【創作】 言ノ葉
「嗚呼、ロミオ」
馬鹿げてる
誰が感動すんだこんなもんさ
僕が一番凄いんだ
僕が一番凄いんだ
俺が一番、凄かった
僕は秀才だった
幼稚園の頃は砂で作ったお城の完成度の高さから若ぇ女の先生からワーキャー言われたし、
(多分俺に惚れてたんだと思う)
お絵描きでは、あえて絵を描かないと言うスタンスを取ってクラスの一匹狼として君臨
友達はあえて作らなかった
だって、ダセエじゃん
人に合わせないといけないんだろ?
俺様に合ってないぜ
「タカヒロー!」
お母さん
「貴方は顔が汚いわね」
お母さん
「おぉ!お母さんに似てブッサイクだなあ!」
お父さん
「可愛いわねえ」
おばあちゃん
おばあちゃん、僕の顔はそんなにも汚くて、
ブッサイクなのかい?
うん。
「そういう事さ」
おばあちゃん、
僕は今、アルバイトを頑張っています。
自分より綺麗な顔のYouTuberの非の部分を細かく探り、ネットニュースにまとめあげた収益で日々の生計を立てています
おばあちゃん、
みんな、人間には、
良い所も悪い所もあると教えてくれたね
僕はその、僕よりも輝かしく思える人間の悪い所を探って、アンチコメントをしているよ
いっぱいいいねが付くんだ
良いだろう?
僕に共感してくれてるってことさ
僕は一番偉い
僕が正解だ
だから人を下に見るよ
だって、僕は上の人間でしょ
じゃないと、とっても、怖いんだ
雨が降れば、傘を差すよね
それぐらい当たり前の事なんだ
僕みたいな上の人間が、
下の人間の間違いを正すのはさ
嗚呼、美容系YouTuberの泣きながらの謝罪動画を見ながらのハンバーガーは美味しいな
嗚呼、美味しいな
美味しいな
美味しいな
おばあちゃん
「タカヒロ、食べたいものはあるかい?」
ハンバーガー!
「ハンバーガー?」
うん!
「あらあら。くそデブになっちまうねえ」
そんな言葉遣いをしちゃダメだよ!
「世の中にはねえ、
もっと汚い言葉遣いをする人もいるから良いのさ」
ダメだよ!
「ふんっ!」
おばあちゃんは、僕の口にハンバーガーを突っ込んだ
涙がぼろぼろ出てくる
おばあちゃん、会いたいな、おばあちゃん
おばあちゃん、僕にいつも2つハンバーガーをくれた
結局ひとつもハンバーガーなんて食べてなかったね
全部、僕にくれたから
「嗚呼、ロミオ」
おばあちゃんのジュリエットの姿、とっても綺麗だ
美容系YouTuberとして成功して、その後は役者として成功したんだよね
画面の中で流れるモノクロの映像
嗚呼、おばあちゃん、綺麗だ
凄く、凄く、綺麗だ
おばあちゃんは憎くないのに、
なんでこいつ達はこんなにも憎いんだろう
あ、またこいつ変な発言したな
書いちゃお書いちゃお
涙がぼろぼろ、
ぼろぼろぼろぼろ
「タカヒロは顔が汚いね」
カチカチカチカチ
YouTuberのアリスさんは顔が汚いですね
「タカヒロは性格が悪いね」
YouTuberのアリスさんは性格が悪い
俺の知り合いの知り合いがこんな目にあったんだ
涙、ぼろぼろぼろぼろぼろぼろ
涙、ぼろぼろぼろぼろぼろぼろぼろぼろぼろぼろ
「タカヒロは、良い子」
カチカチカチカチ
偽善者ですね
怖かった夜も明けてきた
僕が不安でたまらない夜を、越させてくれてありがとうYouTuber達
とても有能な道具でした
ソーシャルメディアに出てきてくれてありがとう
僕にできないことをするやつは、
全員、ぶちのめします
「タカヒロ」
「辞めなさい」
ありがとうジュリエット
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