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映画「ガリレオ 沈黙のパレード」感想 劇場版のシリアスさ×湯川×草薙

かなりシリアスな物語だった。最初は街の人たちがダレかを庇うストーリーだと思ったが、全然違った。一人の歌手志望の女性、並木佐織が亡くなった。彼女は街の人たちから愛されていた。複雑に絡み合った伏線が見事に解き放たれていく。とにかく、佐織が可哀想であり、二重の意味で辛い。街の人たちが共謀して行ったターゲットが悪いのだが、ストーリーはかなり厳しい。それにしても、劇場版のガリレオはシリアスなのが良い。ドラマはコミカルパートが多く、何か違和感を感じてしまう。中盤からは劇場版とドラマは同じぐらいシリアスだが、序盤にあるコミカルさが気にかかる。まあ、原作ファンだから良いのだけど。ガリレオは容疑者xの献身から別のドラマになったように感じるが、それに通じるものが本作にはある。劇場版らしい重厚な物語であり、観ていて飽きない。福山さん、柴咲さん、北村さんの演技も素晴らしく、映画の雰囲気をより一層厚くしている。やはり、この3人は良い。ああ、帰ってきたなあと感じるし、懐かしさもあり、ガリレオを観ている実感があるのだ。

特に今回は北村一輝さんが最高である。まさに主役だ。前作から四年後らしいのだが、その歳月が彫りの深さに感じられ、ここまで変わるのかと感じるほどだ。原作だと、湯川の相棒ポジションなのだが、中々に主役級の活躍はなかったと思う。それが今回の活躍で一気に挽回された。ともかく、湯川と草薙は親友であり、二人には友情がある。それが強調されていた。草薙が辛い時に、ふっと現れる湯川が良く、二人の関係性がよくわかる。過去を乗り切るには、自分自身が行動するしかない的なセリフが良かった。容疑者Xの献身でもあったが、友人を想う時の湯川が好きだ。優しさと厳しさが垣間見えて、性格が読み取れる。ガリレオこと湯川はロボットみたいな感じだったが、容疑者Xの献身以降人間味が出てきて、非常に魅力的なキャラクターになった。本作は、ガリレオファンなら必見だ。劇場版とのことで、シリアスで、俳優の演技も素晴らしい。二転三転する展開でハラハラする。ガリレオでも類のみない登場人物の多さで、特に序盤のパレードにすべてが凝縮されていた。あの場面で街の人たちの性格や裏の計画など色々なことがわかるようになっている。エンドクレジットまで観て、改めて観ると色々なことを再発見できるだろう。また、柴咲コウの歌声は最高であり、ラストの余韻を感じさせてくれる。福山・柴咲コンビはまた観たい。

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