産業カウンセラー 吉田修

産業カウンセラー・メンタルコーチです。 大学院修了後、通販会社のお客様相談室を経て独立…

産業カウンセラー 吉田修

産業カウンセラー・メンタルコーチです。 大学院修了後、通販会社のお客様相談室を経て独立。 税務署・税関等職員への個別セッション、3000回以上の公開セッション、web上での人生相談等多数。

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最近の記事

私たちは如何に弱いままでまともで居られるか

私たちはとても弱い生き物 私たちは、個体としてはそれほど強くない。いや、生き物としてはかなり脆弱な部類に入る。 私たちは裸でないにしても、ひとりで山の中に放り出されたとして、一日として生きていくことが難しい。 これは遭難することによってけがや低体温症のリスクにさらされるからだけではない。 山で遭難した人は、胃潰瘍になっている場合が多いという。 場合によっては重度の胃潰瘍になり、大量吐血することによって死亡してしまうケースもある。 これは、普段は見ないようにしてい

    • ドラマ『舟を編む~私、辞書つくります~』にドハマりしたカウンセラーの感想。

      「なんて」面白いドラマだろう。 この「なんて」を調べると 助詞:軽んじたり、遠まわしに言うことを表す。 副詞:驚いたり、感心したりする気持ちを表す。 このドラマは全編を通して主人公の岸辺みどりが一回目で口癖のように言う、この「なんて」の意味が助詞から副詞に代わっていくストーリーです。 私はカウンセラーなので、このプロセスが、もう泣けて泣けて仕方がなかったです。 大海原の岸辺にたたずみ途方に暮れて、自分を卑下するというより、自分と身の回りのものすべてを「なんて」とバカに

      • 『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』⑧

        「40代になってわかってきたこと…」 「お話しましょ!」 午前中の仕事を済ませたようで、話をするのは昼過ぎくらい。 「はーい」とメッセージを返せば、このままコールが返ってくる。 「もしもし」。 「あー、はいはい、あれ、なんだか、声がきれいだねぇ」。 「あはははは、覇気があるからですよ」。 「あははは、そうだよねぇ、SNS見てると、休みの日にはいつもどこかに出かけてるし、ママ友とはいっぱいしゃべっているみたいだし」。 「そうなんですよ、ママ友とは近所のおいしいカ

        • 『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』⑦

          「あのね、私、こんなに幸せでいいのかなぁ」 「パパと再会してから、これまでの空白を埋めるような気持ちでいっぱい会うようになって、とっても幸せなんですね」。 「うんうん」。 「そうなんだけど、私、こんなに幸せでいいのかなぁって、思っちゃうんですよ。このことを聴いてほしいんですけど」。 「あー、はい」。 「私、小さい頃、お母さんと一緒に生活していて、お母さんのことを裏切ってはいけないって、ずっと想っていたんですね。それが、自分ばっかりが幸せになっていいのかなぁってなんだ

        私たちは如何に弱いままでまともで居られるか

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        • 『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』
          3本

        記事

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』⑥

          父との時間2 「この前、パパの家に行ったときに思い出したんですけど、パパとお母さんと三人で暮らしていたとき、常に山下達郎などの歌が流れていたんです」。 「うんうん」。 「以前からパパは、なぜだかカラオケに行こう行こうと言っていたんですね。それでパパの住んでいる地域のカラオケに行ったんです」。 「うんうん」。 「パパが家を出ていったのが夏だったんですけど、山下達郎の『さよなら夏の日』が流れていたんですね。これをパパが歌ったんです」。 「うんうん」。 「そうしたら、パ

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』⑥

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』⑤

          父との時間1「報告です。お話聴いてくれますかぁ」。 来た! ちかちゃんはSNSで近況をUPして楽しそうにしている様子をいつも見ているので、近況は分かっているが、人生のカレンダーがどういう変化をもたらしているか、問題はここ。 「お父様とはどう?」 「おばあちゃんは、先日亡くなって、お葬式も挙げたんですが、それからもパパとは頻繁に会っているんですね。とっても仲良しです」。 「ふんふん、それはすごい」。 「私の主治医の先生は、お財布代わりにしちゃえよとかいって、おいしいも

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』⑤

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』④

          人生何周目?ところで、ちかちゃんの娘のさおりちゃんについて書き残しておきたい。 ちかちゃんは結婚してから5年間不妊治療を受けていて、もうできないかもとあきらめたときにさおりちゃんを授かった。 不妊治療はもう二度としたくないほどつらいものだったという。 彼女は、よく世間では不妊治療をやめたら自然と授かったりするということを耳にしたらしいが、本音を言えば「よろしゅうございますわなぁ、結構なこって!」というふてくされた気持だったようだ。 しかし、神様はきっと「そうふてくされ

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』④

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』③

          病床での大仕事「報告しますから話聴いてほしいです!」 ホラきた! 少しドキドキしながら聴く準備をした。 「会ってきました!」 「で、どうよ」 「良かったんですよ!」 「おー、それは良かった!でもさぁ、お婆様、最後に大きな仕事をしてくれたねぇ!」 いきなり彼女の話も聴かずに自分の口から「最後に大きな仕事」という言葉が飛び出した。どうもこのことについて前回の相談から自分の頭の中でぐるぐるしていたのは間違いなく、彼女の今後のロールモデルになるかのようなものをお婆様が指し

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』③

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』②

          「人生のカレンダー」が動くとき「あの~、少し相談したいことがあるので話聴いてもらえますかぁ?」。 ある日、Facebookのメッセンジャーからこんなメッセージが届いた。 おっ、しばらくぶりにちかちゃんと話が出来るなぁと楽しみに思いつつも、大概こんな時は、なにかある…。 大体こういうときは、私の頭がとっちらかって会話の冒頭から私が自分のことをひとしきり一方的に話したりしてややこしいから省くとして、会話は以下の通り。 「実は、お父さんから電話があって、おばあちゃんがもう危篤

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』②

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』①

          はじめにこの物語りは、双極性障害を抱えた「39歳の女の子」のちかちゃんが、幼児期から壊れたままの「家」を再生するために「人生のカレンダー」をひとつひとつ乗り越えようとカウンセラーの「私」に相談してきた実際の記録です。 私からみると、彼女の「人生のカレンダー」には、「家」を再生するための様々なイベントが書き込まれていました。例えば、大きなイベントとしては「35年間離れ離れだった父親と再会する」であったり、小さいものとしては「近所のおばちゃんからお菓子をもらう」というものまで、

          『人生のカレンダー 「家」の再生の物語(仮)』①