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#42: こんなときだから♪〜シュトックハウゼンーこんなときだからこそ「ヘリコプター弦楽四重奏曲」

シュトックハウゼン:ヘリコプター弦楽四重奏曲(1993)

今週のテーマは「乗る派? 撮る派? いや聴く派でしょ!ー乗り物の音楽」

今週は「乗り物」をテーマにお送りしてきましたが,最後は実際の乗り物が登場する作品,しかも乗り物に乗りながら演奏する作品をご紹介します。

作曲者のカールハインツ・シュトックハウゼン(1928-2007)はドイツの前衛音楽を牽引した重要人物のひとりです。

(以下,作曲の経緯について家主の妄想が多少混じった文章でお楽しみください)

アルディッティのおっさんから弦楽四重奏のための新曲を依頼されたんやけど,どうも気がのらん。なんでかって,設定がおもろくない。ヴァイオリン2丁にヴィオラとチェロなんて普通すぎるやろ。わい,シュトックハウゼンやで。おもろいことやってなんぼのもんやろ(ドヤ顔)

でな! わい,夢見たんや! けったいな夢やったで! 弦楽四重奏のメンバーがそれぞれヘリコプターに乗りよんねん。んでな,わい,それを上から見よんねん。 おもろいやろ! やから,これや! と思うてな,作ったんねん。はっはっはー

(なぜ,大阪弁かというと,知人の「ドイツ語のアクの強さは大阪弁に匹敵する」とドイツ留学中に感じたエピソードに由来する)

これ,何がすごいかっていうと,劇場でコンサートなどの興行への自粛要請が敷かれる中で,唯一本来の形で演奏可能な曲なのではないか!? とザワつかせている作品なんです。

つまり,シュトックハウゼンが見たといわれている夢の内容のとおり,それぞれのヘリコプターに一人ずつ奏者が乗り込み、ヘリコプターの中で演奏。これらのヘリコプターはコンサートホール(など)の周りを旋回し、その中で各々の奏者が演奏し、その音と映像をコンサートホールに中継する(wikipediaより),というもの。

今流行の,テレワークスタイルで演奏されるんです!

現在の状況をシュトックハウゼンが見たらなんと言うか,「わいやったらこうしたんねん」みたいな作品ができるのか,大変興味深いです。

鑑賞を予定していたコンサートや舞台が次々と中止となり,準備を進めていた主催者や出演者,そしてその日を楽しみにしていた家主のような聴衆のみなさんのことを思うと,今の状況は本当につらいです。アフターコロナという言葉がささやかれはじめ,もうコロナ以前の生活には戻れない,という現実もちょっとずつ受け入れる覚悟のようなものが芽生てきました。アートの世界も例外ではないでしょう。家主にはまだグルグルと考え中ですが,新型コロナというウィルスに屈するのではなく,その現実を受け入れた上での新しい道を切り開かなければならないと思っています。ちゃんと動き出せるときがくるまで,力を蓄えながら挑んでいきたいと思います。

「わい,負けへんでー!!」

今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!


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