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君から醒めない

それは眩しい季節だった

時間は少しだけゆるやかに感じて

僕たちの今は昨日よりも穏やかで

すぐには明日に行きたくなかった

窓の向こうに偶然君が見えたから

僕たちは思いきり手を振ったんだ

君はすぐに気づいたけれど

ちょっと困った顔をして

そっと手のひらを振ってくれた

君の黒髪が襟元から後ろへ返る

僕たちが君をみた最後の日だった

今でも時々思い出す

目の前の君がいた、あの夏を。

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