硝子細工の行方
いつかは壊れてしまうから
ぼくは手に入れたくない
沈黙が少しだけ部屋の中に留まる
それは余りにも不確かなことだと
きみは何かを思い付いたように
サイドボードの隣に向かう
細長い人差し指でゆっくりと押し続ける
ぼくは急いで立ち上がろうとしたけれど
居場所を失くした硝子細工は落ちてゆく
いつかは今日で
いつかは明日かもしれない
「私だってそうかもしれない」
ぼくは後悔するだろう
ぼくは涙を流すだろう
あの硝子細工の行方は二人しか知らない。
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