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「クリエイターに利益が還元される仕組みをつくりたい」の一言で人生が変わった女性の話

いまを生きる20代のためのWebマガジン風コンテンツ”orto”。第2弾では、現在スナップマート株式会社に勤める傍らInstagramのフォロワー数7万人を抱えるフォトグラファー兼インスタグラマーでもある川北啓加さん(以下、"もろんのん”さん)に、これまでの生い立ちや今後の展望についてお話を伺いました。

ただの内気な女の子だった

ーーよろしくお願いします。最初に聞きたいことがあるのですが、そもそも”もろんのん”の名前の由来はなんでしょうか?

もろんのん:実は私、名探偵コナンのファンで、よく工藤新一が蘭をバカにする時に「ばーろう」って言うじゃないですか。そのセリフにとても憧れていたんです。その後、たまたまネイティブの人が他人を馬鹿にする時に「moron」という言葉を使うことがあることを知って、それで私は「のりか」という本名から「のん」って呼ばれることが多かったので、「moron」と「のん」を合わせて「もろんのん」と名乗るようになりました。

※Instagram:もろんのん(@moron_non)

ーー自分を卑下し過ぎじゃないですか(笑)そんなもろんのんさんの生い立ちがとても気になるんですが、幼い頃はどのような性格でしたか?

もろんのん:性格は、かなり内向的だったと思います。静かでコミュ力もぜんぜん無くて……。(笑)
だから、昔から1人でなにかに取り組むことが好きでした。ゲームもよくやっていたんですが、ほとんどRPGばかりでしたね。

ーー今は明るくて話しやすい印象がとても強いので意外です。当時はどんなことをして時間を過ごすことが多かったですか?

もろんのん:習い事をたくさんしてましたね。ピアノは7年、茶道は5年、他にもそろばんや英会話、水泳、空手、それに加えて塾にも通ってました。

カメラが私の人生を変えた

ーーそんなにいろんなことをやっていたら友達と遊ぶ暇なんてほとんど無いじゃないですか。そしたら内向的で静かな性格になるのもなんとなく想像できますが、そこから何がきっかけで今のように明るい性格に?

もろんのん:先に言ってしまいますが、そのきっかけを変えてくれたのがカメラだったんです。高校は塾の先生に勧められた都内の進学校に入学することになったんですが、高校3年生の時に受験勉強を頑張りすぎて疲れちゃって、現実逃避がてらニコ動にハマった時期がありました。でも、このままじゃいけないなって思って、結局浪人したんですよね。その時期にInstagramを始めました。

ーーInstagramはどこで知りましたか?

もろんのん:もともとは友達が先にInstagramを始めていて、友達の投稿を見るために登録したんです。でもそのうち「自分もこういう写真を撮ってみたい」と思うようになって、ミラーレスを衝動買いしちゃいました。予備校に通っていた秋頃だったと思います。

ーーそこから無事に大学に合格できたわけですよね。大学では何を勉強していたんですか?

もろんのん:今ってITが盛り上がっているじゃないですか。だからプログラミングでも勉強しておけばなんとかなるだろうと思って、東京理科大学の理工学部情報科学科に進学しました。父の勧めで建築学科も受験していたんですが、物理が苦手で落ちちゃいました。

ーーフォトグラファーとインスタグラマーのイメージが強いので、プログラミングの勉強をしていたのは意外です。大学生の頃はどのように過ごしていましたか?

もろんのん:大学では軽音サークルに入ってキーボードを始めました。幼い頃からやっていたピアノは続けたいと思ってたんですよね。でも、ライブに出るために好きなバンドのコピーをするよりも、ライブの写真を撮る楽しさの方が高まってきてしまって、大学3年生からはサークル非公式のカメラマンとして軽音サークルに残りました(笑)
それで、日々撮影した写真をInstagramにアップしていったら、徐々にフォロワーが増えていきました。フォロワーが増えていくと、やっぱりもっと良い写真を撮りたいっていう気持ちが強くなっていって、そのためには被写体となる人物の魅力を引き出す必要があるし、その結果として徐々に性格も外向的になっていった気がします。

えとみほさんとの出会い

ーー大学3年生といえば就活を意識し始める頃だと思いますが、どのような企業への就職を考えていましたか?

もろんのん:ベンチャー企業はなんとなくブラックなイメージがあったから行かないつもりで、メガベンチャーくらいならアリかな、くらいに考えてました。だから、そこそこ規模があったり知名度があったりする会社を受けていて、ある上場企業から内定をいただきました。でも、最終的にはそこを断ってスタートアップであるスナップマートに就職することになったんですよね。

ーーその話を詳しく教えて欲しいです。

もろんのん:当時、就活をしつつ業務委託でスナップマートの仕事をしていたんです。というのも、InstagramのDMでえとみほさんから連絡を受けたのがそもそものきっかけで、簡単にいうと「オプトという会社で”スナップマート”というサービスを始めるんですが、初期ユーザーとして登録しませんか?まずは写真を100枚提供して欲しいです」という旨でした。
その連絡を受けた時に少し不安もありましたが、たまたまその1週間前にオプトの採用面接を受けていたから安心感がありましたし、逆にそれがなかったら承諾してなかったですね。
それで、大学3年生の2月3日に初めてえとみほさんに会ったんです。

ーー初めてえとみほさんに会った時の印象や思い出はありますか?

もろんのん:一番覚えているのは、えとみほさんの「クリエイターに利益が還元される仕組みをつくりたい」という言葉です。この一言で心を動かされました。
当時、私が撮影した写真があるメディアに無断掲載されていたんですが、その時って特に著作権を意識することも無かったし、「私の写真が使われてるなぁ」くらいにしか思ってなかったんですが、えとみほさんはそのような状況に警鐘を鳴らしてたんですよね。「その状態が続くとクリエイターが廃れる」という考えについて語ってくれました。私はそれに共感してスナップマートで仕事をすることになって、そのまま就職しました。

写真は必要な存在”ではない”

ーーもろんのんさんにとって「良い写真」の基準ってありますか?

もろんのん:日常の一コマを切り取るような、ストーリー性がある写真は良いと思います。逆にあまり好みではないのは、モデルがカメラに向かってポーズを決めているような構図の写真です。私は自然体の写真に魅力を感じてしまうんですよね。
でも、私がこんなことを言うのも変かもしれませんが、本当は別に写真が好きなわけじゃないんです。

ーーえっ、そうなんですか?

もろんのん:一番の目的は「好きな人と好きな場所で過ごすこと」で、その思い出を残すための手段が写真だと思っているんです。だから、できるだけその時の感情や空気感、雰囲気が写真で伝わるように、撮影する時は被写体の良いところを探しています。たとえば友人を撮る時は、「どうすれば今日のファッションがきれいに撮れるか?あとで写真を見た時にその時の会話を思い出せるか?」とか。

ーーそういった写真を撮る場合テクニックが必要になると思いますが、写真のテクニックは誰かから教わったんですか?

もろんのん:ほとんど独学ですが、応用的なことはInstagramで知り合った写真仲間の友達にとにかくたくさん聞きました。同じ趣味や価値観を持っている人と知り合うことができたので、Instagramで発信し続けて良かったと思います。

ーー他に、写真をやっていて良かったことについても教えてください。

もろんのん:浮かんだのは3つで、1つ目は「もろんのんさんの写真を見てカメラを始めました」って言われた時です。もともと自己満足で写真を撮っていたにも関わらず、自分の写真が誰かになにかしらの影響を与えているのだと知ってからは、「見てくれている人が居るんだな」と思うようになりました。
2つ目は、撮影で小松菜奈ちゃんとしらす丼を食べたことですね。(笑)
3つ目は、もともとあまり写真を撮られるのが好きじゃなかった両親が、今では撮られることに抵抗がなくなったことです。これについても、私の行動が誰かに影響を与えられているのだなと感じることができました。

今後の活動

ーーもろんのんさんは、今後どのような活動に力を入れていきたいと考えていますか?

もろんのん:個人と会社の活動に共通するビジョンとしては、少しでも世の中をポジティブにしたいと考えてます。いろんな人に自信を持って欲しいんですよね。その手段として写真を選んでくれたらさらに嬉しいです。
たとえば、写真でなにかの賞を受賞するのも自信に繋がりますよね。そんな喜びをいろんな人に経験して欲しいし、写真をきっかけに自信を持ってもらいたいと思っています。

ーーフォトグラファーとしての独立は考えてませんか?

もろんのん:よく「フリーランスにならないのか?」と聞かれることがあるんですが、やっぱり今はまだスナップマートのディレクターとして仕事をしたい気持ちの方が大きいです。組織で動いている分、幸せを生み出せる機会もたくさんあるんですよね。
自分より写真がうまい人もレタッチがうまい人も、話し方がうまい人も世の中にはたくさん居るじゃないですか。そんな中で私の知識や経験を他のユーザーの役に立たせることができる今の環境を大切にしたいので、これからもスナップマートを通じて誰かの役に立ち続けていきたいです。

※Snapmartクリエーターとのミートアップの写真

ーー最後に、この記事を読んでくれた人に伝えたいメッセージはありますか?

好きなことを続けるのは大切だと思います。でも、ただ「好きなこと」という漠然としたものではなくて、その「好きなこと」をもう少し具体的にイメージできるようになれば、もっと生き生きとした人生を送れるんじゃないかなって思ってます。
私の場合、その「好きなこと」がInstagramと写真だったということですが、これからは今まで以上にフォトグラファーとディレクター、そしてライターとしても自分の価値を発揮して、クリエイターと企業の橋渡しをしていきたいです。

さいごに・・・

※本日11月30日は、もろんのんさんの25歳の誕生日とのこと。おめでとうございます。

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