ものさし

働き方なんちゃらより働く”ものさし”

いま、地元燕三条地方では「仕事はあっても人が来ない」という企業さんの悩みをよく聞く。地元に限らず、もしかしたら地方だけではないのかもしれないけれど、とにかく勿体無い話なのは変わらない。しかし弊社MGNET(所在地は新潟燕三条)は今も多くの求職の依頼がある。求人募集中かどうかは関係なく求職者自らが訪ねてきて「求人ってしてないですか?」や「MGNETで働くにはどうしたらいいか?」などと尋ねてくれる。これは会社を経営している身として結構嬉しい。

で、不思議ではないだろうか?
MGNETは置いておいたとしても、地元には多くの求職者を集める企業がある一方、求人に悩みを抱える企業があり、その企業は弊社に比べれば遥かに有名で会社規模も大きくユーザーからも愛され、やりがい(具体的な業務や作業内容、分かりやすい成果判断目標)もあり、そして会社からの指導や支援、福利厚生もしっかりしている。何より給料も悪くない。

なのになぜ、人が集まらないのか。

例えば自分自身が感じていることとして、常日頃から一緒に仕事をする会社さんや工場の方々と話をすると、会社を経営しているが故に羨ましくも感じるほど、魅力的な企業は数多くある。そして気づいたことの一つにリクルート時の場合「有名」や「やりがい」というものは、社会的な”ものさし”ではなく求職者の”ものさし”で計られていて、実は案外求人をしている側になってみると違った”ものさし”で計っているかもしれないということ。それは計り間違いなのか計る場所を間違っているのかは個々それぞれなんだろうと思うけど、とにかく聞きたい人(求職者)が聞きたいこと(求職にとっての大切な要素)を取得できていないまま、機会を逃しているのかもしれない。

これは企業にとってはもちろんだけど、地域にとっても、ひじょーーーーーに勿体無いことだなと思う。そもそも遡ること「経済とは」に戻って考えてみると経済に大きく関わる税収には国へは法人税、地域には事業税なんかがあるはず。(個人なら所得税や住民税などもあるわけで)商売を軌道に乗せて利益を計上し、そこから税金という形で社会へ還元されていくことも我々経営者としては少し誇らしい瞬間なのではと思う。少なくとも俺は思っちゃうタイプ、変なんですかね(笑)まあ結局”支払う”という手段になってしまうため「また法人税が上がった」と嘆くこともまた共感はできますが、ここは日本だからやっぱり日本のルール内で工夫と努力で活路は見出したい。あーだーこーだとクダ巻いている時間ももったいないですし。

それは○○だからやれることだ。

そうなってくると、しっかりと利益を計上するということだけとっても案外地域のためにはなるんではないかと思う。ちょっと余談ですが地方ではまだまだ「まちづくりはNPOの仕事」「まちのことを商売にするなんて」と影で言われがち。ちなみに昨日も言われました。ただこれは決してまちづくりに限った話ではなく今まで聞いたことない、見たことない、もっと言うと目で見て手で触れることができないモノには価値を感じられないため、まちづくりやことづくりのようなソフト事業にはとにかくボランティア精神を求めてしまう。そのために行政や青年団体など地域に汗を流す人たちに対しても「金や時間じゃない!心だろ!」と言った心無い言葉を「頑張れ!」という他人事で頼りきった姿勢をエール的な方法で届けてくる。

さらにやりにくいのは、徐々に実績が認められてくると今度は「あいつらは好きでやっているから」「やりたい人にやらせておけ」と監督的な立場を行使し始める。何もしないのに。そして、では一緒にどうですか?と声をかけると「うちは○○さんと違うから」「○○だからやれること」と手のひらを返しやることを認めた上でやらないことを美化し始める。

話が逸れ始めたので軌道修正しますけど(汗)ことのつまりが結果自分たちの”ものさし”で物事の印象や可能性、成長は大きく変化する。これは企業はもちろん、どちらかというと地域にとってとても大切なことなのではと思う。この”ものさし”を適切に使うことができる、もしくは適切に使う方法を知り、学び合うことで様々な場面で機能してくるのではないかと思っていたり。

その中の一つに「求人」の在り方を見直す必要がある気がする。そもそも求人の方法がしっかりあるわけではないのにハローワークや就職説明会的なものでフォーマット化されているが故に、具体的に「こうしたらどうか?」と平均的な答えを俺個人が言えないことに力不足を感じますが、そのような従来の方法では企業が求人したい人とめぐり合うのはかなーり難しい。結果として”求人はしているが人が集まらない”現状が続き”仕事があっても仕事が受けれない”という、ほんと勿体無い状況に陥っているのではと。それは地域にとっても、大きな課題だと感じざるを得ませんよね。

だから最近、このままではまずい気がするぞ!とMGNETも取り組むようになったことに「移住定住事業」があるのです。そもそもどの町でもやっているような従来の方法論(東京出て法被着るヤツなど)で地域への移住や定住を促進して、仮にも若者が集まったきたところで彼らにとっての「魅力」を彼らに受信してもらえない状態では、大きな機会損失を生んでいる気がしてならない。逆もあるかもですね、彼らがそれでも感受性豊かに理解を示してくれたとしても、今度は町が彼らの想いを受信できなければ、やっぱり同じなのかなと思います。間違えないで欲しいのは”町に魅力がない”のではなく、魅力として届いていない、もしくは町自身が感じ取ることができていない可能性があると言うこと。

何をしている会社か不明

そこで投稿当初の話に戻ると、MGNETは必要に駆られて求人したことがない。そもそも仕事があるから人を雇うと言う概念は俺にはない。人がいるから仕事が増えると思っている。ただし今までも社内行事的に社員教育の一環で「仕事説明会」を催しているし、実際に仕事量が増えてきてそろそろ新しい仲間が欲しいと思ったりすることは事実あるが「仕事が来てしょうがないから人を雇うしかない」という後手後手っぽい状況では全くない。しかしながらまだまだ経営難の弊社としては、「仕事が来てしょうがないから人を雇うしかない」という状況はむしろちょっと羨ましいと言うのが本音(泣)ですし経営として考えると”人より仕事が先”が賢いのかもですね。

ここで一つ面白いことがある。そう、MGNETは日頃から「あの会社は何してるかわからない」「どうやって稼いでるんだ?」と言われ続けている。しかしながら(経営難は変わらないけど)お陰様で緩やかにではあるものの業績を伸ばすことができているし毎回涙が出るほど嬉しいのは少しずつ地域に企業や行政から理解者が現れお仕事をいただけている。本当にこの仕事を通した感謝の連鎖は尽きることを知りません。

そしてもう一つ、感謝してもしたりないことに年々「求職者」の数が増えていること。だから求人する必要もないんだけど、面白いのはその求職者たちも入社後口を揃えて言うのは「何をしている会社か不明でした笑」と言うセリフ。もう褒め言葉だと感じていますよワタクシは。

そしてこの

何してるか不明 → けど働きたい → 仲間になる → 仕事の幅が広がる → 益々謎(どのくらい謎かは社員の福田が語ってます) → けど働きたい→仲間が増える → 仕事の幅が尽きない

という雇用の超好循環は確実に地域にとっても、新たな特殊性発掘に大きく貢献するものだと信じていますよ。MGNETが何をしているかよりもMGNETだから一緒に仕事したいって思ってもらえるってことは、ものづくりという言葉の広がりも深みも増し、仕事としても幅も高さも出るから今後大きく経済に貢献できるはず。これは今巷で飛び交う「働き方改革」的な働き方がどうこうじゃなく、そもそも自分がどうして働くのか?という働くことの捉え方が見事にマッチしたのではと思う。

そこで今日はここまで眠い目をこすりながら読んでくださった方に少しでも何かの役に立てばいいなと思ってMGNETの働き方を少し紹介します。くれぐれも経営者の方は上記で書いた「MGNETだから」とか「業種が違う」とか言わないでください。必ずあなたの会社にしかできないワーキングスタイルがあると思うので。(ちなみにMGNETはこの手の社内価値想像の仕事コミニュケーションデザインもするので困ったら相談してください)

社員たちに相談する社長

えー何を隠そう、何でも社員たちに相談してしまう感じの性分なので、あんまり勝手にガンガン突っ走ることができない上に、結構頼っちゃったりするので「こうします!」といきなり伝えることはまずなく、徐々にジワジワと知っていくスタイルな会社です。けど良いこともあります!社員たちのやりたいことは普通に検討されるし、社員たちの意見が通るし、社長の意見も社員から難色を示されれば俺は「あ、ズレてるのか?」と再検討しすぐ軌道修正しますからMGNETとしてはブレることがないんです。外からは余計わかりにくくなるんでしょうけど。。。

俺のやりたいことはこうだけど、お前らのやりたいことも超大事だからこっちから一緒に進んでいこう。それって最終的にMGNETのやりたいことになってるよ」という思想で社長が進んでるから楽…じゃなくマジ大変なんですよ(笑)これを理解し一緒に進む社員たち、ほんとありがとね。大好き。

分かりやすい例が、中川青年(26)の取り組む「TREE」です。彼はもともとギタリストイケメンとして学生時代からキラキラと活動していて、学校でたまたま来た俺と出会い、色んな経験を通してプロダクト部門のマネージャーまでになった。そして自分自身が愛してやまない音楽と仲間を通して「GAKUENSAI」や「FICTION」というイベントを立ち上げ運営していた。お世辞にもイベントとしてずっとうまく行ってたわけじゃないだろうけど、活動としては確実に成果を出し彼は仲間たちと成長していった。そして「TREE」の話が中川にやってくる。俺にではなくMGNET中川に相談があった。それは彼の魅力とMGNETの「なんかやってくれそう」感がうまくマッチしたいい例だなって思う。その場所で選んだ仕事は飲食店。大切なのは彼の”ものさし”で計ったらやりたいこと(ある種その場でやれること)はそれだった。ただそれだけのこと。

この場を借りてはっきりしたいのは「TREE」は中川と仲間(今井、日下部、高井やバイトの子たち)、そしてMGNETと業務提携をし彼らを束ねる「魚兵」の類稀なる協力体制で成り立っていて、俺はほんと何もしてないのです。強いて言うならたまにハンバーガーを食べることで売り上げに貢献している程度。日に日に美味しくなっててマジビビります。騙されたと思って食べてみてください→

数えられないほど多くの方々から賜るご助力ご助言をモチベーションに続ける彼らの活躍は徐々に結果に繋がり、三条市に突如現れた謎のハンバーガー屋はいつのまにか「若者の挑戦を支える場所」になった。入居時から変わらず一ノ木戸商店街の皆さんに商売の”いろは”を教わり、今日も様々な形で支えられ彼らは無事営業をできている。本当にありがとうございます。

これはMGNETのやるべきことなのか?と散々言われます。もっと言うとやってることは本当に一部なので、一般的にMGNETの仕事と言えるか危ういですが、俺は自信持って言えます。「MGNETがやるべき仕事だ」と。理由は言うまでもないですよね、中川がやりたいからです。俺は中川のやりたいことを実現してあげられる環境を作れる会社にしたいからです。彼は俺たちMGNETの中でミスターMGNET。つまり彼の働き方自体がMGNETの象徴なのでこれからも突飛なことを言って社内を若干かき回し、凝り固まった頭の中もかき回して欲しいなって思います。

つなぐ仕事は多いけれど

40年間、父は金型屋をやっています。亡くなった祖父は縄屋をやっていました。祖父の縄を作る仕事も、父の金型を作る仕事も、基本的に仕事って何かを「つなぐ」ことにかなり意味を持っているんだなと気づいた。

祖父が神社と人を繋いだように、父がメーカーとユーザーを繋いだように、俺は地域の経済基盤と若者の夢を繋げたいと思う。若者の話を真剣に聞く人がいる。若者がやりたいことを繋げる方法がある。若者が挑戦する場所がある。これは紛れもなく未来の地域の可能性を広げることになる。

そして今、「より良い環境を作る」MGNETから「やってみたいを形にする」中川が生まれ、彼は新しいチャレンジを模索し、今日も俺と同じようになんだか色々やってます(笑)

モノにとって、町にとって、そして若者にとって「より良い環境」が目の前にあればきっと「なんかいいな」って思いますよね。MGNETはだから一緒に働きたい多くの人に恵まれ、これからも仕事の内容は増えていくんだろうと思います。

**何をやっているか?

より誰とやっているか?**

もしかするとですよ。もしかすると今の求人にとって大切なのは、今の求職者たちにとって最も重要すべきは「何をしている会社なのか?」よりも「あなたたちと働くことは魅力的か?」なのかもしれませんね。

ちょうど先日、高校で授業を一つしてきました。彼らは大きな声で笑いながら地域の話、MGNETの話を聞いてくれました。きっと終始何の会社かはわからなかったでしょう。けど講演終わりに校長先生から「あんなに楽しそうなあの子達をみて、私ももっと挑戦していかないとって思いました」と声をかけていただいた。何をしているかより大切な何かが伝わった瞬間でした。

何をするかより誰とするか”というような言葉があります。よく聞きますし、結構俺も大事にしていること(と言うか気づいたらそうなっていること)が、これからはさらに輪をかけてそう言う時代になるのかなと思うと……どうですか?ハラハラしますか?イライラしますか?…俺はワクワクします。

地元燕三条は、素晴らしい企業ばかりにも関わらず、求人についてのお悩みをお聞きするたびに感じるのは「彼らが聞きたいのはそこじゃないかもですね」ってことです。冒頭に話した”ものさし”の違いなんだろうと思います。俺が飲みに連れてってもらったり(って飲めないから機会は少ないんですが)長くお話を聞かせてもらったりすると逆に「なぜ人が集まらない?」と疑問すら感じるほど魅力的なんですが、それはその方々から聞く”飾らない本音に支えられた業務内容”と”その業務により多くの喜びや幸せが広がる光景”が、きっと求人の際、求職者たちには想像できないからなのかもですね。

ものづくりをするためには、スケールはとても大切な値です。だからこそつくるものをどんな”ものさし”で計るのか、形状や場所、値の用途で結構変わってきます。働くことも同じかもしれません。

そこで次回。

MGNETは2つの取り組みの事前報告をします。
1つはMGNET自らがまた無謀にも新たに挑戦する「タレント型ワーク」の実施について、もう1つは地域と企業に新しい”ものさし”となるような働くことメディア「WorkWork(わくわーく)」の立ち上げについてです。

こうして自らも取り組み、地域にも働き方改革ではなく、働くことの捉え方を地域や企業がもう一度考え、最適化する機会をつくり、担い手とのマッチングが起きたら良いなーと思ってます。

はい、これからもこんな感じで、物や町、そして若者にとっての「より良い環境づくり」を推進してまいります。(写真は新年会前のマリオカート大会でスタートダッシュ!→参考動画はこちら)2019年も宜しくお願いします!

明日も、モノにエンターテイメントを。

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