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少しずつを頻繁に

世の中の仕事には2種類ある。一つはやっていて楽しい仕事。もう一つはやっていてつまらない仕事だ。
我々の人生において決まって弊害になるのは、後者である。
やりたくない事とというのは、つい後回しにしてしまい、その結果膨れ上がる。
その本質は、学生時代に夏休みの宿題をほったらかしにして痛い目を見たあの日となんら変わっていない。
だが、その生き方を放置しておくのは賢くないだろう。
そこでこの動画では面倒な仕事を処理するためのとっておきの方法を伝授しようと思う。

ところで、皆さんはモンスターハンターというゲームをやったことがあるだろうか。
非常に巨大で凶暴な化け物を人間の都合でとにかく狩るという極めて非道徳的かつ野蛮なゲームだ。
私はこのゲームからあることを学んだ。
それは「化け物は一撃で仕留められない」、ということだ。
モンハンでは狩りの際に必ず「部位破壊」をして、モンスター弱らせていく。
そうやって“弱ったところでトドメを刺す”。これが狩りの基本だ。
そしてこれは仕事術においても同じことが言える。

一気に終わらせようとするのではなく、少しずつの量を頻繁にやればいいのだ。
そうすれば時間も気力も温存しながら面倒事を突破することが可能だ。

「困難は分割せよ」という言葉は、誰しもが聞いたことあるかと思う。
誰の言葉だったかは忘れたが、有名だ。
面倒な仕事に向き合うためのスタンスは基本的にこの格言通りでいいだろう。
面倒な仕事は一見複雑に思えるが、単純な仕事ごとに分解して「部位破壊」していけば、意外とあっさり倒せるものだ。

しかし、この格言を聞いただけでは、何をどれだけ分割すればいいのかよくわからないかもしれない。
そこで、この動画ではより具体的な提案をする。

ポイントは次の3つだ。
1分子レベルに落とし込む
2全体像の把握
3ルーティンに組み込む

この三つさえ真摯に取り組めば、ただ息を吸って吐いているだけで、何なく困難を乗り越えることができるだろう。

【分子レベルに落とし込む】

大体の人は何か複雑なタスクに取り掛かろうとした時、とりあえず1時間程度、時間を確保しようとする。
しかし、この時点で既に命運は分かれている。
1時間なんてそう易々と確保できないのだ。だから後回しにしてしまう。
そうなると、作業はいつまで経っても進まない。
進まないから期限が迫って、気がつけば、より困難な課題に変貌しているのだ。
このように、化け物に餌を与えているのは私たち自身なのである。

要するに、時間が取れないことを言い訳にして“着手しない”ことが問題なのだ。
そこで「困難は分割せよ」という格言に従って、カジュアルに取り組めるサイズにまでタスクを落とし込んでみよう。

ポイントは、これ以上小さくできないような、分子レベルにまでタスクを分解していくことだ。
5分くらいで、ささっと片付けられるような工程にまで落とし込めると非常に理想的である。
すべき作業を二分の一、更にまた二分の一と切り分けて行って、最小単位にぶつかるまで切り分けよう。
ここまでバラバラにすると流石に「ちょっとやってみるか」という気分になってくる。
反対に、あまりにも簡単すぎたらくっつけて調節すればいい。

このようにして、「全体」を「部分の集合」に置き換えていくのだ。
換算された「部分」を一つずつ着実にこなしていけば、どんな凶悪な化け物だろうとダメージを蓄積させることができる。
狩りというのは、弱らせることさえできれば、勝機はこちら側にあるのだ。

【全体像の把握】

先ほど「全体」を「部分の集合」置き換えるといったが、そのためには「全体」を正確に把握しておく必要がある。
これから狩りに行く化け物の名前や属性、弱点を調べ上げてからハントへ出向くのが賢明だ。
注意すべきなのは「“全体”を“部分の集合”に換算する」ことはできても、「部分の集合」は「全体」にはなり得ないという事である。
つまり、無策な手段の塗り重ねは愚の骨頂なのである。

適当に散歩していたらいつの間にか富士山の天辺に登頂していた、なんてことはまず無いだろう。
しかし、自分のやるべきことになると、暗闇の中をひたすら走り回ることを「努力」だと勘違いしている人が多い。
だが、それでは時間と体力をただ消耗しただけにすぎない。
残念ながら、仕事というのは自己満足のエクササイズではない。いかにして他者への価値を生み出すかのゲームだ。
そこで必要なのは、闇雲に走ることではなく、全体像の把握からの逆算である。

「困難を分割せよ」の“分割”とは割り算のことだ。
割る数は期限までの日数として、“割られる数”をはっきりと定める必要がある。
ここを曖昧にしておくと、無策の強行突破になってしまう。
期日までに何を、どのくらいのレベルで仕上げて、どうすれば勝利なのか、条件を明確にしておくといいだろう。
そうすればすべき事というのは自ずと見えてくるものである。

【ルーティンに組み込む】

今、皆さんの目の前には全体像を把握した上で、分子レベルに分解したタスクが散らばっていると思う。
問題はこれをいつ着手するかだ。着手しなければ「面倒な仕事」は終わらない。
もちろん、5分未満で終わるものが多いだろうから、好きな時、気が向いた時にやるのでもいいだろう。

しかし、忘れてはいけないことがある。
我々は今までそうやって全ての困難を後回しにし、膨れ上がらせてきたということだ。
せっかくここまで工夫したのにも関わらず、この動画を見る以前と同じ轍を踏むことだけは避けたい。
そこで私からの提案として、ルーティンに組み込むというアイデアがある。

我々の生活は基本的に習慣でできている。
朝昼晩の食事を筆頭に、通勤・通学、散歩や運動、お菓子をつまむ時間でさえも、大体決まっていたりする。
そういった習慣の前後に5分未満のタスクを組み込んでいくのだ。
自分がどんな習慣で生活しているのかは箇条書きで書き出せばすぐにわかるだろう。
仮に10の習慣があるとしたら、それぞれの習慣を開始する前にたったの5分間だけ、面倒な仕事に取り組めばいいのだ。
そうすれば自然と50分は捻出できることになる。律儀に格習慣の前後で取り組んだのなら実に100分の確保だ。
このようにして“少量のダメージを頻繁に”与え続けることで、着実に面倒な仕事という化け物を弱らせていくことができる。

そうしているとある日、気づくだろう。
「余った時間と気力で確実にトドメを刺せる」ということに。
ここまで弱らせて、初めて“一気に”片をつけよう。おめでとう、ハント成功だ。

人間の意志というのは我々の想像以上に弱く脆いものだ。
そんな意志の力で、化け物を丸々一体討伐しようと考えると足がすくむかもしれない。
そこで、まずは爪を割る。次に腱を切り、翼をもぎ、尻尾を落とし、牙を折る。
そこまでしてようやく首が狙うことができるのだ。
手数を重ねて少しずつ削ることは決して恥ずかしいことではない。
むしろ、最初から大立ち回りして首を獲ろう躍起になるがあまり、無様にも返り討ちに遭うだけの人間は、組織において単なる非生産的な負債だ。

狩りに出て、生きて帰ってくる者が正義なのであって、華麗なる剣裁きもド派手なアクションも必要ではない。
我々が面倒を後回しにしてしまうことの本質は、夏休みの宿題と何ら変わっていない。
たまに「楽しむ工夫をしよう」と言う人がいるが、面倒事はどこまでいっても面倒だ。
化け物を子犬として接すればいずれ怪我をすることになるだろう。
嫌々ながらも、ゴールを把握し、少しずつ、かつ頻繁に着手した者だけが課題をクリアしていくのだ。
化け物が怖いなら、餌を与えるのではなく、トドメを刺せ。

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