喪の作業

幼い頃から「遠くの故郷」に憧憬をもっていたのだけど、大人になって諸々の事情を見聞きするようになるとどんどん悲しくなる。
あんなに大好きで可愛がってもらった母方のばあちゃんでさえ、私が浪人したことを「おるにちんは怠け者じゃいせん(だから)」と父方のばあちゃんと共に、あまりにも悪気なく笑うもんだから。
その後は病気が再発して会話ができない状態が長く続いてから亡くなって、もっと憎くなる前に悲しみを軟着陸させることができた。
顔面の内側に大きな腫瘍ができてて、顔全部に包帯を巻いて圧迫しなければならず、最後は誰も顔を見ることもできずに荼毘にふされた。
通夜、夢をみて、ばあちゃんがエリザベス女王が着るような衣装をまとって微笑みかけている。私にデパートの紙袋を渡してきて、中を覗いたら化粧品が2、3個コロコロとしており、じゃあ、とものすごいスピードで行ってしまった。シュールな別れであった。

追記
Twitterでつらつら呟いたあと、今日がばあちゃんの誕生日だったことを思い出し驚愕した。スヌーピーと同じ日なので何となく脳の片隅にしまわれているデータだった。こういう時は「来てる」んだよ、と「遠くの故郷」のばあちゃんの思い出話を伯母とする時には言うもんだった。

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