大崎清夏 / Sayaka Osaki

言葉・生活・自由。詩集『指差すことができない』で第19回中原中也賞受賞。そのほか詩集に『踊る自由』(左右社)、『新しい住みか』(青土社)、絵本に『うみのいいものたからもの』(絵:山口マオ/福音館書店)など。コラボレーションの仕事に舞台公演「浜離宮アンビエント」ほか多数。

大崎清夏 / Sayaka Osaki

言葉・生活・自由。詩集『指差すことができない』で第19回中原中也賞受賞。そのほか詩集に『踊る自由』(左右社)、『新しい住みか』(青土社)、絵本に『うみのいいものたからもの』(絵:山口マオ/福音館書店)など。コラボレーションの仕事に舞台公演「浜離宮アンビエント」ほか多数。

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    • いいことばかりは続かないとしても

      自選エッセイ集の公開編纂のような気持ちで編んでいるマガジンです。雑誌に寄稿・発表して1年以上経ったエッセイや、思い出深いブログ記事などを掲載しています。

    • 詩の作業場

      自作や翻訳をまとめています。転載はご遠慮ください(ご希望の場合はご連絡ください。)

    • 日々穴熊3

      日記を再開しました。

    • 《 往復書簡:不安な言葉 》金川晋吾×大崎清夏

      • 10本

      写真家・金川晋吾と詩人・大崎清夏が、書くことの困難や面白さや、自分の制作中の思考/思考中の制作についてや、その方法や、うまく方法化できないことなどについて、つらつらと交感する不定期の往復書簡です。 何も言わないために、何かを言えたらいいのに。

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    いいことばかりは続かないとしても 【目次】

     ちゃんと知りながら、へんなことをやる  いいことばかりは続かないとしても  動物と知り合うヒト  大志の歌の祭りに寄せて 【NEW】  それはあなたの自由  何かをほんとうに聞くときには……  すごくよくてすごくダウナー  大粒の白い雨がばさばさ降っていた  ことばとともに気分よく生きていくために

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      • 大志の歌の祭りに寄せて

        拝啓 安野みつまさ先生    はじめてお便りいたします。  記念すべき第一回大寮歌祭「大志の歌の祭り」を無事に開催されましたこと、誠におめでとうございます。  先生の企画立案となる、この唯一無二の歌祭りの存在を、旧知の編集者A氏から教わり、居ても立ってもいられずに、こうして筆をとりました。  いささか唐突で恐縮ですが、まず、参加者の選出について、人間以外のすべての動物の学校を対象として募集しようという先生の御趣旨に、わたくしはお腹の底から共感したことを、ここにお伝えしたかった

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        • 詩「川沿いの道を歩く方法」

          傾いてゆく西日に向かって わたしが歩いていったとき まだ人びとの寝静まる対岸を あなたは夜明けに向かって歩いていった 毎年きまって行く場所があった 毎年きまって行く場所があったが あなたはそこへ行くのはやめて ひとりで歩くことにした 「今年は集いは、集わないことになりました。」 あなたの対岸を わたしもひとりで歩いた 何年も暮らしたはずの場所にも まだ歩いたことのない道がある 四半世紀まえに足繁く通った 外国の雑貨やはがきを売る店は 育児支援の施設になっていた 砂利の駐車場

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          • 動物と知り合うヒト

             私のクローゼットに、何年も前にヒトからもらった毛皮のジャケットが一着ある。うさぎの毛皮で、ところどころ破れたりほつれたりしているが着ればぬくぬくと暖かく、ダウンジャケットを持っていなかった頃に何度か袖を通して出かけた。あるときからぱったり着なくなった。生きたうさぎを身につけているような気がして、街を歩けば人にそれを見られている気がして(そして、とても人間的な思考で嫌になっちゃうけれど、ポリティカルにコレクトではない気がして)、気分よく着られなくなったのだ。その後、断捨離なる

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            大崎清夏 / Sayaka Osaki 他

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            いいことばかりは続かないとしても

             「大人も子どもも楽しめる」映画なんかじゃない。それは、れっきとした大人のための動物映画だった。  『ファンタスティック Mr. FOX』のなかで真っ先に私が心奪われたのは、主人公の狐夫婦のすばらしくセクシーな声だった。イヌ科の動物の鼻先みたいにほんのり湿りけを帯びて凛と響く、父さん狐のやわらかいテノール(まあね、そりゃ、ジョージ・クルーニーだもの……)。気品と落ち着きがあって、ゆったり構えた母さん狐のアルト(だって、そんなの、メリル・ストリープだもの……)。成熟した魅力をも

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            詩の翻訳 「ネッシーは自分でそうしているところを見たい」

            パトリシア・ロックウッド 訳・大崎清夏 Patricia Lockwood 1982年米インディアナ州生まれ、オハイオ州育ち。カトリック・スクールを卒業後、大学には行かず執筆に専念する。独特で鋭いユーモアのセンス、現代を風刺する言葉遊びで高く評価され、「ニューヨーカー」などの由緒ある文芸誌で作品を発表。2013年、自身の経験に基づいて書かれた長篇散文詩「Rape Joke」がオンラインマガジンThe Awlに掲載されると瞬く間にSNS上で注目を集め、FacebookやTwi

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            詩の翻訳 「誰かそこにいるの」ほか5篇

            ケティ・ブランコ 詩集「誰かそこにいるの」より 大崎清夏・南映子訳 Ketty Margarita Blanco Zaldivar 詩人・作家。1984年生まれ、キューバ出身。2005年、キューバ国立作家養成コースを卒業し、12年、ハバナの高等宗教科学研究機関で宗教学の学位を取得。詩作品でキューバ国内のレッドキャメル賞(06)やレヒーノ・ペドロソ賞(09)など多数、短編小説でヘミングウェイ賞(10)を受賞。スペイン主催の国際コンペ「The Best Poem in the

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            詩の翻訳 「僕のカクのためのカサラ」

            フィストン・ムワンザ・ムジラ 訳・解説 大崎清夏 Fiston Mwanza Mujila 1981年コンゴ民主共和国(旧ザイール)生まれ、オーストリア在住。2013年の詩集『Le Fleuve dans le ventre(腹に流れる河)』とその独特の朗読スタイルで注目を集め、2014年には初の小説『Tram 83』でブッカー国際賞のロングリストに選出された。彼のライフワークである「カサラ」シリーズのなかから、2019年に発表された詩「僕のカクのためのカサラ」を訳出した

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            詩 「香港料理店」

            香港の自由を求める大きな抗議の日に 詩人たちはロッテルダムの片隅の香港料理店に集まっていた 香港では法が脅かされていた 詩人たちは叉焼や蝦子麺の皿を囲んだ 香港では言論が脅かされていた 日本の詩人はオランダ人の通訳を通して中国の詩人と語りあった 香港では誰かが催涙弾を投げ コンゴの詩人はアメリカの詩人にリンガラ語の乾杯を教えた 誰かが噴きあがる煙を雨傘で防いだ 詩人たちは英語や日本語やリンガラ語で乾杯した 香港では書店員が亡命の計画を練っていた ロシアの詩人は緊張していた ペ

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            5.16 (主観性の海)

            同じイタリア人をファシズムと反ファシズムの二つの意識に引き裂き、対立する思想ゆえに、民衆が隣人を敵視し、あるいは極端な場合には肉親までも敵視し、血で血を洗い、殺戮と報復を繰り返して、その果てに解放を達成したとき、人びとは語るべき事柄を視野いっぱいに持っていた。したがって、一九四五年四月以降、イタリアでは、パルチザン体験の物語と実話がまさに怒濤のように巷間にあふれたのである。この間の事情をカルヴィーノは(略)つぎのように記している。「何人もの玄人の作家の声が夥しい数の素人の著書

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            詩 「必要な店」

            必要な店が立ち退いたあと 私たちはしばらく呆気にとられていた 自分の無力にほとほと落ちこみ それから感謝と追悼を述べ まだお金で買えるものと お金で手に入らなくなったものを数えた 必要な店が立ち退いたあと 空き店舗の前を私たちは早足で行き過ぎた 栄養が足りなくて 私たちはいらいらした 私たちは政治の無能を罵った 私たちはミモザの咲いたのを見逃した 私たちはキセキレイの飛来に無頓着になった 必要だった店を不要としていた者を見つけて責め 何か殴るのによさそうな不要なものを手近に

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            《往復書簡》 大崎清夏より⑤

            金川晋吾さま  こんにちは!  もう4月です。金川さんに往復書簡をいただいたのは1月で、1月に比べて世界がすっかり様変わりしてしまったことに、唖然としています。  前回「壁ぎわの記憶」の取材でご一緒したのは3月初旬で、金川さんはすでにインドでのお仕事が危ぶまれていて(その後、延期になっていましたね)、私も札幌で3月に開催されるはずだった合唱曲の発表会が5月に延期になった後、無期限延期になってしまいました。  経済最優先の世界では、わかりやすい第三次世界大戦は起こらないん

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            《往復書簡》大崎清夏より④

            金川晋吾さま  こんにちは。台風19号が去って、突然の深い秋ですね。私は季節のなかで秋がいちばん好きです。空気が冷えてきて、汗をかかなくなった自分の肌の状態が好きで、この肌の上にどんな服を着たいかとか、どんな化粧品を使いたいかとか、そんなことばかり考えてしまいます。(それで散財しがちです。)  性やセックスについての個人的な話を話したいという気持ちを、私も自分のどこかに実はかなり強く持っている気がします。金川さんと話していると、その気持ちが引き出されてきます。金川さんの

            《往復書簡》 金川晋吾より②

            大崎清夏さま  こんにちは。  大崎さんが書いていた「泥棒的なものが入ってくる可能性は想像力を活用すれば十分ある」っていうところ、すごくいいなと思いました。自分はこういう文章が、もしくはこういうことを言う人が出てくるような文章が書きたいのだと思います  なぜ写真なのかということですが、僕はいろいろある表現のなかで写真にもっとも魅力を感じてやろうと思ったわけではなかったと思います。いくつか試したなかで、これなら自分にもできるかもしれないと最初に思えたのが写真でした。  自

            《往復書簡》 大崎清夏より②

            金川晋吾さま  先日は真鶴での取材、お疲れさまでした!  私のいま住んでいる部屋には1階と2階があります。寝室は2階ですが、泥棒的なものが入ってくる可能性は想像力を活用すれば十分あるし、つい先日も昼間の仕事中に大きなむかでが2階の書斎に侵入してきて、難儀しました。  物撮りのお仕事のこと。  ある「物」を「正しく」「写す」というとき、何が「正しさ」なのか、がまず難しそうです。自分の内側でも刻々と正しさというものは変化していそうだし、陶器なんて、どこから見るかによって

            《往復書簡》 金川晋吾より①

            大崎清夏さま  こんにちは。  お手紙ありがとうございます! 僕は窓を開けて眠ることについて何かをそんなに思ったことがなかったので、窓を開けて眠ることに焦がれている人がいるというのがなんだかおもしろかったです。大崎さんが住んでる部屋は1階ですか?僕は2階に住んでいて窓から人や動物が入りこんでくることはなさそうなので、窓を開けたままで寝てしまうこともあります。泥棒が窓から入って来ることは考えたことがありましたが、動物が入って来ることは考えたことがありませんでした。大崎さんのな