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#16:人新世とは

東京大学理事でグローバル・コモンズ・センター ダイレクターを務める石井菜穂子さんが、
令和3年6月22日に財務総合政策研究所で講演された際の資料

「Global Commons Stewardshipで日本と世界を駆動する」
https://www.mof.go.jp/pri/research/seminar/fy2021/lm20210408.pdf

から気になったワードをご紹介しつつ、
僕自身の考えも書かせていただければと思います。
今回は、「人新世」という言葉についてです。

上記資料の表紙をめくった1ページ目のタイトルが、
”地球環境危機”で始まります。

そして文章は以下のように続きます。

人類文明を支えた地球システムの安定とレジリエンスが、
永久に失われる臨界点が迫っている。
・完新世から人新世
・地球システムとプラネタリー・バウンダリー

人新世という言葉について、さっそく調べてみました。

人新世は、地質学からきている言葉で、
例えば、
恐竜が繁栄した時代は、
地質学の年代では、
三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の3つの時代と言われています。

そして、現在の新たな地質年代の名として、
「Anthropocene」(アントロポセン)
これは人類の時代という意味で、学術用語としては学界でまだ最終的に定義が確定されていないようですが、これまで現代を含む地質年代として使われてきた「完新世」を区切る新たな年代として認める方向で進んでいるそうです。

日本語では「人新世」と訳されて、
「じんしんせい」または「ひとしんせい」と読むそうです。

さらに詳しく調べたところ、
社会をもっとよくする世界のアイデアマガジン
IDEAS FOR GOODのWEBサイトによると、

人新世(アントロポセン)とは?
ノーベル化学賞受賞者のドイツ人化学者パウル・クルッツェンによって考案された「人類の時代」という意味の新しい時代区分。人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった時代であり、現在である完新世の次の地質時代を表している。
これまでの時代区分との違い
地球上の岩石層に残された生物の化石などをもとに時代を区分する地質時代では、時代の区分は大きなものから「代」と呼ばれ、それが「紀」に分かれ、さらに「世」に分かれる。
われわれ人類の活動は、地球の歴史の中でほんの1万1700年ほど前の「新生代・第四紀・完新世」に始まり、現代まで続いていると言われている。しかし、産業革命以後の約200年間に人類がもたらした森林破壊や気候変動の影響はあまりに大きく、「完新世」はもはや人類中心の「人新世」となっているということだ。
人新世は、地質学の国際組織「国際地質科学連合」に公式に認められた時代区分ではない。国際的な評価を得るためには、岩石層に刻まれた完新世と人新世との境界線をはっきりと定義する必要があるということで、今日もさまざまな学者が研究を続けている。


ノーベル化学賞受賞者のドイツ人化学者パウル・クルッツェン氏について↓

出典:ウィキペディアより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%83%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%B3

つまり、人新世は、
現代は人類が地球に大きなインパクトを与える時代になった。
ということを表しているんだと思います。

わたしたち一人ひとりの行動や想いが小さくとも、
その行動や想いが集積すると、
それはいずれ大きなエネルギーになる。

ということではないでしょうか。

この要因の一つとして、
やはり産業革命による文明の発展が大きく関係していると、
僕は考えています。

例えば、原始時代のように、人口が少なく、まだあまり文明が発展していない頃は、素朴な経済活動の規模だったため、
地球自体に与えるインパクトもさほどではなかったと思うのですが、
科学の発展に伴い、産業革命が興り、
産業革命後の200年ほどの間に、
わたしたちの文明は飛躍的に発展し、
物質的にもかなり恵まれた時代に入ったのだと思います。
しかも、その恩恵を受ける人の数は、
かつてないほどに増えています。

誰もが幸せで豊かに暮らしたいという想いがありますから、
生きていくために必要な物質が地球上の人々に供給されるようになること自体は望ましいことと思いますし、
これからも人類の幸福に寄与する科学がますます発展することを望みます。
そして人類が幸せで豊かに暮らすために、
日夜研究に励まれてきた科学者や研究者の皆様にも心から敬意と感謝の気持ちを表したいと思います。
一方で、
わたしたちがあまりにもこの物質的な豊かさに目を奪われることで、
・物質的な豊かさを必要以上に求めるようになった。
・足るを知る心を忘れてしまった。
・エネルギーや資源を巡って、分かち合いではなく、奪い合いが起きてしまった。などなど・・・

このような行動や想いが集積し、
現在かつてないほどの規模で世界中で起きていることによって、
地球自体に与えるインパクトも無視できない危機的な状況になってしまった。
ということではないでしょうか。

こう考えると、
この地球を汚して、破壊して、
ゴミをたくさん出してしまったのは、
僕たち地球人なんだから、
みんなで協力して、
これまでの行動や想い、
これからの行動や想いを見直して、
大掃除しようよ。
と。
美しい地球を取り戻そうよ。
と。

もうたくさんの自然災害や天変地異も起き始めているけれども、そのピンチもみんなで手を取り合って助け合えば、
きっと乗り越えられる。
そのような未来への希望を抱いてほしい。

そんな、現在に対する警鐘と未来への期待が、
この「人新世」という言葉には、
込められているのではないでしょうか。

皆さんは、これからの「人新世」をどう生きますか?

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note
https://note.com/beyondscience/n/n62595ce4e4ec

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