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夜も眠らずに 海で泳ぐことに疲れた魚が 上陸を果たすまでに 地球は太陽の周りを 一億回周った…
オレは飛んだ 風をはんで思い切り空に舞い上がった あんまり気持ち良すぎて 吐いてしまった …
失くした色を取り戻しに 地球の向こう側で 新しい旅を始めたのになぜ 残っている色をふりしぼ…
〈いつかまた〉といったまま 遠くへ行ったひと ぼくはまだきのうの場所にいる 移ろう薄明のな…
クスノキの切株に 時間が座っていた 驚き顔の阿形と 歯ぎしりする吽形にすれ違った 朽葉色の衣…
桃園荘の二階で ビートルズばかり聞いていた 晴れた日は格別だった 「キリストはいなかったっ…
壊れかけた夜から降ってきた ターミネーターT800のように 私は裸でうずくまったまま 着る服がなくて 引っ越しもできない 右足の付け根から忍び込んできて オレの血管の中をうごめく蛇は オレの体中に散らばる ひからびた逆上を 食い尽くしてくれるのか 私はいつからオレになったのか 私もオレも 着る服がない ねんきんせいかつとは 年金生活のことではない 粘菌生活のことだ 動物でもなく 植物でもなく 菌類でもなく 人類でもなく 湿っぽい森で 月の光に照らされて眠るということだ
魚の涙を集めた海を 泳いできた ネモフィラのように青い約束を かき分け 泳いできた 金属であ…
さあみんな起きて 砂漠に埋めたバスを 掘り出しに行こう 極彩色に塗った あのバスを 虹のうえ…
きれいに手入れされた 白い手とネイルより 土にまみれた 岩のように黒く焼けた手 美しい 新…
開けない心の扉 約束を忘れた逃亡 しがみついた自分の弱さ 微かに聞こえる声 孤独の箇所に…
当たり前のことが当たり前に 出来ると言うこと 今日出来ないことが 昨日は出来たと言うこと …
紙ヒコーキ 目を瞑って飛ばす 青い空 たった一つ空を切る どこにも行けない 自分を飛ばす 叶…
黒い渦を巻く強風の中 金色の鷲が空を飛ぶ 日の照る時間に躓く者 月の光を見る時間に疲労する者 緩い流れの小川が 重き胸の内を穏やかに流してくれる 清められた希みは やがて変わりゆく 枯渇していた肉体に 純然たる色が足の指先から 満たされていく 古いはずの心が新しくなり 新しいはずの欲は古くなる きれいにされたのではなく 新しくなった肉体は もう元には戻らない 広い草原に一人 風に向かい 新しくなった体で 過去やしがらみや いらない欲望が