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朝ドラ『おかえりモネ』

私の「おすすめ名作ドラマ」は、NHKの連続テレビ小説、いわゆる朝ドラの一つである『おかえりモネ』です。

朝ドラには珍しく、現代が舞台で、気象予報士の女性・モネこと永浦百音を主人公に、東日本大震災で傷ついた人々が前を向いて歩き出すまでの物語です。

なんというか、本当に淡々とした、でも優しい物語だと、私は思っています。
事件・事故・災害の被害者の話というと、日本のドラマでは、どうしても言い方は悪いけれど、「お涙頂戴」な感じになってしまうと思うのです。が、このドラマは、静かに淡々と傷ついた人々の姿を描いて行きます。
主要な登場人物たちの多くは、東日本大震災でなんらかの心の傷を負っています。
仕事に出ている間に津波で妻を失って、そのまま立ち直れなくなった人や、そんな父を必死で支えている息子。
家族も自分も無事だったけれど、認知症の祖母を置いて逃げたことが傷になっている人。
助かったことに、負い目を感じている人。
主人公のモネもまた、震災のその瞬間に故郷の島にいなかったことをずっと負い目に感じていました。
物語は、そんな人々が周囲の人々と語り合ったり助け合ったりしながら、それぞれのペースで前を向いて歩き出す姿を追って行きます。

一方で、自然の成り立ちというか、大切さみたいなものとか、人と自然がどうやったら共存できるのか、といったことも描かれます。

そのキーとなっているのが、藤竜也が演じるモネの祖父と、夏木マリが演じるサヤカさんじゃないかと思います。
モネの祖父は長年、牡蠣の養殖をやっている人で、幼いモネに「海と山はつながっている」=「自然はつながっている」と教えてくれる人物です。
また、サヤカさんはそんな祖父の友人で、モネに山とその役割について教えてくれる人物です。

海で育ち、山で働いたモネは、気象予報士となって、物語後半では気象の変化をいかにして必要な人たちに、必要な時、必要な分だけ届けられるのかを考えるようになります。
この予報士となってからの物語のキーであり、モネの強い味方が、西島秀俊演じる朝岡さんです。

朝岡さんといえば、今でも印象に残っているのが、彼とモネの父が話すシーンです。
朝岡さんが「しょっちゅう災害に見舞われる土地から、その土地に住む人たちが、他の安全な街に移住するのは無理なのだろうか」といった意味のことを尋ねると、モネの父は「移住はしないだろう」といった意味のことを答えるのです。
「どんなに危険でも、そこに今まで住んで来たなら、ずっと住むだろう」みたいなことを言うのですね。
うまく書けないのですが、このシーンにすごく胸を打たれてしまって。
なんというか、この二人の会話こそが、この物語のテーマなんじゃないか、と見た当時、すごく思ったものでした。

このドラマ、放送とともにどんどん時間が進んで、最終回の最後は放送当時より少し未来になります。
そしてそこでは、モネと呼吸器系の医師で彼女の恋人である菅波が何年かぶりに再会し、抱き合う姿が描かれて終わります。

一応、NHKのオンデマンドでは見られる……っぽいです。

以上、おすすめのドラマでした。

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