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愛も恋も結婚も、変わらないものはない。

天狼院書店のライティングゼミに通い始めました。
その課題の、提出しなかったもの
読み物が好きな方はご覧ください



「私は好きだけど、あなたはどうしたい?」

そう告白したのは23歳の時。16歳上の男性にそう伝えた。

「正直ね、残念かもしれないけど、きっとここで振られても、私は何年かしたら、また新しい恋をスタートさせるの。
 今はあなたのことが好きだから……あなたはどうしたい?」

我ながらぶっ飛んだ告白だと思う。
そんな告白からスタートした2人の結婚生活も、いよいよ12年目。

我ながらに穏やかな家庭である。
小学生2人もいる。2人とも健康。彼も50歳になるものの、大きな病気や入院もすることなく生きてきた。仕事の転職はあったものの、そのぐらいの変化しかない。
私も個人で事業主として仕事をし、おうちのことも全てやって毎日を過ごしてる。

ただ「年下に好かれている」という自惚れが、結婚生活を静かに蝕んでいった。

結婚生活は他人同士が暮らすのだから、育ってきた環境が違うのは当たり前。だからこそ、意見や気持ちをすり合わせて行かなくちゃいけないと思ってる。

我が家は育ってきた環境だけではなく、世代が違う。
私は、ゆとり世代1代目。自分の意見を持つことを良しとして学校生活も過ごしてきた。もしかすると、自分の意見がないことに対して指導されるような学校生活である。
しかし彼は違う。自分の意見を持たないように過ごしてきた。先生の言う事は絶対。父親の言うことは絶対という世代である。

だからこそ2人の中で「子育て」だけでなくいろいろなところでズレが生じる。ただ、2人とも「これだけ年齢差があるからずれていて当然」という思いがあるから、話し合って解決してきた……はずだった。

いつからだろう。
「お前は俺のこと好きだろ?」って自信満々に言われて、吐き気がするようになったのは。

私は、両親の離婚劇も見てきた。
その中で相手を尊敬できなくなったら終わりだなぁっていうのは常々思うところである。
でも、お互い大人できちんと話せる人間同士なのだから、話し合いで解決できると信じているし、寄り添いあって夫婦って成り立つものだと信じてる。

ありのままでいて好きになってくれるなんて、烏滸がましいと思うから、結婚しても努力は惜しまないわけである。

毎朝いってらっしゃいって見送る。
私からハグをする。キスをする。
子どもたちの様子も、こんなことあったよって伝える。
休みの日はそれぞれやりたいことがあるから、やりたいことを聞いてスケジュールを立てる。
明るく元気なところが好きだって言うから、明るく元気に振る舞ってた。
スレンダーの方が好きだって言うから、太らないように努力もした。

受け取ってもらえない努力を、5年も続けたら、とうとう壊れてしまった。

何のためにここにいるのかがわからない。
必要とされているのかがわからない。
「あい」や「すき」という、たった2文字で
こんなにも時間が搾取されているって感じてしまう。


あなたといると息ができない。


「泣き寝入り」「あきらめ」という言葉は、私の辞書にはない。だからぶつかりに行ってしまうのだ。

何度話し合っただろう?
何度思いを伝えただろう?
伝わらなくてA4用紙に図解して伝えたこともある。

「ここまでやってダメなら仕方ない」って思えるまでやり切った。完全に、受験勉強と一緒である。受験のときも、これ以上やったら体を壊すって、ところまでやりきった。これで落ちたんだったら仕方ないよねって思えた。

考えうる手段は全て使った。
そんなに恋愛経験がたくさんあるわけではないけれど、思いつく限りの愛情表現は全てしてきた。

だからこそ、気づいて、実験的に全てを辞めた時、何も変わらない現実が無造作に転がってた。

私の5年間は、無駄だったんだ。
そう確信するのに、時間はかからなかった。


今でも彼を尊敬してる。
毎日働いてくれてありがとうって思うし、子供たちと遊んでくれてありがとうって思う。
きっとこれからも何度もぶつかるんだろう。
それは親として、子育ての方針でぶつかるんだと思う。
私の恋愛としての「好き」と言う気持ちがたっぷり詰まった風船は、5年かけて小さな小さな穴が開き、修復不可能になってしまった。もう、いつの間にかしぼんでしまった。

ただそれだけだ。

これはきっと性格なんだと思うが、全ての思いを彼に伝えてある。

これから先、私にまた好きになってもらおうと努力をするのか?
親であるうちは一緒に子育てしようって言う程度で綺麗におさめるのか?
ルームメイトとして過ごしたいのか?
人生のパートナーとして過ごしたいのか?

それは彼が決めて、行動するだけである。
私の預かり知らぬところである。



私と一緒に、時間を過ごしてくれる気があるなら、それだけでよかった。
私の好きなことを聞いてくれたり、興味ある話題について一緒に議論してくれたり。



それだけでよかった。



ご飯が出てくること。
おうちの中がそれなりに綺麗で保ってあること。
自分が洗濯しなくても洗濯が終わってること。
子供たちのことも、自分が目を配っていなくても、いろいろ教えてもらえること。

どんなことでもいいから、たった一言「ありがとう」って、言ってもらえるだけでよかった。

その一言をケチるって
「そのたった2秒をかける価値もない」
って言われてるのと同じなんだよね。


これを読んで、「自分、言ってないな」って思う人は、今すぐ言ってみてほしい。

「あいつには、俺しかいない」って思ってるんだったら、それはとても悲しいことである。
あなたが好きになった素敵な女性なのだから、だれか他の人が好きになる可能性も十分ある。
しかも、女性は愛されたら、すぐにキレイになれる。

日本の人口1億人の中でたった1人、
自分をそこまで愛してくれた人がいるのであれば、世界に目を向ければ、まだまだたくさんいる。
確率的に70人はいる。

結婚してるからって変わらないわけじゃない。

愛してるなら愛してるって言おう。
好きなら好きって言おう。
感謝してるなら「ありがとう」って伝えてみよう。

たったそれだけ。

難しい事は無い。
たったそれだけで救われる事はたくさんあるから。
風船がしぼまないうちに、気づけたらいいな、と切に願う

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