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ダコタラプトルの消滅:ダコタの略奪者はキメラか?

ダコタラプトル(Dakotaraptor)は恐竜好きの間ではかなり有名な恐竜です。今年夏の恐竜科学博でも展示されたのでその印象も強いでしょう。

しかし、ダコタラプトルはキメラであるとする主張もあります。

叉骨騒動

(獣脚類の叉骨、AとGがダコタラプトル、File:Furculae Wiki.jpg)

鳥を含む一部の恐竜には叉骨と呼ばれる構造があります。両側の肩をつなぐ骨です。ダコタラプトルからもこの叉骨が報告されていました。

某生命体の化石(File:Axestemys shell compared to Dakotaraptor furcula.png)

しかし、ダコタラプトルの叉骨は全く別の生き物の骨とそっくりだというのです。
その生き物とは…

スッポン

スッポンです
スッポンは白亜紀後期当時にはすでに出現していました。スッポンの内腹甲骨が叉骨にそっくりだというのです。
結局、スッポンの内腹甲骨の誤認ということで「叉骨」はダコタラプトルの標本から除外されました。

ダコタラプトルの消滅

2015年。アンドレア・カウはブログでダコタラプトルについて言及しました。それによれば、尾椎と末節骨(あるいは爪節骨)はドロマエオサウルス科の特徴を示しており、尺骨も大型原鳥類と同定できるものの、それ以外の部位はドロマエオサウルス科に含まれる可能性を否定できないが、肯定もできないと評価しています。(https://theropoda.blogspot.com/2015/12/oh-mio-dio-dakotaraptor-non-esiste.html?m=1

2023年になり、ブログにダコタラプトル関連の記事が二つ投稿されました。
9月23日の投稿では、ドロマエオサウルス科に割り当てられるとした前述の部位はさほどドロマエオサウルス的でもなかったとしており、尾椎はオルニトミモサウルス類、末節骨はテリジノサウルス類やオルニトミモサウルス類の可能性があるとしています。
脛骨はカエナグナトゥス科に割り当てることができ、同じ層から産出しているアンズーと考えるのが妥当。
このことから、“ダコタラプトル”は多様なボーンベッドによるキメラで、ダコタラプトルなんか存在しないと結論づけています。
http://theropoda.blogspot.com/2023/09/dakotaraptor-non-esiste.html?m=1

翌日の投稿では65mmの椎骨について言及しており、これはドロマエオサウルス科に属しているとしていますが、これもダコタラプトルの属としての妥当性を証明するものではないとしています。
http://theropoda.blogspot.com/2023/09/le-vere-dimensioni-di-dakotaraptor.html

恐竜科学博のダコタラプトル。前述のブログ内容を踏まえるとだいぶ罪深き代物…


果たして、ダコタラプトルは存在するのでしょうか…?

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