デザイナーのポートフォリオの「良くない例」と必要な「伝えること」
デザイナーの皆様、ポートフォリオは作っていますか?
普段のデザインについては、会社で相談したりレビューをしてもらうことができますが、転職のためのポートフォリオとなると、なかなか「こう作るといいよ」というアドバイスがもらいにくくなりますよね。
私が採用活動で出会う「もったいないな」と思う例と
こうすると「もっと伝わる!」というポートフォリオの作り方をご紹介します。
よくある良くない例
■作品のキャプチャ画像だけ並んでる
あなたのことを教えてください、と聞かれたときに、
自身の作品のコピーの束を渡して「これを見ればわかります」とは言わないはずです。きちんと説明をしましょう。
■プロセスや作業範囲がわからない
あなたの作品は絵画ではありません。
なぜこのデザインにしたのか?自分はどこを担当したのか?を説明しましょう。
仕事のデザインでは時に何かを妥協しなければいけないときもあります、完成度だけが全てではありません。
妥協も全て含めた、その"意思決定プロセス"こそが最も大事なものなのです。
■読んでくれるペルソナをイメージ出来てない
あなたの行きたい会社はどんな人がいて、どんな情報を欲しがっているのでしょうか?
"相手の目線"を想像してから作成に取り掛かりましょう。
ポートフォリオにもいわゆる「ペルソナ」の視点を導入しましょう。
良いポートフォリオは会話する
「良いポートフォリオ」は「良い会話」と似ています。
実際の会話を思い浮かべてみてください。
あなたは先方に「あなたの事を教えてもらえませんか?」と聞かれています。
その時、開始何十分も自分の好きなことばかり話さないですし、
作品集だけ広げて「どうぞこれを見て私のことをわかってください」とは言いいませんよね?
相手はどんな人でしょう?
あなたのどんなところに興味をもってくれるでしょうか?
ある情報を見せたら、次に何を知りたがるでしょうか?
そして、良いポートフォリオには人を惹き込む物語があります。
・1分で心をつかみ
・5分で全体の大筋を理解してもらい
・10分で詳細を語ります
貴方がもし意中の人と15分だけ会話の時間をもらえたとしたら、どんな会話をするかイメージしてみてください。
CanからのBecauseを見せる
ポートフォリオで伝えることは基本的には
「私のできること(Can)」と「何故それができると言えるのか(Because)」のセットです。
【例】
can: 美しいポスターが作れます
Because : なぜなら、このポスターをゼロからグラフィックデザインしたからです。
Because :実際のポスターを御覧ください(画像)
大事なのはCanから始めること、
そのCanが難しいことであるのなら、なおさらBecauseを説得力のあるものにすることです。
ここで気づいて頂きたいのは、
実は制作事やモックアップ画像自体はできること(Can)ではなく、「なぜなら」を構成する要素のひとつに過ぎない、ということです。
まずはじめに、貴方が出来ること(Can)を箇条書きで列挙してみましょう、
その後、そのCanの根拠になる作品・事例をきちんと説明付きで掲載しましょう。
【私の出来ること一覧】
・美しいデザインが創れる
・htmlとCSSのコーディングができる
・UXリサーチの手法を用いることが出来る
etc
職歴では成長の角度を意識して伝える
過去の履歴で確認したいのはその人の"成長性"です。
成長とは、端的にいうと過去と現在を並べた時の差分です。
どれくらいの傾斜を描けているか?をわかりやすく伝えましょう。
ここでも重要なのはBecause(なぜなら)です。
今のCanと当時のCanを比べて、「何が出来るようになったのか?」を根拠となる作品や説明を用いて記載しましょう。
まずは短いプレゼンテーションをつくってみよう
ポートフォリオという概念を捨てて、まずはプレゼンテーションを作ることからはじめてみましょう。
よく、ECサイトのようなカタログUIや、インスタグラムのようなタイムラインUIを模してポートフォリオをつくっている方が多いですが、
「一つのお気に入り商品を選ぶ」「流し見していいねを押す」等といったUXと「私のことを知ってもらう」というUXは別物なので、狙いがある場合以外は安易に使わないことをおすすめします。
相手に何かをPRして売り込む、という用途で旧来から使われている手法が「プレゼンテーション」です。
「自分という商品をPRしてコンペに勝つ」イメージをしてみるとわかりやすいでしょう。
15枚のスライドで貴方をPRするプレゼンをしてください
まずは「15枚のスライドで貴方をPRするプレゼンをしてください」
というお題をイメージするといいでしょう。
大切なのはスライドの枚数を絞ることです。
「情報が多ければ多いほどいい」というのは幻想です。
情報を絞ることで、伝えたいことが洗礼され、相手に伝わりやすくなります。
出来上がったスライドは必ず言葉に出してみましょう、可能なら知人に聞いてもらいましょう。
その上で違和感がないか?相手に刺さる文章になっているか?を確認して調整してみましょう。
伝えることはデザイナーの基本スキル
デザイナーの基本のキは「相手に何かを伝えること」だと思っています。
・顔の見えないユーザーにサイト価値を伝える
・商品の良さを顧客に伝える
・複雑なことをわかりやすくする
こういった仕事で得た知見の積み重ねをぜひポートフォリオにも生かしてくださると嬉しいです。
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