『思うように書けない日』
昨日の夜は、たくさんたくさん頭の中に、書きたい事が湧いてきたのに、一晩経ってすっかり忘れてしまった。メモを取れば良かったのかな?
けれど頭の中で描いて忘れて、また書くのだから、数をこなした僕は上達すると思うことにした。上達したい。この世に産まれて半世紀近く経ったけど。残したいとは思わない。自分一人の楽しみでも良いのだから。
言葉には気持ちが籠るから、僕は今日も気分に左右されて読んだり書いたりする。今日は乗り気になれなくて、朝ちょっと目覚めた後にもう一度目を閉じてみた。曇り空の涼しい一日だったから、浅く浅く、色々な夢を見ながら僕は寝た。
やがて僕は悪夢の虜になった。僕が生きているこの世は現実か?悪夢のような出来事は現実か?僕が積み重ねて来た行いの数々は、夢なのか現実なのか?にわかには信じがたい事ばかりだから、僕はギュッと瞼を閉じて、ますます夢の世界へと逃げ込もうとした。それが悪夢となった。そんな事が繰り返された。
思うように書けない日、僕の全ての書きものが恥ずかしくなる。
思うように書けない日、僕の書きたかったすべての事象は、語るほどの物ではないと感じられる。
思うように書けないという事は、航路を見失い漂流する事と同じかもしれない。
一日の中に希望が見出だせないとき、僕は瞼を閉じて現実逃避に耽る。
今月も稼ぎが少なかったのに、光熱費はいつもの月と変わらないし、調査業協会の会費の引き落としの案内が来た。
実は僕は原因を知っていた。ギューっと目をつぶり、夢の中へ逃げ込む。
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