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謎の獣脚類ヴェクタエロヴェナトル
(メイン画像は標本IWCMS 2020.407と IWCMS 2019.84、 IWCMS 2020.400、https://tetzoo.com/blog/2020/8/15/introducing-unexpected-isle-of-wight-air-filled-hunter-a-ne…
バリオニクスが食った魚はレピドテスではない
(メイン画像:WikimediaCommons,File: Lepidotes elvensis.JPG credit: Ghedoghedo)
しばしば、恐竜書籍にはこのようなことが書かれています。
「バリオニクスは、体内からレピドテスが見つかったため主に魚を食べていたとわかった」
この記述、当時としては正しい情報だったのですが、今となっては間違いです。
レピドテスとバリオニクスは共存してい
次に流行る古生物:アンタルクトスクス
今回は今後一世を風靡するかもしれないアンタルクトスクスに関して書いていこうと思います。
アンタルクトスクスってなんぞや
アンタルクトスクスは、中期三畳紀の南極に生息していた両生類です。口蓋や外翼状骨まで生えた無数の歯が特徴で、水棲の小型無脊椎動物を捕食していたと考えられます。
このアンタルクトスクスに関して有名なのが、Tyler Keillor氏がChristian Sidor氏の監修を受け
シファクティヌスがニシンの仲間であるとする話について
(メイン画像:WikimediaCommons,File: Xiphactinus audax.png credit: Fishboy86164577)
インターネットを漁っていると、しばしばこんな記述が見られます。
「シファクティヌスはニシンの仲間」
シファクティヌスはイクチオデクテス目イクチオデクテス科に分類される魚で、イクチオデクテス目の置かれる位置は基盤真骨類だとか骨咽上目だとか言わ
混乱渦巻く:シノプリオサウルス属
古生物ファンの間ではスピノサウルス科の話になったときしばしば「シノプリオサウルス」の名が上がります。
「シノプリオサウルス」は首長竜であるにもかかわらず。今回の記事はそんな混乱渦巻くシノプリオサウルスの歴史です。
黎明:1944中国のジュラ紀自流井層から大腿骨と坐骨、椎骨、歯が産出しました。断片的ではあるものの、保存状態は良好で、ぺしゃんこにならず三次元的に保存されていました。楊鍾健はこの化石を
ビセクティ・ジャイアント:ビセクティ層のドロマエオサウルス科
ウズベキスタンにはビセクティ層と呼ばれる白亜紀後期の地層があります。
2022年、ビセクティ層から未知の大型ドロマエオサウルス類とみられる第二趾骨が報告されました。
通称ビセクティ・ジャイアント。発見されているのはこの趾骨のみです。
ビセクティの大型ドロマエオサウルス類の存在は以前から歯などから示唆されていましたが、それほど大々的に触れられてはいませんでした。
ビセクティ・ジャイアント、具体的
ダコタラプトルの消滅:ダコタの略奪者はキメラか?
ダコタラプトル(Dakotaraptor)は恐竜好きの間ではかなり有名な恐竜です。今年夏の恐竜科学博でも展示されたのでその印象も強いでしょう。
しかし、ダコタラプトルはキメラであるとする主張もあります。
叉骨騒動鳥を含む一部の恐竜には叉骨と呼ばれる構造があります。両側の肩をつなぐ骨です。ダコタラプトルからもこの叉骨が報告されていました。
しかし、ダコタラプトルの叉骨は全く別の生き物の骨とそっ
獣脚類と四足歩行:アロサウルスとシュアンハノサウルス
(メイン画像:File:Quadrupedal Xuanhanosaurus.png)
獣脚類は現在、通常前傾姿勢の二足歩行で描かれます。獣脚類の中に、四足歩行の種はいなかったのでしょうか?
人間が手を地面につく場合、前腕にひねりを加えて手のひらを下に向けています(回内)。
獣脚類の前腕が回内できる構造か見てみましょう。
これは恐竜博2023で展示されたメガラプトルのマウント。前腕にひねりが
ティラノサウルスの水泳:浅瀬での狩り仮説
(メイン画像はSino_Pteryxによる)
ティラノサウルスのような大型の獣脚類は、陸上での機動力が低いという弱点を持っていました。しかし、生物は環境を巧みに利用するものです。
ティラノサウルスは浅瀬を利用して狩りをしたという仮説があります。
2023年に発表されたこの研究では、生体力学モデルを使用しティラノサウルスと獲物となる生物(若いエドモントサウルスとストルティオミムス)の浅瀬での速度を
珍説:臭くてベタベタしたティラノサウルス
(メイン画像はAI生成)
ティラノサウルスと聞いて想像する恐竜は、どんな体表をしているでしょうか。
ほとんどは鱗、もしかしたら背中に薄い原羽毛が生えていたかも…そんな姿を想像する人が多いのではないでしょうか。
一方、昭和の本にはしばしばこんな記述がありました。
「ティラノサウルスは臭いの強い体脂を分泌していた可能性がある」
ーティラノサウルスは悪臭を放つ分泌物で共食いを防ぐ。
この本は、19
タルボサウルスの喉袋
(メイン画像:WikimediaCommons,File:Tarbosaurus Restoration.png credit:PaleoNeolitie)
ケネス・カーペンター先生(ゴジラサウルスの記載者としても有名)は1997年に書籍『“Tyrannosauridae”. Encyclopedia of Dinosaurs.』の中で、モンゴルのティラノサウルス=タルボサウルスに喉袋があったこ
闇に蠢く椎骨:ワルゲットスクスとサンチュウリュウ
百年近く前のある日、オーストラリアで63mmの遠位尾椎が産出しました。
古生物学者ヒューネはオルニトミムスに近い可能性を示唆しましたが、のちに尾椎一つでは分類することが困難として不確実な獣脚類に置かれ、やがて疑問名となりこの尾椎は表の世界から消えていきました。
オーストラリアから産出した一つの尾椎。これこそが今回の主役・ワルゲットスクスです。
尾椎一つであるが故に全長も体重も不明、分類も獣脚類で
“ジャイアントシノサウロプテリクス” -シノサウロプテリクスは幼体か
シノサウロプテリクスは一般的に小型の恐竜として知られています。調べれば多くの図鑑やサイトで「最大でも1.3m」の記述が見られることでしょう。
しかし、その認識を覆す存在がいます。
ジャイアントシノサウロプテリクスです。
全長3.8m。左下の表示を見ればわかるように、実際に「最大のシノサウロプテリクス」としてギネス記録となっています。
いつも目にするあのシノサウロプテリクスは幼体に過ぎなかった
謎の獣脚類ヴェクタエロヴェナトル
(メイン画像は標本IWCMS 2020.407と IWCMS 2019.84、 IWCMS 2020.400、https://tetzoo.com/blog/2020/8/15/introducing-unexpected-isle-of-wight-air-filled-hunter-a-new-english-theropod-dinosaurより)
皆さんはヴェクタエロヴェナトル(Vect
ラパトルは9メートルもない
左手親指の中手骨のみから知られる獣脚類・ラパトルはさまざまな媒体で「推定全長9メートル」と紹介されてきました。
しかし、オーストラリアの博物館・オーストラリアンエイジオブダイナソーミュージアムの公式ページではもっと小さな数値を掲載しています。
『Rapator was a theropod probably similar in shape too, but slightly smaller t
南極アロサウルス“オッシー”の正体と現在
かつて複数のメディアで取り上げられた獣脚類・南極アロサウルス(またはオッシー)とは何者だったのか?今回は南極アロサウルスについて書いて行きます。
化石を特定する最初に、かつて南極アロサウルスとされていた化石がどれなのかを調べます。
南極アロサウルスで検索をかけたところ、以下のサイトがヒットしました。下記サイトの画像キャプションによると、画像元は「大恐竜展1998」図録であるようです。
この画像