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覚悟

少し前に、お薬を処方されたときに起きたもやもや案件。

結婚したら子どもを産むのが当たり前みたいな感覚は、この令和の時代になっても一定数存在している。

「子どもはいないの?」

「早く作った方がいいよ」

って、わたしも何度か聞いたことのあるセリフ。その言葉を放った人たちは、たぶんなんの悪気もないから、その人たちに怒りや悲しみをぶつけても仕方がなくて、行き場のない気持ちをどうすることもできないときもあったなぁ。

そう、悪気はないの。
結婚したら子どもを産む。セックスしたら生理がこなくなって気づいたら妊娠してて子どもができた、って世の中ではまだマジョリティな感覚。妊娠や出産・育児につらさや苦労はあっただろうけど、妊娠に至るまでの過程にそんなものは存在しなかった場合、そのつらさや苦労はわからないのよ。仕方ない。

不妊治療をしている身として、そういう人に少しでも不妊治療の理解が広まればいいななんて思ったこともあったけど、わたしにもわからない/理解できない病などは世の中にたくさん溢れているわけで。わたしの何気ない一言に傷ついている人もいるのかもしれない。そう思ったら、不妊治療のことを不妊治療をしたこともない/する予定のない人にわかってもらおうなんて、エゴでしかないのかなぁって思っちゃったんだよね。

だから、わかってもらおうなんて思ってない。

わたしが流産のことや不妊治療のことを、特に匿名なわけでもないSNSでカミングアウトしているのも、だれかにわかってほしいからとか、憐れんでほしいからとか、そんなふわっふわした理由じゃない。
ただ、事実として、わたしが置かれている現状を淡々と伝えているだけ。それだけ。

冒頭に戻るけど、自分から聞いておいて不妊治療の話題になって気まずそうになってしまった薬剤師さんも、結婚したら子どもを授かるのが当たり前だと思っている人も、自分の発言や発信にはもっと覚悟を持った方がいいよ。

自分の言葉や行動に責任を持て、みたいなセリフはよく聞くけど、責任よりは覚悟の方が近いかなと。ニュアンスの問題かもだけど。
別になんかそんなに義務みたいに背負わなくてもいいけどさ、あなたのその発言が、だれかを傷つけるかもしれないこと、自分にとっての当たり前がそうではないこと、その辺の心構えはしっかりしておいて損はしないはず。

自分が当たり前だと思っていることに対して変化球が飛んできたら、基本的には困るの自分じゃん。たとえば、なんで子ども産まないの、とか聞いてさ、いや実は流産してて…不妊治療中で…なんて話されたとき、言葉に詰まらない自信ある?その自信があるのであれば覚悟は十分。どんどん聞いてこ、話してこ。でもその自信がないんだったら、もう少し言葉は慎重に選べたら良いよね。

なんて、だれかという名の自分に向けたメッセージ。(自分自身に重ねた結果、不妊治療の話みたいになっちゃったけど、それに関わらず世の中のあらゆるコトに言える話だと思う)
でも考えすぎると発言自体が怖くなって何もできなくなっちゃうから、そうならないように、うまいこといろんな人といろんなお話していきたいなぁ。結局のところコミュニケーションスキルなのかな、これも。


(ただ、冒頭の薬剤師さんについては、仕事上その薬が不妊治療に使われることぐらいわかってるはずなんだから、わたしからその答えが返ってきて狼狽えるのはどうなのって話。笑)

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