報群が明確になってきます。作業としては、PoC期間内でそれらを収集し、データベースを増強していく訳ですが、実際にはそこからすぐに日用使いしてもらえる、とはなりません。

例えば、WECがオフィスを構えるオーストリアの政策情報、関連機関の動向を掴める環境を整備したい、という要望に対して、情報源は増えたのに母数が少ないためにその他大勢の情報に隠れてしまい、それを適切に取り出す道筋が無い、あるいは不十分、あるいはサービス画面上では説明不足であるということが見えてきました。

そうした気づきから、

①ユーザーインターフェース(UI)の改修
②必要な情報に辿り着くための経路の整備

を開発チーム(俗称:ウラカターズ)にお願いして、RuleWatcher®(※)は進化、ないしはよりお客さんの声に寄せる形で変遷してきました。

①に関しては、新しいものを使いこなすまでにかかる時間をなるべく短く出来ないか、ということで、他のお客さんの声と合わせて向上委員会が結成され、全面的な見直しに至りました。

やはり、実際にお客さんが使い始めると「並びはこれでいいの?説明は過不足ない?」など点検箇所が見つかるものですね。

②については、提供する私達とお客さんとの間で、情報の整理の仕方(タンスの引き出しの使い方みたいな)の認識に差があるかもしれない、という重要な気づきを得て生まれました。

どういうことかというと、検索したり情報を括りだす際のキーワード設定や、情報の分類の仕方、共通認識になってる?ということです。

表記の紛らわしいものを無くしたり(作業中)、新たな検索機能を追加してもらったりして、本当に使える日用品としてのウェブサービスを目指しています。

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これから10月まで(予定)PoCが続いていきますが、サービスをリアルなユースケースに合わせてチューニングしていけるというのは、PoCの重要性を物語っていると思います。

彫刻を削る作業にも似ているような。

お読みいただきありがとうございました。

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PoC: 概念実証と訳されることが多い。新しいアイデアやサービスの実現可能性を確かめるために行うデモンストレーションのこと。

RuleWatcher®:弊社が提供するウェブサービスの名称。今回のPoCで使用している。世界の法制情報を収集・可視化し、SDGs時代の企業の戦略や社会課題を領域とする研究者のナレッジシェア、調査、及びNGOなど市民のアドボカシーに寄与するためのサービスとして展開している。

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