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映画感想「夜明けのすべて」理想の職場

理想の職場

●藤沢は栗田科学を退職するとき、「働けて幸せでした」という。この幸せというのは中々に言える言葉ではない。

●ブラック企業が問題になる世の中で、働けて幸せと言える職場はいくつあるのか。そう多くはない。

●ひとえに、藤沢に対する従業員の理解と雇う社長の心意気だ。人を想い、理解し、何があっても寄り添う。中々できない。

まわりの理解があれば、自分を否定から肯定に変える物語

■あらすじは、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢は同じ会社の山添の炭酸水を開ける行動がきっかけで怒りを爆発させる。しかし、山添もまたパニック障害を抱えていて、やる気がなさそうに見えるが、実は前職に戻りたいという想いと現実とのギャップから気力失っていた。

●2人が働く栗田科学は子供向けに顕微鏡など
を販売している。その職場の人たちは2人に理解があり、2人の関係は変わっていく。友達でも恋人でも不思議な関係は。相手を助けるようになる。

●藤沢と山添がお互いを助け合い、少しずつ理解していく過程が見どころであり、藤沢は新しい職場に転職し、山添は前職に戻らず、栗田科学で働き続ける。二人は離れることになるが、間には暖かい空気が流れ、まわりも見守っていく。

●PMSとパニック障害に理解ある職場の同僚や山添の元上司など、人には理解ある人が如何に必要であるかが考えさせられた。
現代社会では、生きづらさは本やニュースでも取り上げられているのを読んだり見たりしたことはあるが、一度レールを外れると再起するのは難しいということを感じた。栗田科学の人たちがいたからこそ、二人は和やかな時を過ごせたと思う。

●非常に静かな映画であり、藤沢と山添の二人の心情を描いていると思う。

●暗い映画かと思いきや、静かな雰囲気と藤沢の怒り、山添の諦め、そこからの変化がとても興味深い。

●PMSと藤沢の態度、それらを支える栗田科学の面々の理解には当たり前のことだが、だからこそ難しいと感じました。劇中ではPMSとパニック障害を治したという描写はないですが、二人は前向きになり、移動式プラネタリウムで成功をおさめます。

●自分を否定するのではなく、自分を理解してくれる人たちと一諸に働くことで自分を肯定できるのではないかと思いました。二人は別々の道を進みますが、その先の話も見てみたくなりました。

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