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映画「バカ塗りの娘」津軽塗職人の父と娘の対話 祖父の遺したもの

■津軽塗の継承が一つの問題として描かれているが、父親と娘の対話が重要なテーマとなっている。津軽塗を生業にしている父親に対して、娘の美也子はスーパーでバイトしながら津軽塗の手伝いをしている。父は息子に継いでほしかったが、美容師になりイギリスに旅立ってしまう。確かに父からしたら息子は大事なのだが、美也子は父と同じぐらい情熱を持っていた。バイトで失敗続きなぐらい不器用なのだが、津軽塗への情熱は凄まじい。父も不器用で、津軽塗へある意味で諦めの気持ちがあって、美也子にも諦めるように言う。それでも、美也子は津軽塗を諦めない。それを見た父親が娘を認めていく過程は素晴らしかった。単に仕事をしている姿を見せているわけではない。美也子は兄と過ごした学校で、思い出のピアノに津軽塗をして生まれ変わらせるのだが、父の力を借りずに提案、交渉、作業場所確保をしていて、自分の仕事をしっかりと実践している。父に言われた仕事ではなく、自分で取った仕事で、父と母に何を言われても自分を貫く意志。それが父の考えを変えた。また、美也子の祖父は有名な津軽塗職人なのだが、死の少し前に、美也子に津軽塗に対する想いと考え方を教えたのが印象的だった。やるなら、ただひたすらに津軽塗を続けること、その言葉で美也子が変わっていき、父と娘にすごく大きな影響を与えたのが記憶に残った。


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