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近未来生殖 20XX タワマンパワーカップル、妊活を始める

タワマンパワーカップル、妊活を始める

時は20XX年、20世紀末に予想されていた以上のペースで少子高齢化がすすみ、経済も混迷を極めていた。貧富の差は拡大し、子供を持つということが贅沢とされつつも、子や孫の顔を見たいと願う想いは潰えることはなかった。

東狂は湊区に居を構える、芙美子夫婦もその1組である。芙美子は物心ついた頃から両親が在宅勤務であることを当たり前に見て育ち、芙美子もまた在宅ではあるが多忙な仕事に追われ、なかなか夫婦の時間が取れないと旦那の奈央人にこぼしていた。20も年の離れた奈央人はよくできた旦那で、奈央人自身は芙美子ほど仕事が多忙ではないにせよ、家事を主体的にこなし、芙美子を支えている。彼の世代にしては珍しい、というわけでもないが、マジョリティというわけでもない。

「ねえあなた、私たち結婚して7年間仲良しなのだけど・・・」
芙美子は仕事の手を止め、隣でやはりパソコンに向かい難しい顔をする奈央人に話しかける。仕事中はパソコンから目を話さずに芙美子の話を聞く奈央人であるが、いつもと違う雰囲気を察したのか、ゆっくりと芙美子の方を向く。

「どうした?改まって。」
「やっぱり、赤ちゃん、欲しいなぁ・・・って。」
仕事中に突然どうしたのかと、奈央人は声にこそ出さなかったものの驚きを隠せなかった。新婚の頃は奈央人も芙美子も当たり前のように子供を欲しがったのだが、多忙と加齢でいつの日か子作りに対して積極的になれなくなり、言葉にはしなかったにせよ、子供については諦めムードが2人を支配していた。

もともと専業主婦志向の薄い芙美子は、奈央人の前では子供に対する憧れを強く示すことはなかったのだが、心の奥底では我が子を慈しみたい、と願っていた。奈央人もやはり自身の気力体力が子宝に恵まれない一因ではないかと思いつつ、やはり芙美子へ言い出せずにいたのだ。

「最近ね、マンションの保育施設で、子供のいない夫婦もサポートしてくれるサービスを始めたみたいなの。施設のWEBサイトを見たら、予約制で妊活相談に乗ってくれるって。」
少子高齢化による就労人口減少に悩む自治体はどこも妊活サポートに積極的になって久しい。東狂を離れ、地方都市でリモートワークをしながら自然豊かに子育てをしたいという夫婦が増える中、湊区は林立するタワーマンションの空き家問題を危惧しており、夫婦の都心回帰をすすめようと、タワーマンションの中に保育施設や介護施設、クリニックを誘致したマンション事業者や購入者に補助金を出すという施策を打っているのだ。芙美子たちの住むマンションにはこれらの施設があるのだが、保育施設のオプションで妊活サポートが始まったのだという。

「それじゃあ今度、有給を合わせて取って、相談しに行くか。」
奈央人は芙美子に向かい、やや改まって言った。
「ありがとう。急にこんなこと言い出して困らせちゃったらどうしよう、と不安だったの。でも話してよかった。あ、今日は珍しくお客様先に行かないといけないから、お昼は宅配頼んでおいて。夕方には戻るわ。」

身支度を整えた芙美子が玄関を出るのを見送り、奈央人はソファに深く腰掛け、しばし休憩を取った。ふと保育施設のことを思い出し、妊活相談について書かれているページを見はじめた。
「へー、最近の妊活サポートって夫婦生活、いわゆる夜の生活の相談にも乗ってくれるのかー。」
奈央人は感心しながら説明を読む。どうやら妊活サポートには夫婦生活の対面アドバイス、さらにはプレイルームでの夫婦生活実習があると目にして驚きを隠せなかった。続けてブラウザをスクロールすると、

“赤ちゃんのお迎えは、まずご夫婦が赤ちゃんの気持ちになることから”

こんな見出しが視界に飛び込んだ奈央人は、なんじゃこりゃ?とマウスを握る手が止まる。芙美子のやつ、疲れているのかな・・・こんな子供っぽい雰囲気、好きだったのだろうか?と、戸惑いを覚える。しかし、決めつけはよくない。きっと子供が欲しいことを今までなかなか言い出せずにいたのだから。だけれども、俺はどうすればよいのだろう?

いざ、妊活サポート 夫婦生活実習へ。

いよいよ今日は、かねてより予約していた妊活サポートの日だ。芙美子と奈央人はやや緊張した面持ちでマンションの保育施設に向かう。エントランスで名前と予約番号を告げて身分証明書を見せると、待合室へ案内される。しばらくして名前を呼ばれると、会議室のような部屋へ通されるのだが、やはり保育施設であるためか、ややファンシーがかった内装である。

「本日はようこそおいでくださいました。妊活サポーターの石橋 佳代と申します。私どものチームでお二人をサポートさせていただきます。先日メールでご案内しました事前アンケートフォームにご記入いただきましたので、早速ご説明をはじめますね。」
彼女はこう切り出すと、プロジェクターにスライドを投影しながらサポート内容の説明を始める。芙美子は真剣な眼差しで石橋の説明に聞き入り、時折メモを取る。奈央人もそれなりに真剣に聞いてはいるのだが、夫婦生活実習のことが頭から離れず、気もそぞろである。いきなり見ず知らずの人、しかもうら若き女性に自分たちのセックスを見せるのか?しかし、芙美子もよくこのようなサービスを申し込んだものだ。それだけ覚悟が決まっているのだろう。そんなことをぼんやりと考えていると、石橋は
「それでは、夫婦生活実習に入りますので、お二人はそれぞれ男女別のシャワールームへどうぞ。シャワーを出られましたら、タオルを巻いた状態で反対側の出口から出てください。お着替えは私どもがお預かりしますので、カゴの中に入れたままで結構です。貴重品だけは今こちらの金庫に入れておいてくださいね。」

いよいよ人前でのセックスかぁ・・・。事前のアンケートで奈央人は、ややED気味であることを回答していたのだ。それなのに、いきなり人前でセックス?緊張でそれどころではないだろうに、と思いながらシャワーを浴びる。前後にドアのある珍しいシャワールームだ。充分に温まり、腰にタオルを巻いてから、事前の説明通りに反対側のドアから出ると、驚きの光景を目の当たりにする。保育施設とは聞いていたが、まさか本当に保育園児が過ごすようなプレイルームでセックスなんてできるのか?奈央人に動揺が走る。

遅れて芙美子がプレイルームへやってくる。さすがに芙美子も緊張しているのか、うつむき加減で落ち着きがなく、奈央人と目を合わせることができずにいる。
「お二方ともシャワーお疲れ様でした。これよりサポーターが入りましてお二方にまずはリラックスしていただきます。プログラムの都合上、ご挨拶は控えさせていただきますこと、申し訳ございません。それでは最初に、タオルを取ってお布団の上に仰向けになって寝てください。」
と石橋に促され、芙美子と奈央人は生まれたままの姿になり、これまでで一番の緊張とともにサポーターを待つ。更に石橋は説明を続ける。

「サポーターは今からお二方のママ役になりますので、ママと呼んでいただきます。本日の夫婦生活実習はお二方に赤ちゃんがえりをしてリラックスしていただくことが目的ですので、必ずしもお二人の性行為は行っていただかなくても結構です。赤ちゃんがえりとは申しますが、性的に心地よくなっていただきますので、大人のような感じ方をされても構いません。もしお二方どうしで性行為をしたい、そういった流れになりましたらサポーターはサポートに回ります。基本的に、普段の会話のようなコミュニケーションを取らず、ママの指示に従っていただきますが、万が一体調がすぐれないなど緊急の際は、その時だけハッキリと意思表示してくださいませ。それ以外は、サポーターによる実習終了の合図まで、基本的に自発的な言語コミュニケーションを封じていただきます。」

人前でセックスをするものだと思っていたら、まさかの幼児プレイである。ここまで予想の斜め先だとは思わず、脳が混乱する。2人にとってはそれが永遠にも感じられたが、程なくしてサポーターのうら若き女性が2人、プレイルームにやってきた。
「ふみちゃん、なおくん、ママ遅くなっちゃってごめんねえ。寒かったでしょう?今からおむつさん当てますからねえ。」
サポーターは2人のそれぞれ足元に座ると、両脚を立て膝にしてベビーパウダーを股の間にふりかける。パウダーを広げると、テープ式のおむつを履かせ、ゆっくりとマッサージを始める。

芙美子は奈央人が気になり、目線を奈央人に向ける。妻の眼の前でおむつ越しとはいえ股間をまさぐられているのだ。様子が気にならないわけがない。奈央人はできるだけ受け身の姿勢を維持しようと、固く目を閉じリラクゼーションに集中しようとしているように見える。
「あっ・・・。」
先に声を出したのは芙美子のほうであった。芙美子担当のママ役サポーターは、芙美子の股の間から上方に腕を伸ばし、掌でゆっくりと、芙美子の双丘をくるりと周回する。芙美子は固く目を閉ざし、呼吸を深めていく。ママの手は少しずつ頂上へと近づき、やがて頂きにある蕾を捉えると、ニコニコと微笑みながら指先で蕾の先端を弾く。
「あんっ」
芙美子はたまらず声を上げ、次の瞬間、ハッとして自らの口を塞いでしまう。だがママはそっとその手を布団へと戻す。「ふみちゃん、声は出してもいいのよ。むしろ感じるままに声を出してちょうだい。ママ、誰にも言わないから。」
芙美子担当のママはふたたび愛撫ともマッサージともつかない手つきで芙美子を撫ではじめ、やがて芙美子は最初の絶頂を迎えた。

その頃、奈央人も苦しげな表情になり、そわそわと落ち着きのない様子を見せはじめていた。ママはおむつの上から奈央人の中心部にそっと手を添え、そして顔を覗き込み
「あらあら、大きくなったわねえ。ぴゅっぴゅ出ちゃう?」
と様子を伺う。しかし奈央人は首を横に振る。
「それとも、ちっちかしら?」
奈央人はしばらく躊躇した後、消え入りそうな声で
「うん・・・」
と首を縦に振る。
「いいのよ、出しちゃいなさい。おむつさんがぜーんぶ受け止めてくれるし、ママがおむつさんかえかえしてあげますからねー。」
我慢しなければという理性と、今ここにいる自分の役回りに素直に従ってみようという気持ちとが揺れ動いていた奈央人であったが、ついに決壊のときを迎えた。

「あぁっ・・・ママ・・・出ちゃうぅ・・・。」
ママは奈央人を抱きしめながら、ゆっくりと、それでいてどこか艶めかしく奈央人の股ぐらをおむつの上から愛撫する。やがて奈央人がすべてを出し切った頃合いを見計らって、ママはベリベリとおむつのテープを剥がす。
「あら、なおくん、大きくなっているじゃない。いい子ねえ。我慢していたのねえ。辛かったねえ。よしよし。」
赤ちゃんのお尻ふきで奈央人の股間を拭うと、奈央人担当のママは芙美子担当のママと目くばせをし、それぞれをバックハグで抱えるような体勢で2人を向かい合わせる。

「ふみちゃん、なおくん、今からお互いをよーく見てね。気持ちよーくなって蕩けているお顔を見せあってね。」
芙美子と奈央人は、半ば呆然としたような、とろりと蕩けた表情でしばらくお互いを見つめあう。今までの夫婦生活でこれだけお互いの顔を見合わせたことはあっただろうか。
やがて二人のママはバックハグのまま我が子の愛撫を再開する。
「あらあら、ふたりともとろーんとしちゃって、気持ちがいいのねえ。いいこいいこ。」 
芙美子も奈央人も息遣いが荒く、今にも泣き出しそうに顔をぐちゃぐちゃにしている。脚はM字に開き、お互いの性器がぬらぬらと粘り気を伴った湿り気を帯びているのが見てとれる。

僅かな静寂の後、意を決したように奈央人が口を開く。
「ふみちゃん・・・我慢できない・・・。つながろう?」
それまでママのねっとりとした愛撫に子供のような表情で蕩けていた芙美子は、妖しい笑みを浮かべて奈央人を見つめ、手招きをするように
「なおくん、おいで・・・。ママの・・・中に・・・おいで。」
奈央人はバックハグをしていたママから静かに離れ、おずおずと芙美子のもとへとにじりよる。芙美子を支えていたママもそっと場を外し、二人だけの世界がはじまる。
「なおくん、もうママの中に入ってきてもいいのよ。おいで。」
奈央人は無我夢中で芙美子にしゃぶりつく。数年ぶりにかつてのような硬さを取り戻した奈央人の分身を、そっと芙美子の入り口へと押し当てる。
「あんっ」
芙美子は軽くのけぞり、思わず声をあげた。すでに十分なぬめりが、二人の距離を一気に縮める。奈央人は堰が切れたように、腰を前へ前へと動かす。
「なおくん、もっと。もっとして。ママ、ちゃんと受け止めるから。ママのことぐちょぐちょにして!あんっ!」
奈央人は無我夢中で腰をピストンさせる。芙美子はなおも続ける。
「ママのことぎゅーして!ママもなおくんぎゅーするから!」
芙美子は脚を奈央人に絡めると、ガッチリとホールドする。まるで背中を押されるように突き動かされる衝動は、最早奈央人の意思では止められない。奈央人は思わず固く目を閉じて背中を大きく仰け反らせる。
「なーたん、ぴゅっぴゅ。ぴゅっぴゅしよ。いいよ、ママに赤ちゃんぴゅっぴゅして。いつでも赤ちゃんぴゅっぴゅしてもいいからね。」
芙美子は急に甘えた声になり、穏やかな表情で奈央人を見つめる。そして奈央人の両乳首に手を伸ばし、指の腹で優しく円を描く。
「ママ・・・ママ・・・お乳首ピルピル・・・お乳首ピルピル・・・気持ちいい・・・うぅ・・・うぐぅ・・・出ちゃうぅ・・・出ちゃu!!!」
奈央人が言いかけたその時、芙美子は興奮のあまり、自らも高まりながら突然奈央人の乳首を思い切り抓る。
「いっぐぅうううううううぅぅぅううぅぅぅうぅぅぅうううううう!!!」
「うぐっ・・・。」
晴れて二人は同時に果てたのだ。

二人は絶頂の余韻を貪るかのように、それまで激しく暴れていた肉棒を抜くことも忘れ、激しいキスを交わす。やがてお互いの唇がやさしく触れたり離れたりを繰り返し、二人は穏やかな笑顔で互いを見つめあう。
静寂がプレイルームを支配し始めた頃合いを見計らって、ママ役と石橋が戻ってきた。
「お疲れ様でした。お二人ともご自身を開放されてお互いを求めあっていましたので何よりです。とても素敵でした。」
石橋は二人の行為を一部始終見届けた感想を述べた。全裸の芙美子と奈央人は布団の上に正座し、石橋の話に耳を傾ける。気がつくと、石橋も二人のママ役もトップレスでかわいいカバーのおむつを履いている。石橋は芙美子に向かって話しかける。
「えーと、本日の夫婦生活実習メニューのアレンジをどのようにして組んだかをお話ししてよいですか?」
芙美子は恥じらいながらうつむき、奈央人をチラ見する。奈央人は薄々勘づいたような表情をしている。さらに石橋は二人に向かって続ける。

「冒頭にお話ししました、“赤ちゃんのお迎えは、まずご夫婦が赤ちゃんの気持ちになること”についてご理解いただけたかと思います。私たちも、大人の性の悦びをそのままに、赤ちゃんのように素直な感情で夫婦生活を送る方法を研究しております。最初に芙美子さんからご相談があった際に、奈央人さんが甘えたい願望があることを薄々感じ取ってもそれを叶えてあげられる方法がわからずに悩まれていることを伺いました。そこで本日の実習メニューをご提案しましたところ、トライしてみようということになりました。奈央人さん、いかがでしたか?」
突然にコメントを求められてドキリとしたものの、奈央人は
「普段私たちは夫婦仲がよいつもりでいましたし、昼間は概ねそうだと思うのですが、素直に自分をさらけ出していられていたか、と言えばそうではないことに気がつきました。これからは自分の気持ちを素直にさらけ出すことはもちろん、芙美子の気持ちにもっと寄り添っていきたいなと思いました。」
石橋は我が意を得たりという表情で締めくくる。
「それでは、あらためて全員で抱擁しましょう。やさしい心を忘れないように。」
芙美子と奈央人が向かい合って抱擁し、二人を囲むように三人が密着し、二人の頭や身体をやさしく撫でる。
「つらくなったら、いつでもママのところにおいで。くちゅくちゅ気持ちよくなって、とろーんとしましょうねえ。はい、今日はここまでです。お疲れ様でした。」
着替え終わって施設を出た二人は石橋たちに深々とお礼をし、エレベーターで帰宅した。二人の表情は今までになく穏やかで、この先の夫婦生活はきっと慈愛に満ちつつも情熱的なものになるのだろう。

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